子供が頭痛を訴えてきた場合、「ただの頭痛で、すぐに治るだろう」と特別な処置をとらないこともあるかと思います。しかし、子供の頭痛はストレスや病気で起こっていることもあり、原因を突き止めて、きちんと対処することが大切です。今回は子供の頭痛について、原因や病院へ行く目安、治療法、対処法などをご紹介します。
子供の頭痛とは?
頭痛は、原因となる疾患がない「一次性頭痛」と、原因となる疾患がある「二次性頭痛」の2つに大きく分けられます。子供の頭痛はほとんどが一次性頭痛で、二次性頭痛は全体の4%ほどです(※1)。
一次性頭痛には、片頭痛と緊張型頭痛があり、それぞれ以下のような特徴があります。
片頭痛(偏頭痛)
片頭痛は、ズキンズキンと脈を打つような痛みが、片側もしくは両側のこめかみや目の辺りに、発作的に現れるのが特徴です。
痛みの強さは中等度から重度で、頭痛が数日続くことも。家族内に片頭痛を持っている人がいると、子供も偏頭痛が起きやすい傾向にあります(※2)。
また、吐き気や嘔吐が起こったり、光や音、においに敏感になったりすることもあります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭を締めつけられるような痛みが、頭の両側に現れます。
痛みの強さは軽度から中等度で、歩行や階段の昇降のような日常動作で悪化することはありません。
片頭痛とは違い、吐き気や嘔吐はなく、めまいや倦怠感が現れやすいという特徴があります。
子供の頭痛の原因は?
子供の頭痛は、一次性頭痛と二次性頭痛によって原因が異なります。それぞれの主な原因は以下の通りです(※1,2)。
一次性頭痛の原因
・寝過ぎや睡眠不足などによる生活リズムの乱れ
・空腹や低血糖などによる食事の乱れ
・チョコレートやチーズなどの食品
・人混みなど換気が悪い場所
・ゲームなどの強い光や音
・家庭や集団生活でのストレス
・眼精疲労
・肩凝り
二次性頭痛の原因
・感染症
・高血圧
・脳血管の異常
・腫瘍
子供の頭痛で病院へ行くべき?
日常生活に支障をきたすほど頭痛が強い場合や、発熱や嘔吐など頭痛以外の症状が見られる場合、頭痛が3日以上続く場合は、病院を受診しましょう。
頭痛があっても、顔色が良好で、食欲もあって元気にしているようであれば、しばらく様子を見ます。
ただし、頭痛の他に以下のような症状が現れている場合は、髄膜炎や脳腫瘍などの病気が原因の可能性があるので、すぐに病院を受診してください。
・38度以上の高熱が出ている
・意識がもうろうとしている
・痙攣を起こしている
・何度も吐く
・ぐったりとしている
・麻痺、しびれなどの症状がある
・耳が聞こえにくい
・物が2つに見える
子供の頭痛の治療法は?
子供の頭痛の原因が生活習慣やストレスにある場合は、その原因に対して処置をとり、基本的には薬による治療は行いません。
しかし、日常生活に支障をきたすほど強い頭痛には、発作時にイブプロフェンやアセトアミノフェンといった解熱鎮痛薬を服用して対処します。
感染症など、何らかの病気が原因で頭痛が起こっている場合は、その病気の治療にあたります。症状がひどい場合は、自己判断で薬を使う前に、病院を受診して原因を突き止めることが大切です。
子供の頭痛への対処法は?
発熱や嘔吐など他の症状と共に頭痛が現れている場合や、耐えられないほど強い頭痛が現れている場合は、すぐに病院へ連れて行きましょう。
これらの症状が出ておらず、一次性頭痛が疑われる場合は、症状を見て、片頭痛なのか緊張型頭痛なのかを見分けましょう。
片頭痛であれば、光や音の刺激が少ない暗くて静かな部屋で安静にさせ、冷却ジェルや冷たいタオルで痛む箇所を冷やしてあげます。緊張型頭痛の場合は、蒸しタオルを痛む部分にあてたり、お風呂に入ったりして、血行を良くします。
片頭痛と緊張型頭痛のどちらが起きているのか分からないときは、医師に診てもらいましょう。症状によって対処法が異なりますが、子供は正しく症状を伝えられないこともあるので、よく聞いてあげてくださいね。
子供の頭痛で学校へ行けないことも?
片頭痛や緊張型頭痛のなかには、1ヶ月で15日以上にわたって頭痛が続くものがあり、「慢性連日性頭痛」と呼ばれます。
慢性連日性頭痛が起こると、日常生活を送るのに問題が出て、学校へ行けないこともあります。慢性連日性頭痛になる前に、子供の頭痛を「ただの頭痛」と軽視せず、きちんと対処することが大切です。
子供は、友達や家族との人間関係、学校の成績など様々なことで悩み、ストレスを受けています。小学生に入ってからだけでなく、早い子では保育園や幼稚園の頃からストレスを感じることも。その影響で、頭痛が続くこともあるので、日々しっかりと精神的なケアを行ってあげてください。
子供の頭痛がひどい場合は医師に相談を
強い頭痛が出ていて、子供がつらそうにしていると、「市販の薬を飲ませて、頭痛を早く治してあげたい」と思うかもしれませんが、不適切な薬を使いすぎると、かえって頭痛の原因になることがあります(※2)。
ひどい頭痛が現れているときや、原因が分からず対処に困ったときは、自己判断で薬を与えず、医師に診てもらいましょう。