女性の体はデリケート。生活リズムや環境の変化など、ちょっとしたことでもホルモンバランスが乱れ、心身の調子を崩してしまうこともありますよね。しかし体調が悪いからといって、すぐに薬に頼るのは抵抗があるという人もいるのではないでしょうか。そんなときは、漢方薬を使って体質を改善してみませんか?今回は、ホルモンバランスを整えてさまざまな不快症状を緩和してくれる漢方薬をご紹介します。
ホルモンバランスとは?なぜ乱れてしまうの?
女性の体は「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2種類の女性ホルモンに大きく影響を受けています。
この2種類のホルモンは、月経周期に合わせて増えたり減ったりを繰り返します。月経から排卵が起こるまではエストロゲンの分泌量が増え、排卵してから次の月経が起こるまではプロゲステロンの分泌量が増えるのが正常な状態です。
一般的に、この2種類のホルモンの分泌量のバランスを「ホルモンバランス」と呼びます。
ところが、ストレスや疲労、生活習慣の乱れ、運動不足、加齢、無理なダイエットなど、ちょっとした原因でホルモンをバランス分泌する機能が弱まってしまい、ホルモンバランスも乱れてしまいます。
ホルモンバランスを整えるには?漢方薬も効果的?
ホルモンバランスを整えるためには、まずは生活習慣を改善することが大切です。しかし一度崩れてしまったホルモンバランスは、すぐには元に戻らないもの。そんなときにはどのように対処したらいいのでしょうか。西洋医学、東洋医学の両面からみてみましょう。
西洋医学
西洋医学では、症状に直接作用する薬を使ってホルモンバランスを整えます。婦人科ではホルモンバランスがどのように乱れているかを検査した上で、エストロゲンやプロゲステロンを補充する方法が検討されます。
治療には、低用量ピルなどのホルモン剤が使用されます。
東洋医学
東洋医学では、症状そのものを抑えようとする西洋医学とは異なり、体質を改善することによって原因を根本的に解決することを目指します。
漢方薬とは、薬草などから作られた自然素材の薬(生薬)です。西洋薬と比べると効き目がおだやかですが、その分副作用が少なく、身体にも負担がかかりにくいという特徴があります。
一般的に漢方薬は、5~20種類ほどの生薬の組み合わせで作られていて、様々な成分の相乗作用によって、体全体の調子を整え、自己治癒力を高めます。
西洋薬と漢方薬、それぞれの特性を理解した上で、自分に合った方法でホルモンバランスを整えていきたいですね。
ホルモンバランスを整える漢方薬とは?副作用はある?
女性ホルモンのバランスを整えるのに良いといわれている生薬は、「当帰 (トウキ)」・「芍薬 (シャクヤク)」・「川芎 (センキュウ)」・「地黄(ジオウ)」などが代表的です。
ここではそれらが含まれるなかでも、女性のホルモンバランスの乱れを整えるのに効果的だとされている漢方薬をご紹介します(※1,2)。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
血のめぐりを良くして体を温め、ホルモンバランスを整える効果が期待できる「当帰(トウキ)」や「芍薬 (シャクヤク)」が含まれ、女性によく処方される漢方薬です。
手足の冷え、のぼせ、生理不順、生理痛、頭痛、肩こり、けん怠感、不眠、神経症などをやわらげる効果があります。虚弱体質で疲れやすい人、イライラや不安感の強い人に向いています。
成分 | サイコ・シャクヤク・ソウジュツ・トウキ・ブクリョウ・サンシシ・ボタンピ・カンゾウ・ショウキョウ・ハッカ |
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
「女性の聖薬」ともいわれる漢方薬で、体を温め、月経トラブルをはじめとする女性特有のさまざまな症状に広く用いられています。
冷え症で貧血の傾向があり、疲れやすい人の月経不順、月経異常、月経痛、産前産後の不調などに効果的です。色白で冷え症、やせ型で体力があまりない人にむいています。
成分 | トウキ・センキュウ・シャクヤク・ソウジュツまたはビャクジュツ・タクシャ・ブクリョウ |
四物湯(しもつとう)
血液循環を良くして体を温め、皮膚を潤したり、ホルモンバランスを整えたりする効果が期待できる漢方薬です。
冷え性、貧血、肌のかさつきが気になる人に向いていて、生理不順や生理痛、更年期障害、貧血症状、冷え症、しみなどに適応します。
成分 | トウキ・センキュウ・シャクヤク・ジオウ |
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血行を良くする漢方薬で、生理不順や生理痛、更年期障害やのぼせなどに用いられます。血のめぐりをよくすることで、のぼせや冷えを改善し、子宮などの炎症をしずめ、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。
比較的体格がしっかりしている人に処方されます。
成分 | ケイヒ・シャクヤク・ブクリョウ・トウニン・ボタンピ |
女神散(にょしんさん)
気を補い、巡らせる作用がある漢方薬です。生理不順や更年期障害、産前や産後の不調に用いられます。不眠や不安など、精神的な症状にも効果的です。
女性特有の症状に効くことから、「女神」と名付けられました。体力が中等度の人に処方されます。
成分 | トウキ・センキュウ・コウブシ・ソウジュツまたはビャクジュツ・ケイヒ・オウレン・オウゴン・ニンジン・ビンロウジ・チョウジ・モッコウ・カンゾウ |
温清飲(うんせいいん)
血の巡りや皮膚の乾燥を治す効果が強い漢方薬です。皮膚の色つやが悪い、顔色が浅黒い、乾燥による皮膚疾患がある人などに用いられます。
月経不順、月経困難、更年期障害といった女性特有の症状や、アトピー性皮膚炎、湿疹などの皮膚疾患に効果的です。
成分 | トウキ・センキュウ・シャクヤク・ジオウ・オウゴン・オウバク・オウレン・サンシシ |
通導散(つうどうさん)
婦人科系の疾患によく用いられる「紅花(コウカ)」などが配合され、血の巡りをよくし、月経を促す効果がある漢方薬です。比較的体力があり、便秘傾向がある人に用いられます。
月経困難、月経不順、更年期障害、不妊症、子宮筋腫など、女性特有の症状に幅広く処方されます。
成分 | ダイオウ・ボウショウ・コウボク・キジツ・トウキ・コウカ・ソボク・チンピ・モクツウ・カンゾウ |
上記の漢方薬以外にも、症状や体質を見て、様々なものが処方されます。体質にあったものを服用することが大切なので、まずは漢方内科や婦人科を受診し、自分にあうものを処方してもらうようにしましょう。
また、副作用は比較的少ないですが、同じような成分の入った西洋薬などを併用しているときは現れやすくなります。食欲不振や胃腸の不調、軟便、下痢などの症状が見られたら、医師に相談するようにしてください。
漢方薬を上手に活用してホルモンバランスを整えよう
漢方薬は原因を取り除くのではなく、体質改善を補う働きをすることから、毎日の服用を続けることが大切です。あまり即効性はありませんが、不調の根本を改善していると考えられるといいですね。
また、漢方薬さえ飲めば必ず健康になるというわけではありません。食事や睡眠など生活そのものを見直して、ホルモンバランスを整えていきましょう。
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