「精液=白いもの」ですが、もし精液が突然ピンクや赤になったら、びっくりしてしまいますよね。色が変わるのは精液に血が混じっているからですが、そのような症状を「血精液症」といいます。今回は血精液症について、その原因は性病なのか、薬で治療できるのか、その後の妊娠に影響はあるのかなど、様々な角度からご紹介します。
血精液症とは?
血精液症とは、精液に血が混じる症状のことをいいます。
混じった血が比較的新しい血液によるものであれば、精液はピンク色になりますが、古い血液であれば、精液は濃い赤になります。また、全体に赤くなくても、血液の塊が混じっている場合もあります。
血精液症の原因は?
血精液症の原因をご紹介する前に、まず精液がどのようにつくられるかをご説明します。
精液は、精子と分泌液でできています。分泌液は、精嚢(せいのう)や前立腺でつくられます。精子は精巣でつくられ、精巣上体や精管を通って分泌液と混じり、尿道を通って体外に放出されます。
血精液症の場合、このどこかに出血が見られるということになります。
血精液症の原因としては、以下のようなものがあります(※1)。ただし、明確に血精液症の原因がわからないことも多く、大半が特発性血精液症(原因不明の血精液症)と診断されます。
前立腺炎
前立腺に細菌が入ると、炎症が起きます。その箇所が、射精時に出血することがあり、その際に痛みを伴うこともあります。
前立腺などにできた結石
前立腺や精嚢の中に何らかの原因で結石ができ、その結石が動いたことで前立腺にある尿道から出血します。排尿時に違和感を覚えることもありますが、他に症状がないこともあります。
前立腺がん
前立腺に悪性の腫瘍ができた場合も、腫瘍からの出血で血精液症になることがあります。血精液症だけでなく、血尿が出ることもあります。
可能性としてはそれほど高いわけではありませんが、中高年以上の人であれば、念のためにPSAという腫瘍マーカーの採血を行って検査してもらった方がいいでしょう(※1)。
血精液症は妊娠に影響がある?
精液に血が混じったら、妊娠に何らかの影響が出てしまうのではないか…と不安になってしまう人も多いかもしれません。しかし実際には、不妊につながる可能性はほぼありません。
どうしても気になるという人は、泌尿器科で診てもらうといいでしょう。
血精液症の検査方法は?
血精液症で悩んだ場合は、泌尿器科を受診しましょう。泌尿器科では、次のような方法で診断が行われます(※1)。
● 精巣や精巣上体に、異常が見られないかを超音波や触診で診察
● 前立腺や精嚢に、異常が見られないかを超音波や触診で診察
● 血尿があれば、膀胱や腎臓に異常がないかを超音波で診察(結果次第では、さらにCTやMRIで腫瘍がないか検査)
● 前立腺がんの有無を調べるため、PSAの血液検査
血精液症は薬で治療できる?
前立腺炎は、抗生物質や抗炎症薬を服用して炎症を抑える治療を行います。
また結石の場合は、他に症状が見られなければ、治療を行わずに様子を見ることが多いものの、痛みがあれば薬を服用することもあります。
前述したとおり、血精液症はその原因がわからないことが多く、その際は治療を行わずに様子を見ます。
なお血精液症はすぐに治まることもあれば、1~2ヶ月続くこともあります(※1,3)。
血精液症を気にしすぎる必要はありません
精液に血が混じると、驚いてしまう人もいるでしょう。しかし実際には原因不明のことが多く、治療せずに治ることも多いので、心配しすぎることなく様子を見てください。
ただし中高年の方は、前立腺がんの可能性もあるので、念のため早めに検査してもらいましょう。
様子を見ていてもなかなか血が治まらず、数ヶ月に渡り長期間続くときは、泌尿器科を受診してみてくださいね。