不妊治療を受ける前に、漢方薬を使って体質改善に成功し、妊娠できた、という人も多くいます。ただ、漢方薬には難しい名前の薬が多く、どれを選んだらいいのか、副作用はないのか、気になるポイントがたくさんありますよね。そこで今回は、不妊治療で処方される漢方薬について、どんな漢方薬を使うといいのか、使用前の注意点や副作用も含めてご紹介します。
そもそも漢方とは?
漢方とは、中国から伝わった医学が、室町時代から江戸時代前期にかけて日本で独自に発展・確立した治療方法です。西洋医学と異なる点は、病気になった所を直接治療するのではなく、個人の体質に合わせて体全体を調整することで、症状を改善するという考え方です。
同じ病気でも、体質や体型、抵抗力、自覚症状が人によって異なるため、一人ひとりにあった漢方薬を処方します。漢方薬は医師が腹診、脈診、舌診などで体力の強弱や体質などを判断し、植物(草根木皮)や動物、鉱物など自然界に存在するもので作られた「生薬」を2種類以上組み合わせて作ります。
現在は、生薬を煎じて服用することは少なくなり、主にエキス顆粒が用いられ、市販薬として薬局でも購入することができます。
漢方薬のメリットとデメリットは?
手足の冷えや体の疲れ、胃腸の不調など、病気に向かいつつある状態を「未病」といいます。漢方薬は少しずつ体質を改善していくため、特に未病に対して有効だと考えられています。
一方で、手術可能な病気や細菌感染に対しては、不調を起こしている局部を治す西洋医学の方が合っていると考えられ、漢方と西洋医学にはそれぞれ得意・不得意とする分野があります。自分に適した治療法を、医師や薬剤師に相談して決めるようにしましょう。
不妊に漢方は効果があるの?
人にはそれぞれ持って生まれ持った体質と後天的に作られる体質があります。先天的な体質を変えることはできませんが、後天的な体質を改善し、元々の弱点を補っていくことで、丈夫な体を作ることができると漢方医学では考えられています。
血が体に少ない「血虚(けっきょ)」、流れが悪い「瘀血(おけつ)」、消化器系の働きが悪く栄養が体に取り込めない「気虚(ききょ)」など、バランスが崩しているポイントを探し、漢方薬によって改善することで、不妊の症状を解消していきます。
具体的には、不妊の原因がホルモンバランスなのか、冷えなのか、月経前症候群にあるのかなどを特定し、さらにそれを根治するために必要な漢方薬が何かを探ります。不妊の原因が分からなかった場合も、体質改善で対処することができるのは魅力の一つですね。
不妊に使う漢方薬に、副作用はないの?
漢方には副作用がないと考えられがちですが、体質によっては合わなかったり、効きすぎてしまったりして、じんましんや熱、むくみ、動悸、不眠、熱、食欲不振などの症状を引き起こす可能性があります。
また、専門家でなければ症状だけでは原因が特定できないため、表に出ている症状だけで自己判断をして服用するとさらなる体調不良を引き起こすリスクがあるので注意が必要です。
不妊治療で処方される11の漢方薬
不妊体質の改善に効果が期待できる漢方薬としては、次のようなものがあります。
血が少ない「血虚(けっきょ)」の場合
症状
顔色が悪い、貧血、めまい、立ちくらみ、目が疲れやすくかすむ、月経量が少ない
原因
偏食や単調な食生活、疲れ、ストレス、冷え
漢方薬
● 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
● 加味帰脾湯(かみきひとう)
気が足りない「気虚(ききょ)」の場合
症状
疲れやすい、だるく倦怠感がある、不正出血が出る、胃もたれが起こる、下痢
原因
偏食や単調な食生活、過労や激しい運動、過度のダイエット
漢方薬
● 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
● 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
血が滞った「瘀血(おけつ)」の場合
症状
肩こり、頭痛、生理痛、目の下のくまなどの黒ずみ、生理不順、生理痛、レバーのような塊が月経に混じる
原因
冷え、ストレス、運動不足
漢方薬
● 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
● 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
● 温経湯(うんけいとう)
気が滞った「気滞(きたい)」の場合
症状
イライラ、憂鬱感、情緒不安定、乳房やお腹の張り
原因
ストレス
漢方薬
● 加味逍遥散(かみしょうようさん)
● 香蘇散(こうそさん)
精力が減退する「腎虚(じんきょ)」の場合
症状
頻尿、残尿感、足腰がだるい、精力減退、耳鳴り
原因
運動不足やストレス、塩分の過剰摂取
漢方薬
● 六味地黄丸(ろくみじおうがん)
● 八味地黄丸(はちみじおうがん)
不妊治療のための漢方薬はどこで買うの?
漢方薬には利き目が穏やかというイメージもありますが、身体に合わない漢方を使用すると副作用が出てしまいます。
そのため、初めて漢方薬を利用するときには、体質にあった漢方を処方してもらうためにも、漢方薬の取り扱いのある産婦人科で医師に相談するか、漢方医のいる専門薬局で処方してもらうようにしましょう。
一般的な薬局やドラックストアでも購入できますが、初めて利用するときには体調の変化には十分注意してくださいね。
妊活で漢方薬を使うときは医師に相談を!
体質によって処方される漢方薬は違いますし、様々な症状を併発していて簡単に効く漢方薬を選ぶことが難しいこともあります。まずは漢方医に症状を相談し、自分の体質を知ったうえで、適切な漢方薬を処方してもらいましょう。
漢方には高級なイメージもありますが、手軽に購入できるものもあります。不妊に悩むと、そのストレスでさらに体のバランスを崩してしまうので、早めに漢方医や産婦人科医に相談してくださいね。
また、サプリメントも活用しながら妊娠しやすい体作りを目指すのも一つの方法ですよ。