新生児の聴力はどれくらい?難聴は検査でわかる?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

生まれたばかりの赤ちゃんは一見何もできなそうに見えますが、その力は計り知れないものがあります。聴力もその1つで、意外なほど早くからママやパパの声を聞き取っています。

今回は新生児や赤ちゃんの聴力について、どれくらい聞こえ、どのように発達するのか、聴力検査で難聴かどうかは分かるのかなどをご紹介します。

新生児の聴力はどれくらい?

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新生児は声をかけてもこちらを向いてくれないことがあるので、「ちゃんと聞こえているのかな」と不安になりますね。しかし、新生児にはすでに音に反応できるだけの聴力が備わっています。

たとえば赤ちゃんがいる部屋とは別の部屋のドアをバタンと閉じると、ビクッとしたり泣き出したりすることがありますよね。何もなくて急に泣き出したように思うかもしれませんが、音に反応しているからなんです。

ただし生まれたばかりの赤ちゃんの聴力は大人と比べると未熟で、それが何の音なのかといった音の情報はまだ認識できていませんよ。

赤ちゃんの聴力は月齢が上がるにつれてどう変化する?

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生後3ヶ月頃までは脳がきちんと音の情報を処理できず、突然の大きな音に反射的に反応するぐらいしかできません。

生後3ヶ月を過ぎる頃から「音」を認識し始めると、大人と同じように反応できるようになっていきます。ママやパパの声が聞こえたほうを確認したり、名前を呼ぶとにっこりしたりするようになりますよ。

生後半年くらいになると音の聞き分けができるようになり、聞いたことがない音や声に敏感に反応するように。言葉が人の口から発せられることも理解し始め、音や声がしたほうを意図的に見るようになります。

1歳になる頃には、聞こえた音をもとにして徐々に言語を発するように。耳で聞いた音をオウム返しのようにしながら言葉を習得していきます。リズムやメロディに合わせて体をゆらしたり手を振ったりすることもできるようになりますよ。

赤ちゃんの聴力検査で難聴が分かる?

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出産後の病院では、入院中または生後1ヶ月健診の際に「新生児聴覚スクリーニング」という新生児の聴力検査をしてくれる医療機関もあります。

この検査を受けると、難聴の疑いがあるかどうかを知ることができます。繰り返して「再検査」となった場合、聞こえにくさがあった場合は、専門の施設で詳しい検査を受けることもあります。

聴力が弱いと言語発達にも支障が出ることがありますが、早期発見することで聞く力や話す力をつける練習をすることができますよ(※1)。

赤ちゃんの聴力の発達を心配しすぎないで

新生児の場合、まだママやパパが話しかけて振り向くという行動をしないため、「聞こえてるかな?」「聴覚に問題があるのかな」と不安になってしまうことがあるかもしれません。

しかし赤ちゃんの聴覚は成長とともに発達していくので、それほど心配する必要はありません。赤ちゃんにたくさん話しかけ、たくさんの愛情を注ぎながら、赤ちゃんの聴力の成長を見守っていけるといいですね。

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