子供が6歳くらいになると、乳歯から永久歯に生え変わり始め、口の一番奥に「6歳臼歯」という永久歯が生えてきます。これは、歯並びを安定させるためにとても大切な役割がある歯ですが、生え始めにトラブルが起きやすい歯としても知られています。今回は、その6歳臼歯について、虫歯などのトラブルが起きやすい理由や、予防方法などをご紹介します。
6歳臼歯とは?
6歳臼歯は「第1大臼歯」といい、乳歯列の一番奥に生える永久歯のことです。今後のかみ合わせの中心となるとても大切な歯で、「かみ合わせのカギ」とも呼ばれています。ほかの乳歯と比べると明らかに1番大きいので、見るとすぐにわかりますよ(※1)。
しかし、6歳臼歯は一番奥に生えるため、歯ブラシが届きにくく、虫歯になりやすい歯でもあります。さらに、乳歯が生えていた部分ではなく、何もなかった歯茎から新しく生えてくるので、生えかけのときにトラブルが起きやすい歯としても知られています。
6歳臼歯は虫歯になりやすいの?
6歳臼歯は、生えきるまでに1年程かかることがあります。その間に、乳歯との隙間や段差に汚れが溜まりやすいうえ、見えにくい位置に虫歯ができることで、虫歯に気づくのが遅れやすいのです(※2)。
そのため、6歳臼歯は生え始めた時点から家庭でケアをすることが重要です。歯ブラシと同時にデンタルフロスや、先端が90度に曲がったタフトブラシを使ってケアしてあげましょう。歯医者で定期的にフッ化物を塗布するなど、歯を強化する予防処置をしてもらうのも効果的です(※3)。
フッ化物を歯に塗布すれば、ミュータンス連鎖球菌(虫歯)によって溶けてしまった歯のエナメル質を石灰化させ、虫歯の抑制や、初期の虫歯であれば修復する効果も期待できます(※4)。
そのほかにも、6歳臼歯の虫歯を予防するために、以下の方法がとられることもあります。
シーラント(フィッシャーシーラント)
歯科用の合成樹脂を使って、6歳臼歯の表面(噛む面)を埋める「シーラント(フィッシャーシーラント)」という方法で、虫歯を予防します(※3)。
シーラントは、かみ合わせ部分のわずかな溝もカバーできるので、食べ物が詰まるのを防ぐことができます。生え始めのときは、フッ化物が配合されたシーラントを使用するケースも少なくありません。
6歳臼歯に起きやすいトラブルとは?
6歳臼歯は生え変わりではなく、新たに生えてくる歯なので、生え始めのときに痛みを感じたり、うまく生えてこなかったりといったトラブルがよくあります。
ここでは、6歳臼歯が生えるときに起きやすいトラブルをご紹介します。子供が歯に違和感を感じると訴えてきたときや、口内をチェックして気になることがあれば、歯医者に相談しましょう。
歯茎が痛む
6歳臼歯が生え始めるときに、まだ生えていない状態から痛みを訴えることがあります。6歳臼歯が生える部分は、それまで何も生えていなかったので、生え始めに痛みを感じますが、しばらくすると治まることがほとんどです(※3)。
また、生え始めで歯茎が被っていると、隙間に汚れが溜まり、「萌出性歯肉炎」という炎症を起こしてしまうこともあります。刺激の少ない洗口液を歯ブラシにつけて周囲を優しく磨いてあげましょう。
生え始めの歯が茶色い
「エナメル質形成不全」といい、歯が石灰化する時期にうまく形成できず、茶色くなってしまうことがあります(※3)。永久歯の前歯と奥歯(6歳臼歯)は、同じような時期に生え始めるため、形成不全があればどちらも茶色くなることがあります。
治療法としては、フッ化物を塗布して歯を強化したり、セメントやプラスチックで覆ったりする方法があります。虫歯と勘違いしてしまうこともあるので、まずは小児科で確認してみましょう。
なかなか生えてこない
歯茎や顎に歯が埋まって生えてこない埋伏歯や、もともと歯が欠けている先天性欠如によって、第一大臼歯が生えてこないケースもあります(※5)。
埋伏歯になるのは稀ですが、矯正して生えるように促すこともあります。先天性欠如によって第二大臼歯が早期萌出した場合にも処置が必要なこともあるので、8歳くらいまでに生えてこなかった場合は一度歯医者で相談してみましょう(※5)。
6歳臼歯は生え始めからケアを徹底しよう
6歳臼歯は、永久歯の歯並びに影響も与える、とても重要な歯です。まずは虫歯にならないよう、生え始めからケアを徹底し、積極的に定期検診へ行きましょう。
乳歯が生えていなかった部分に永久歯が生え始めると、口の中に違和感を覚えることが多くなります。原因のわからない痛みや不快感がストレスになることもあるので、できるだけ仕上げ磨きや、歯磨き後の口内チェックをして、早めに変化に気づいてあげてくださいね。