更年期障害の症状には様々なものがありますが、「汗をダラダラかく」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、更年期障害で汗が大量に出る理由、臭いや頭に汗をかいたときの対策についてご説明します。
更年期障害で汗が大量に出る理由とは?
更年期障害の症状の一つに、汗をダラダラかくことがあります。これは「ホットフラッシュ」といい、顔や上半身が突然カーッと熱くなってのぼせたようになって、汗がなかなか止まらなくなる現象です。顔や上半身は熱いのに、腰や手足は冷えていることも珍しくありません(※1)。
女性は、閉経が近づいて卵巣の機能が低下すると、ホルモンバランスが大きく変わります。具体的には「エストロゲン」の分泌が減り、「卵胞刺激ホルモン」と「黄体形成ホルモン」が過剰に分泌されるようになります。
更年期障害は、大量に分泌された卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが自律神経の中枢に影響を及ぼすために引き起こされるとされています(※2)。
ホットフラッシュもプロゲステロンの影響を受けて起きるため、自分でコントロールすることができません(※2)。
更年期障害で出る汗は臭いが強い?
汗は、皮膚にある「汗腺」から出ますが、汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。
体温を調節するためにかく汗はエクリン腺から出され、無臭でサラっとしているのが特徴です。
一方、興奮したり、緊張したりしたときにかく汗はアポクリン腺から出されます。「精神発汗」とも呼ばれ、更年期障害で大量にかく汗もこの一種と考えられています。
アポクリン腺は、皮膚表面ではなく毛根に出口があります。そのため更年期障害のホットフラッシュでかく汗は、毛根に詰まった皮脂やたんぱく質など、臭いのもとになる物質と混じり合い、白く濁っているのが特徴です。
メカニズムはまだ解明されていませんが、更年期障害のホットフラッシュでかく汗には、一般的に下記の特徴があるとされています。
・たんぱく質などの不純物が混ざっているため、ベタベタして蒸発しくにい
・汗自体に臭いがある
・不純物から雑菌が繁殖しやすく、臭いが強くなりやすい
更年期障害で、頭から大量の汗が出たときの対策は?
更年期障害で大量に汗をかき、髪の毛がビショビショになってしまう人もいるそうです。
頭皮の毛根には皮脂がたくさん詰まっているため、更年期障害で頭に汗を大量にかいたまま放置すると、雑菌が繁殖し、臭いが強くなってしまいます。
更年期障害で頭に大量に汗をかいたら、吸水性の良いタオルでこまめに拭き取るようにしましょう。また、帽子をかぶると蒸れて雑菌が繁殖しやすくなるので、帽子をかぶるのは避けたほうがよいでしょう。
また、大量に汗をかくと頭皮に負担がかかり、頭皮のトラブルを起こしやすくなる可能性があります。シャンプーをするときはあまりゴシゴシ洗いすぎず、頭皮の皮脂汚れを優しく丁寧に洗い流すようにしましょう。
更年期障害で大量に出る汗の臭い対策は?
先にもご説明をしたとおり、更年期障害で出る汗には普通の汗よりも臭いがあります。
臭いが気になるときは、こまめに拭くことが一番の対策です。市販の汗拭きシートなどを使うといいですね。
また、カーッとほてったときに体温調節しやすくするために、脱ぎ着しやすい服装をすることも効果的です。通気性のいい服を着るのもおすすめですよ。
更年期障害で大量に出る汗に薬は効く?
ホットフラッシュの治療には、欠乏したエストロゲンを薬で補う「ホルモン補充療法」が有効です。そのほか、漢方薬で症状を和らげることもあります(※1)。
更年期障害の症状は、治療を行わずとも数年間のうちに改善されるものですが、大量に汗をかいてつらいときは、婦人科や更年期外来を受診するといいでしょう。
更年期障害の汗は清潔に保つことで対策を
予期しないタイミングで汗をダラダラかくと、周囲の人の目が気になってしまいますよね。しかし、人の目を意識したり、焦ったりすると、さらに汗が出てしまうこともあります。
汗をかいてもすぐに対処できるように、日頃から脱ぎ着しやすい服装を心がけ、汗ふきシートなどを持ち歩いておくと安心です。こまめに汗をふき取ったり、入浴時に丁寧に頭や体を洗ったりして、体を清潔に保つことも大切ですよ。