「妊娠中に高血圧症になったけど、産後もよくならない」、「妊娠中は正常値だったのに、産後、突然高血圧になった」など、産後の血圧トラブルに悩まされるママは多いようです。そこで今回は、産後の高血圧について、原因や症状、治療法などをご紹介します。
産後高血圧ってどんな病気?
心臓は圧力をかけて血液を全身へと送り出しています。その時に血管にかかる圧力のことを血圧といい、安静時の血圧が、上(収縮時)が140mHg、下(拡張時)が90mHgを上回る状態が継続することを高血圧といいます(※1)。
産後高血圧とは、赤ちゃんを産んだ後にこの高血圧の症状が現れることを指していて、大きく二つのタイプに分かれます。
妊娠高血圧症の症状があり、産後も高血圧が続くタイプ
妊娠中に妊娠高血圧症になっても、産後12週くらいまでには自然と血圧は正常値に戻ります(※2)。ところが、何らかの原因で、それ以降も高血圧が続く場合があるようです。
妊娠中は正常だったのに、産後高血圧になるタイプ
妊娠中の血圧には異常がなかったのに、産後、突然高血圧になるママも少なくありません。
産後高血圧の原因は?
産後高血圧についてはまだ明確な原因は分かっていませんが、次のようなときに高血圧になると考えられます。
慢性的に高血圧だった
妊娠中に妊娠高血圧症になった人でも、前述のとおり、出産後12週までには正常な血圧に戻ります。
出産後12週以降も高血圧が続く場合は、もともと慢性的に高血圧だったということも考えられます。
体の回復の過程
産褥期は、血圧が高くなりやすい時期です。これは、ママの体が妊娠前に戻るまでの体の変化が原因だと考えられます。産褥期を過ぎて血圧がもとに戻った場合は、あまり気にしすぎる必要はないでしょう。
ストレス、疲労
産後のママの体は、出産により大きくダメージを受けています。さらに、慣れない育児によるストレスや疲労から自律神経が乱れ、高血圧になることがあります。
要因が隠れていた
遺伝や肥満など、もともと高血圧になる要因があり、それが産後の疲労やストレスによって、急に姿を現すことがあるようです。
他の病気によるもの
腎臓の疾患や副腎のホルモン分泌の異常、甲状腺機能異常、高カルシウム血症など他の病気により血圧が高くなることもあります。これは「二次性高血圧症」といわれ、血圧のコントロールとともに、病気自体への治療も必要になります(※3)。
産後高血圧の症状は?
基本的に、高血圧そのものに自覚症状が現れることは多くありません。体温が上がったり感情が高ぶったりすると「血圧が上がった」と思う人がいるかもしれませが、実は、血圧は自分で感じ取ることができるものではありません。
しかし、急に血圧が上がると、めまい、肩こり、頭痛や動悸といった症状を感じることがあります。理由もなくいきなり胸の痛みや頭痛、息切れといった症状がある場合は、産後高血圧によって動脈硬化などが進行している可能性も考えられます。
ただし、このような症状は高血圧特有ではないため、高血圧が原因かどうかを判断することは困難です。妊娠中から高血圧だったママや近親者に高血圧の人がいるママは、日頃から血圧を測ったり、こまめに病院を受診したりと、気をつけるようにしましょう。
産後高血圧の治療法は?
重度の産後高血圧症になると、降圧薬で血圧を下げる治療を行います(※1)。
このとき、授乳中であることを告げれば授乳に影響がないとされている降圧薬を処方してもらえますが、不安な場合は医師にきちんと相談しましょう。
軽度の場合は薬を使用せず、食事療法と運動療法で経過を見ることが多いようです。他の病気が見つかったときには、発見した病気の治療が必要になります。
産後高血圧の対処法は?
出産後は赤ちゃんのお世話もあって、あれこれやらなきゃと思いがちですが、産後高血圧になったときはできるだけ安静にすることが大切です。ここでは、自宅でできる対処法を紹介しますので、できる範囲で実践してみてくださいね。
塩分を控える
塩分の取りすぎは高血圧を引き起こすとされています。塩分の多い加工食品を控えたり、味付けを濃くしすぎないように気をつけたりしてみましょう。
また、カリウムには塩分を排出させる作用があります。カリウムは、海藻類やいも類、野菜に多く含まれているので、食事の際に取り入れてみてくださいね(※4)。
ただし、塩分は体にとって必要不可欠なものなので、過度に制限しないように気をつけましょう。
睡眠、休息をとる
ストレスや疲労も、高血圧の原因となると考えられます。産後のママの体はまだ万全ではないので、育児と家事の合間にはこまめに横になるようにして、パパや両親の助けをかりながら無理せず生活しましょう。
適度な運動をする
適度な運動をすると、血液が流れやすくなって血圧が下がりやすくなります(※3)。赤ちゃんと一緒に近所を散歩する、スーパーまで買い物に出かけるなど、無理せず日常生活の中で身体を動かすようにするといいですね。
ただし、産後1ヶ月は体を回復させる期間なので、激しい運動は控えましょう。
産後高血圧はストレスや疲労に注意!
産後高血圧は、慣れない育児によるストレスや体の疲れから発症することも多いようです。特に、ママの体を回復させる期間である産褥期は、家族の協力を得て、できるだけ体を休める時間を作ることが大切ですよ。