生理中は下腹部や腰の痛みだけではなく、貧血が起こることがあります。ひどいと朝起き上がるのもつらく、日常生活に支障が出るケースも少なくありません。そこで今回は、生理中に貧血が起こる原因やしくみ、対策のほか、貧血によるめまいが起きたときの対処法についてもご説明します。
貧血はなぜ起こるの?
そもそも貧血とは、全身の臓器や細胞に酸素を運ぶ役割を持つ、「ヘモグロビン」という物質が少なくなっている状態です。
ヘモグロビンが少なくなると、全身に酸素が十分に行き渡らず、貧血の症状が現れるのです。
貧血の症状は、めまいの他に、立ちくらみや頭痛、だるさなどもあります。
生理で貧血がつらい…原因は生理痛?
もともと、女性は男性よりも貧血になりやすいのですが、生理中は特に貧血症状がひどくなるという人が多いようです。それでは、どうして生理中には貧血が現れるのでしょうか?その原因は、主に以下の2つが考えられます。
鉄分不足
血液中のヘモグロビンは、鉄分によって生成されます。そのため体内の鉄分が不足すると、ヘモグロビンの不足につながり、体に酸素が行き渡らなくなってしまいます。
この状態を「鉄欠乏性貧血」といい、生理中に限らず、貧血を引き起こす主な原因です。
生理による血液不足
生理中にだけ貧血になるという人は、血液不足が考えられます。
生理中は経血を排出する必要があるので、全身の血液が子宮に集まります。この影響で、全身の血流量が一時的に少なくなり、全身に十分な酸素が運ばれなくなってしまうのです。
生理中の貧血の原因が血液不足にある場合、基本的には生理が終われば貧血が治まります。
生理中に貧血が起きたときの対処法は?
生理中に貧血が起きたときは、下記のように対処をするのがおすすめです。
一時的に安静にする
生理中に貧血症状がでたときは、とにかく安静にすることが大切です。横になるか椅子に座るかして、回復するまで休みましょう。しばらくすれば、症状が治まることがほとんどです。
特に、貧血でめまいが起きているときに無理に立っていると、転倒してしまう危険性もあります。寝たり座ったりするスペースが近くにないときは、その場にしゃがみ込むなどして、倒れないように気をつけてください。
衣服を緩める
貧血が起きたら、ベルトやボタン、下着など、体を締め付けているものがあればできるだけ緩めましょう。体を締め付けると、血流が悪くなり、貧血症状を悪化させてしまうかもしれません。
生理が始まると貧血になりやすいという人は、予防の観点からも、生理中はスキニーパンツや加圧ストッキングなどのタイトな衣類を避けたほうがいいでしょう。
体を温める
貧血が起きたときは、体を温めて血液の循環を良くしましょう。特に生理中は、お腹の周りをあたためることで、貧血だけでなく生理痛も和らげることができます。
つらくて横になったときは、タオルや毛布で体を温めておくと早く治まりますよ。
生理痛の貧血は予防できる?
貧血の予防にもっとも大切なのが、鉄分の摂取です。厚生労働省によると、生理のある成人女性は、鉄分を1日あたり10.5mg摂るよう推奨されています(※1)。
鉄分が多く含まれる食材としては、レバーや赤身肉、いわし、かつお、ほうれん草、小松菜、プルーン、大豆製品などが挙げられます。こうした食材を、毎日バランスよく取り入れましょう。
鉄分の吸収を高めるために、ビタミンCやたんぱく質を一緒に摂取するのもおすすめです。
料理が好きな人は、自分なりの貧血解消メニューを探してみるのも楽しいですね。
生理中の貧血がつらいときは早めに病院へ
生理痛に伴って貧血やめまいが起きると、日常生活もつらくなります。できれば貧血が起きる前から、予防に努めたいですね。
食生活や生活習慣を見直しても貧血がよくならないときは、無理をせずに婦人科を受診してください。鉄分不足や生理の影響ではなく、消化器系に病気があって出血していたり、子宮筋腫や子宮内膜症で、生理中の経血量が過多になっていたりする可能性もあります。
また貧血にも様々な種類があり、なかには、「再生不良性貧血」や「自己免疫性溶血性貧血」など、難病に指定されているものもあります(※2,3)。早めに治療を始めたほうが良い場合もあるので、貧血の症状が続くときは、病院を受診してくださいね。