高温多湿の夏場は、皮膚のトラブルが起こりやすいとき。デリケートな赤ちゃんや子どもの肌を守るには、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか?小児科医の林泉彦先生に教えていただきました。
林 泉彦先生
はやしクリニック(東京都町田市)院長。幼い子どもを病気から救い、健やかな成長に貢献する小児科医。お母さん&お父さんのさまざまな悩みに傾聴し、適切なアドバイスを行う。地域の人々の健康のために尽力し、多くの人に愛され信頼されるドクター。
大人より大量に汗をかくため
子どもは「あせも」ができやすい
気温が高くなると、多くの子どもにみられるあせも。たくさん汗をかいた際に、皮膚の中に汗が溜まって水膨れになったり、汗腺が詰まって炎症を起こすことで起こります。
小さな赤いブツブツが特徴で、頭や首、ひじの内側、ひざの裏側など、汗の乾きにくいところにたくさんできます。
汗腺の数は大人も子どもも同じ。小さな面積に汗腺が密集している子どもは、大人以上に大量の汗をかくため、あせもができやすいのです。
特に新陳代謝が盛んな赤ちゃんは、エアコンの効いた部屋で寝ていても汗をかきます。オムツで覆われた足の付け根やお尻もあせもができやすく、気づいたら真っ赤になっていることもあります。
汗をかいたまま放置すると、細菌に感染するリスクも高まります。汗のしみた衣服は着替えさせ、シャワーで汗を流してあげましょう。
傷口から菌が入るとびひにも!
こまめなシャワーで清潔に
あせも同様、急増するのがとびひ(伝染性膿痂疹)です。デリケートな子どもの皮膚は、あせもや虫刺されでダメージを受けやすく、そこへ菌(黄色ブドウ球菌)が侵入して発症します。
とびひは膿を含んだ水泡が特徴で、かいた手で他の部分に触れると、たちまち体のあちこちに水泡が広がり、周囲の人へも接触感染します。
夏場に皮膚トラブルが増えるのは、高温と汗と汚れが原因。黄色ブドウ球菌は人の皮膚に存在する常在菌の一種ですが、気温が上がると一気に活発になります。
そのため雑菌の繁殖を防ぎ、皮膚環境を清潔な状態にコントロールすることが重要です。ケアは「汗をかいたらこまめにシャワー」が基本。
湿疹になっている箇所も、石鹸をよく泡だてて、汚れを落とすように優しく洗いましょう。
毎日のスキンケアで肌をクリーンに!
暑さで菌が悪さをすると、肌はたちまちトラブルに見舞われます。症状改善と予防の意味でも、日常のスキンケアがポイントです。ポイントは以下の4つです。
1. こまめにシャワーを浴びよう
たくさん汗をかくと汗腺がふさがれ炎症に。汗に含まれた塩分が衣服や素肌に残ると、かゆくなります。大変でなければ、外出先から戻ったらすぐ、朝起きた時やお昼寝の後などにもサッとシャワーし、できるだけ早く汗を洗い流しましょう。
2. 丁寧に石鹸で洗おう
汗と汚れは、石鹸で洗い流さないと不十分。雑菌が残っていると、あっという間に繁殖します。湿疹がある箇所ほど丁寧に、手の平で十分に泡だて優しく洗い、清潔な状態を保ちましょう。
3. 保湿は必要に応じて
肌がしっとりしていれば、ローションなどを塗らなくても大丈夫。アトピーでガサガサしていたら、皮膚のバリア機能を高める意味でも、適度に保湿剤を塗りましょう。日々、子どもの肌を見て、臨機応変なスキンケアが大切です。
4. 強烈な紫外線を浴びさせない
デリケートな赤ちゃんや子どもの肌に、夏の紫外線は強烈な刺激。行楽地などで急激に太陽光を浴びるのは、やけどと一緒なので、短時間でも要注意。必ずサンスクリーンを塗り、帽子などの対策を徹底しましょう。
虫刺されも要注意!
医師の指導で適切なケアを
暑い時期は、虫刺されにも要注意。刺された箇所が傷になり、とびひに発展することがあるからです。
外出の際は肌の露出を控え、虫除けスプレーなどで防御し、刺されないように対策をしましょう。
蚊が媒介する日本脳炎は、今も撲滅されていない恐ろしい病気です。予防接種はきちんと受けておきましょう。
もともとアトピーがある子どもは、皮膚のバリア機能が低下しているため、トラブルがおこりやすくなっています。発疹や炎症が起こったら、早めに小児科医や皮膚科を受診し、スキンケアの指導を受けましょう。
丁寧に石鹸洗浄を続けて、菌の活動を抑えられれば、薬に頼らなくても、自然治癒力が働き、肌は本来の状態に戻っていきます。
出典:miku 49号 2017年夏号
※掲載されている情報は2017年7月25日当時のものです。一部加筆修正しています。
絵本ナビ編集部