「胚盤胞移植を行った後は、着床の判定日を待つだけ…」ですが、妊娠を待ち望む人にとっては、判定日までの2週間が長く感じられ、早く結果を知りたいと思うのではないでしょうか。今回は、胚盤胞移植後のフライング検査について、方法や時期のほか、判定日前に陽性・陰性が出たときの考え方などをご紹介します。
胚盤胞移植後のフライング検査とは?
胚盤胞移植をした後、基本的には2週間前後たってから、病院で尿検査や血液検査を行い、内診やエコーにて妊娠をしているかどうかを確認します。この妊娠判定日を待たずに、市販の妊娠検査薬を使って妊娠の有無を調べることを「フライング」もしくは「フライング検査」と呼びます。
胚盤胞を子宮に戻したあと、順調にいけば数日後に着床します。ただし、着床が成功したかどうかを確認するまでには少なくとも7~10日ほどかかるといわれています。そのため病院では、確実な妊娠判定ができるタイミングとして、移植の約2週間後を「判定日」とし、検査を行います。
病院側が設定した判定日より前に自分でフライング検査を行ったとしても、正確さに欠けるといえます。フライング検査をするのが判定日に近いほど正確性は増すものの、タイミングによっては正しい結果が出ないこともある、ということを理解しておきましょう。
胚盤胞移植のフライング検査はいつから?
胚盤胞移植後に、3~5日で着床すると考えられているものの、具体的にどのタイミングで着床するかは個人差があります。
病院によっては、移植後5日目前後に「中間判定日(着床判定日)」を設け、血液検査で判定するところもあります。まだこの時点では「妊娠が成立した」とは言い切れませんが、1つの目安として、移植後5~7日目頃からフライング検査を始める人もいるようです。
もしその時期にフライング検査をするのであれば、「早期妊娠検査薬」を使用するのも1つの方法です。これは、通常の妊娠検査薬よりも早い時期から使えるものですが、商品によって精度はまちまちです。
次に、妊娠検査薬の仕組みについて簡単にご説明していきます。
判定日前のフライング検査で妊娠検査薬を使うのはなぜ?
フライング検査を行うには、妊娠検査薬の仕組みを知ることが大切です。なぜフライング検査で反応が出たり出なかったりするのか理解すれば、結果に振り回されずに済むかもしれませんよ。
妊娠検査薬は、妊娠した女性の尿に含まれる「hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」に反応する仕組みです。hCGホルモンは妊娠していないときや男性の体内では作られないため、妊娠検査薬が陽性を示すかどうか見ることで、妊娠判定をすることができるというわけです(※1)。
尿中のhCGホルモンは、受精卵が着床すると少しずつ体内で生産され、妊娠週数を追うごとに数値が高くなっていきます。
一般的な妊娠検査薬によるhCGホルモンの検出基準値は50mIU/mLです。一方で、早期妊娠検査薬による検出基準値は25mIU/mL程度なので、早期妊娠検査薬の方が少し早く結果を知ることができるのです。
胚盤胞移植後のフライング検査で陽性・陰性が出たら?
胚盤胞移植後、妊娠検査薬を使ってフライング検査をしてみるのは構いませんが、その結果を鵜呑みにしないようにしましょう。判定日の血液検査を受けない限りは、確実なことはわかりません。
不妊治療で胚移植を行う場合、受精卵を採卵してから妊娠判定までの期間、着床しやすいよう子宮内膜の状態を整えるため、黄体ホルモンやhCGホルモンの投与を受けることがあります。
そのため、胚盤胞移植後にフライング検査をして陽性反応が出たとしても、ホルモン製剤などの影響が現れただけかもしれません。逆に陰性反応が出たとしても、着床から間もない時期で尿中のhCGホルモン濃度がまだ低かったからだとも考えられます。
あくまでもフライング検査の結果は「参考程度」と捉え、病院での最終判定までに一喜一憂しすぎないようにしましょう。
胚盤胞移植後にフライング検査をしても判定日を待ちましょう
妊娠を待ち望んでいれば、胚盤胞移植後の早く結果を知りたいのは当然のこと。「自分でフライング検査をしたい」という気持ちになる人も多いと思います。
ただし、今回ご説明したとおり、着床のタイミングに個人差があることと、妊娠検査薬で検出できるhCGホルモン濃度にもばらつきがあることから、フライング検査の結果はあくまでも参考にしかなりません。あまり気を揉みすぎず、心穏やかに判定日を待つようにしてくださいね。
そうは言っても、胚盤胞移植後はそわそわしてしまう…という人もいるかもしれません。下の関連記事を参考に、なるべくストレスの溜まらない日常生活を送りましょう。