不妊治療の方法は様々ですが、最近は妊娠を希望する女性たちの間で、漢方薬での治療に注目が集まっています。そのなかでも今回は、女性の体質改善に効果的な「八味地黄丸(はちみじおうがん)」について、不妊の効果や効能、副作用などをご紹介します。
八味地黄丸とは?
八味地黄丸は、血行を促進し、巡りを良くする「牡丹皮(ぼたんぴ)」、生殖機能を補う「地黄(じおう)」「山茱萸(さんしゅゆ)」「山薬(さんやく)」、水分のめぐりを良くする「茯苓(ぶくりょう)」「沢瀉(たくしゃ)」、体をあたためる「桂皮(けいひ)」「附子(ぶし)」という8種類の生薬が配合された漢方薬です。
八味地黄丸は、疲れやすい「気虚(ききょ)」、血の機能が弱い「血虚(けっきょ)」、血の流れが滞る「瘀血(おけつ)」、水が滞る「水滞(すいたい)」体質の人に向いていて、特に下記のような人に処方されています。
● 体力があまりない
● 疲労や倦怠感が著しい
● 尿が少ない、または頻尿
● 口が乾く
● 手足に冷えやしびれがある
八味地黄丸の効能は?不妊にも効果的?
人は、生まれ持った体質と後天的に作られる体質を持っています。漢方医学では、後天的に作られた体質を改善することで、丈夫な体作りを目指します。
八味地黄丸は、主に泌尿器や生殖機能に効果があり、下記のような症状に処方されます。
● 排尿困難
● 頻尿
● 腎炎
● 膀胱炎
● 前立腺肥大
● 性機能低下
● 腰痛
● 糖尿病
● 高血圧
● かゆみ
八味地黄丸は、生殖機能を補う効果が高く、不妊の原因になりやすい下半身の冷えや血の滞りにも作用する生薬もバランスよく配合されています。
西洋医学においても、八味地黄丸は加齢に伴う不妊に有効であるという報告があるようです。
ただし、八味地黄丸を不妊治療目的で服用したい場合は、服用前に不妊の原因を特定し、自身に適しているのかどうかを判断することが大切です。
八味地黄丸は男性の不妊にも効果があるの?
八味地黄丸は、男性の不妊症や勃起障害にも処方されることがあり、不妊治療の一環として取り入れる人も多くいます。
男性不妊症についての効果はまだ明らかではありませんが、八味地黄丸を服用することで、精子の運動率や精子の形態などが改善されたという例も報告されています(※1)。
八味地黄丸には副作用がある?
漢方薬は効果が穏やかで、比較的副作用が少ない薬です。しかし体質に合わなかった場合、副作用が起こることがあります。
下記のような症状が出た場合は、服用を中止して、医師に相談しましょう。
● 食欲不振、胃の不快感、胃腸障害
● 発疹、発赤、かゆみ
● 吐き気
● 嘔吐、下痢、便秘
● 腹痛
● 全身倦怠感
● 動悸、のぼせ
特に、似たような成分の西洋薬や漢方薬と併用すると、過剰投与となり、副作用が起こる恐れがあります。すでに服用している薬がある場合は、八味地黄丸の服用をする前に医師や薬剤師に相談しましょう。
また漢方薬による副作用の多くは、血液検査や尿検査によって分かります。長期間服用し続ける場合は、2~3ヶ月ごとに定期検査を受けると、副作用を予防できて安心です。
八味地黄丸はどこで買える?不妊治療で処方されるの?
八味地黄丸は、薬局やドラッグストア、インターネット通販サイトでも購入できます。
しかし漢方薬は体質に合うものを使うことが大切なので、八味地黄丸以外にも様々な漢方薬を比較し、自分に合うものを見つけることをおすすめします。
まずは、病院できちんと医師の処方を受けるようにしましょう。一度処方してもらい、体に合うことがわかってから、薬局やインターネットで購入するといいでしょう。
ツムラ漢方 八味地黄丸料
- 税込価格
- 2,121円~
- サイズ
- 24包/64包
妊娠したら八味地黄丸は飲まない方がいいの?
現状では、妊娠中に適応とされている一部の漢方薬を除いて、ほとんどの漢方薬は、服用による胎児への影響のデータがなく、安全性が確認されていません。
特に生薬には、子宮収縮作用や流産・早産の危険性があることから、妊婦さんに投与できないとされている以下のものがあります(※2)。
● 大黄(だいおう)
● 牡丹皮(ぼたんぴ)
● 附子(ぶし)
● 桃仁(とうにん)
● 牛膝(ごしつ)
● 硫酸ナトリウム・無水芒硝(ぼうしょう)
八味地黄丸には、流産・早産の危険性がある「牡丹皮」と「桃仁」、副作用を現れやすくする「附子」が含まれるため、妊婦さんへの処方はほとんど行われていません(※2)。
妊娠したら頻尿になりやすいので、つい八味地黄丸の服用を続けたくなってしまうかもしれませんが、妊娠が分かったら服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。
八味地黄丸で妊娠しやすい体作りを
八味地黄丸を服用することで、体の不調が整い、疲れを回復する効果が期待できます。不妊治療の一環として、夫婦で服用してみるのもいいでしょう。
また、八味地黄丸といった漢方薬を使う以外にも、毎日の食事に気を遣ったり、適度な運動を行ったりすることで、妊娠しやすい体づくりをすることもできます。生活に取り入れやすい方法をみつけてくださいね。