なかなか妊娠できずに体外受精(IVF=In Vitro Fertilization)をしたあと、妊娠判定日が近づくとドキドキしますよね。「ちょっと熱っぽい」など妊娠症状のような兆候も見られると、病院での判定前に気になって妊娠検査薬を使いたくなるという女性も多いようです。今回は、体外受精後の妊娠判定日はいつ頃なのか、どんな検査をするのか、着床の時期には妊娠症状も見られるのかなどをご紹介します。
体外受精後の妊娠判定日はいつ頃?着床の時期は?
体外受精で受精卵を子宮に戻してから、妊娠判定が行われるまでは2週間ほどかかります(※1)。一例ですが、胚移植から妊娠判定までは以下の流れで進みます。
1. 胚移植する(受精卵を子宮に戻す)
2. 約2週間の日常生活
3. 妊娠判定日
胚移植をした後の受精卵は、時間をかけて胚分割を繰り返し、胚盤胞(はいばんほう)という、着床するための形に変化していきます。
胚盤胞の着床の仕組みは自然妊娠と変わらないため、胚移植から着床までには数日かかりますが、その間は様子を見守りながら、普段通りに生活をします。このとき、着床率を高めるために子宮内膜を維持するホルモン薬が投与されることもあります。
また、体内で自然に胚分割を待つのではなく、体外で胚盤胞まで培養してから胚移植する場合もあります。
体外受精後の妊娠判定日は、どんな検査をするの?
体外受精後の妊娠判定日では、尿検査や血液検査によってhCG(ヒト絨毛ゴナドトロピン)と呼ばれるホルモンの濃度を測定し、妊娠を判定します。hCGは受精卵が着床することでできる絨毛から分泌されるホルモンで、その濃度が判定のポイントになります(※2)。
ちなみに、市販の妊娠検査薬も、このhCG濃度を検知して判定しています。
妊娠判定日は体外受精で胚移植をした日から約2週間後です(※1)。尿検査や血液検査によって判定されます。
体外受精後の妊娠判定日より前に妊娠検査薬を使ってもいい?
体外受精で胚移植を行った人のなかには、1週間ほどで妊娠初期症状を感じるようになる人もいます。気になる症状があると、つい妊娠判定日よりも前に妊娠検査薬を使って調べたくなりますよね。
基本的に妊娠検査薬を使用してはいけない、ということはありません。
ただし、焦ってフライング気味に検査してしまい、「一度陰性が出て、後日再検査したら陽性に変わった」という人も少なくありません。これは、hCGの濃度が上昇していないタイミングで検査を行っただけで、実際には妊娠していたというパターンです。
そのため、病院で判定をしてもらうまで正しい結果は分からないと思って、妊娠検査薬の結果に一喜一憂しすぎないようにしましょう。
どうしても妊娠検査薬を使用したいときは、明らかに妊娠初期症状を感じるときや、妊娠判定日の直前などのタイミングで行うことをおすすめします。
hCG注射後の妊娠検査薬で注意すべきことは?何日目まで陽性反応が出る?
多くの病院では尿のhCG値が一定値を越えたら妊娠と判定されますが、体外受精での排卵誘発時や胚移植後の子宮内膜の維持を目的にhCG注射による黄体ホルモンの補充が行われる場合には、hCG注射の分だけ高い値が出ることがあります。
製薬会社の臨床データによると、hCGは時間の経過につれて減少していき、約30〜32時間後には血中濃度が半減するとされています(※3)。
一般的には、hCG注射による治療が終わってから、1〜2週間ほどで妊娠検査薬が使えると言われていますが、体内にhCGがどのくらい残るかは体質による個人差も大きいため、あくまで目安として考えてください。
hCG注射を受けているときに妊娠検査薬を使用する場合は、医師に相談してその時期を決めるのがおすすめですよ。
体外受精後の妊娠判定日には、妊娠検査薬が陰性でも行くべき?
体外受精を行なっても、残念ながら妊娠検査薬が陰性を示すこともあります。妊娠検査薬で陰性が出てしまうと、妊娠判定日に病院に行かないといけないのか、迷う女性も多いようです。
ただ、妊娠を期待している女性がやりがちなのが、先にも説明したとおり、hCG値がまだ上昇していない段階でフライング気味に検査薬を使ってしまうことです。着床した場合、体内のhCG値は短い期間で急激に増加することもあります。
また妊娠していなかったとしても、今後の治療法を相談したり、体に異常がないかの検査を受けたりするのはとても大切なことです。
妊娠検査薬が陰性だったとしても、病院には予定どおり通院するようにしてください。
どうしても通院が難しい場合は、電話で状況を説明して数日検査日をずらしてもらったり、明らかに生理があれば検査を中止してもらったりと、相談してみましょう。
体外受精でも着床すると妊娠初期症状がある?
体外受精の後は、ちょっとした体調の変化も気になりますよね。実際に、体外受精で着床していれば、以下のような妊娠初期症状を感じることがあります。
● 微量の出血
● 胸が痛い、張る
● 倦怠感、眠い
● 腰痛、腹痛、頭痛
● おりものの変化
● 吐き気
● 好きな食べ物の変化
もちろんこれらの症状を感じなくても妊娠していることはありますし、体外受精を行った女性は妊娠に非常に敏感になっているため、着床していることに期待して、症状を勘違いすることも。上記の症状はあくまでも参考程度に捉えて、あまり神経質になりすぎないようにしてくださいね。
体外受精の妊娠判定日は次へのステップのための検査日
体外受精後の妊娠判定日は、結果がわかるという意味でも緊張する瞬間かもしれません。着床しておらず、妊娠が成立しなかったときは、次の治療を相談する再スタートの日になります。
妊娠にはストレスが大敵。妊娠判定日が近づくにつれて不安に思うかもしれませんが、次へのステップを踏むためにも、神経質になりすぎないように検査日を迎えてくださいね。また、幸運にも妊娠していたときは、妊娠生活に向けた生活習慣の改善などに取り組みましょう。