子供が咳して嘔吐する!対処法は?痰が絡んで吐くときは?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

子供が咳き込んでいる様子を見るのは、つらいですよね。場合によっては、咳き込みながら吐いてしまうこともあります。そのようなときは、単に咳によるものなのか、胃腸炎などの他の病気が原因なのか分かりにくく、対処に困るもの。今回は子供が咳き込んで嘔吐したり、痰が絡んで吐いてしまったりする原因や対処法、病院に行く目安などをご紹介します。

子供が咳をして嘔吐する原因は?痰が絡むときは?

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子供が咳き込んで吐く原因は様々ですが、主に以下のように分類することができます(※1)。

ひどい咳や痰が出るため

強い咳が出ていると、胃に強い力が加わります。大人の胃に比べて子供の胃は未発達なので、咳の負荷によって起こる逆流をコントロールできず、吐いてしまうことがあります。

また、喉で痰が絡んだ場合、小さな子供は上手に痰を出すことができないため、痰を出そうとして咳をしすぎてしまい、痰と一緒に吐いてしまうことがあります。

子供の強い咳や痰が出る原因としては、主に以下のような病気が考えられます。

百日咳

百日咳にかかると、激しい咳が長い期間にわたって出ます。乳幼児がかかることが多く、顔が赤くなるほど咳が続いたあとに吐いてしまうことがあります。

発熱することは基本的にはないものの、肺炎や無呼吸などによる脳炎のリスクに注意が必要です。

気管支炎

子供の気管支炎は、風邪をこじらせて発症させることが一般的です。激しい咳と痰が出て、発熱することも多くあります。

気管支ぜんそく

気管支ぜんそくの発作が起こると、呼吸がしづらくなり、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」というような呼吸音がするようになります。また、咳き込むこともよくあります。

吐き気があるため

吐き気による咳き込み嘔吐は、必ず咳き込んだ直後に吐くとは限らず、咳をせずに急に吐くこともあります。強い吐き気をもよおす原因となる病気としては、主に以下のようなものがあります。

胃腸炎

胃腸炎には、ウイルス感染によるウイルス性胃腸炎と、細菌感染による細菌性胃腸炎があります。

ロタウイルスによるウイルス性胃腸炎の場合には、白っぽいもしくは黄色っぽい下痢便が出て、嘔吐するのが一般的です。熱が出ることもあります。

細菌性胃腸炎にかかると、吐くだけでなく何度も下痢を繰り返したり、血便が出たり、発熱が見られます。

子供が咳き込み嘔吐するときは病院に行くべき?

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咳き込んで吐いても顔色が良く、元気で食欲もいつも通りあれば、しばらく様子を見ましょう。

しかし、咳き込んで吐いた後に、以下のような様子が見られたら、できるだけ早めに小児科を受診してください。

・元気がなく、食欲もない
・咳や嘔吐以外にも、下痢や発熱などの症状がある
・呼吸が早い、全身を使って呼吸している

咳と嘔吐以外に下痢が見られる場合は、下痢の写真や下痢がついたおむつを受診の際に持って行くと、診断がスムーズに進みます。

病院では、痰を出しやすくする薬や抗生物質を処方するなど、症状に合わせた治療が行ってくれることでしょう。

子供が咳き込み嘔吐するときの対処法は?

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咳き込んで吐く原因が病気でなかったとしても、自宅でのケアは子供の体調回復において大切なことです。以下のことに気をつけて、子供をサポートしてあげてください。

適度な湿度に保つ

室内が乾燥していると、喉の粘膜も乾いて、咳を誘発することになってしまいます。

加湿器を利用したり、洗濯物を部屋干ししたりして、部屋の乾燥を防ぎ、室内の湿度を40~60%くらいに保つようにしましょう。

部屋を清潔にする

空気中に舞っているホコリや花粉などを吸引すると、咳が悪化することがあります。こまめに掃除したり、空気清浄機を使ったりして、部屋の空気をきれいにしましょう。

水分をこまめに摂取する

病気が原因で吐き続けてしまうと、体の水分が失われ、脱水状態になる恐れがあります。また、水分がしっかり摂取していないと、痰がからんで、咳が悪化することも。

与える飲み物としては、イオン飲料や湯冷まし、麦茶がおすすめです。咳がひどくて、上手に水分を飲み込むことができないときは、スプーンで少量ずつ補給してあげましょう。

嘔吐がひどいときは食事を控える

嘔吐がひどいときに食事をすると、さらなる嘔吐を招いてしまうことになるので、30分~2時間は飲食を控えるようにしてください。

再び食べさせるときは、まずは水分だけを摂取することから始めて、おかゆやうどんなど消化の良いものを少しずつ食べさせるようにしましょう。

安静時の姿勢を変える

クッションや折りたたんだタオルを枕の下に入れて、上半身を起こしてあげると、呼吸が楽になり、咳が和らぐことがあります。

また、寝ているときに吐いてしまっても、嘔吐物が気管に詰まらないように、体を横向きにしてあげましょう。

感染予防する

子供が感染症にかかっている場合、二次感染を防ぐため、嘔吐物や便がついたおむつを処理する際は、使い捨ての手袋をつけましょう。処理したあとは、石鹸で手をよく洗ってください。

家庭内で感染が広がらないよう、タオルを共有しないことも大切です。

子供が咳をして嘔吐したら、様子をしっかり観察しよう

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子供が咳き込んで吐いているのを見ると心配になりますが、吐いた後にすっきりして、いつものように元気に遊んでいれば、しばらく様子を見ましょう。

咳や嘔吐は、異物を出そうとする体の防衛反応のひとつです。咳き込んだり、吐いたりしているからといって、自己判断で市販の咳止め薬や吐き気止めの薬を飲ませず、病気の疑いがあるときは、医師に診てもらいましょう。

適切な対処を行うためにも、咳き込み嘔吐が見られた場合は、落ち着いて子供の様子を観察することが大切ですよ。

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