「読書通帳」をご存知ですか?子供の読書離れが問題視されるなか、読書通帳を導入した図書館の多くで、貸し出し図書の増加が見られているといいます。そこで今回は、子供にもっと本を読んでほしいのになかなか手に取ってくれない…と悩んでいるママ・パパの味方になってくれるかもしれない、読書通帳についてご紹介します。
読書通帳とは?
読書通帳とは、株式会社内田洋行が開発した預金通帳を模した手帳で、読んだ本のタイトル・貸し出し日・定価などの履歴を記録できるものです。同社の登録商標ですが、最近では一般名詞として浸透しつつあります。
内田洋行の読書通帳は、本の貸し出しの手続きを終えた後、専用の読書通帳機に読書通帳を入れることで、金融機関の通帳のように印字されます。
ただし、同じ読書通帳でも、自治体や図書館が独自に発行しているものには、手書きで記帳したり、印刷されたシールを貼ったりするものもあります。
読書通帳にはどんな種類のものがある?
読書通帳には、大きく分けて次のような3種類があります(※1)。
1. 預金通帳タイプ
預金通帳タイプの読書通帳は、利用者が専用の機械に入れることで本の情報が印字されるものです。
内田洋行の読書通帳はこのタイプです。
2. 自書タイプ
自書タイプの読書通帳は、借りた本のタイトルや日付などを利用者が自分自身で書き入れていく形式のものです。
栃木県の小山市立中央図書館などで導入されています。
3. お薬手帳タイプ
お薬手帳タイプの読書通帳は、本の貸出記録が印刷されたシールを読書通帳に貼っていくことで、読書の履歴をストックしていくタイプのものです。
宮城県の岩沼市民図書館で2011年に最初に導入されました(※1)。
読書通帳の特徴は?
今までは、自分の読書を記録する場合、「読書記録ノート」や「読書手帳」などが使われていました。しかし、これらは読んだ本の内容や感想を書き込む部分が大きく、「なかなか続かなかった」という声が多くありました。
そこで登場したのが読書通帳です。読書通帳はタイトルなどの事実を記載するだけなので取り組むハードルが低く、読んだ本が溜まっていく様子が目に見えてわかるというおもしろさも手伝って、導入する図書館や自治体が全国に広がっています。
読書通帳の効果・メリットは?
導入した図書館によると、貸し出し図書の増加が見られ、子供たちの本に触れる機会を増やすことに成功しているようです。理由としては次のようなことが考えられます。
● 本のタイトルや著者名が一覧になり、どれだけ本を読んだのかが可視化される
● 本の価格が印字される場合は、「これだけの金額の本を読んだ」という達成感が味わえる
● 普段は触れない預金通帳に似たものを、子供が自分で利用できる
● 図書館によっては、借りた本の数に応じてご褒美がもらえる
頑張った成果が可視化されると、達成感が得やすくなります。友達と読書通帳を見せ合い、どっちがより本を多く読めるのか競争するようになるなどの効果もあるようです。
読書を始めるきっかけは人それぞれですが、読書通帳は「おもしろそうだからやってみよう」という、読書に興味を持たせる良いきっかけになっているようです。
読書通帳はどこの図書館で実施されている?
読書通帳はもともと、2010年に開館した山口県の下関市立図書館で始まったサービスで、現在は全国のいくつかの図書館で実施されています。
図書館によって機械で印字するタイプ、自分で記入するタイプ、シールを貼るタイプなどは異なりますが、それぞれが独自の読書通帳を扱っています。新しく導入する図書館も増えているので、近くの図書館での取り扱いがないか、一度チェックしてみましょう。
読書通帳を手作りするには?ダウンロードできる?
近くの図書館で読書通帳が実施されていなくても、自宅で手作りすることができます。子供が好きなキャラクターのノートなどに、本を借りた日付・タイトル・著者名・定価を書く欄を用意するだけです。
また、厚木市立中央図書館のHPでは、簡易的な読書通帳が作れるPDFがダウンロードできるようにもなっています(※2)。こちらをダウンロードしてそのまま使ったり、ノートに貼ったりしてみるのもいいですね。
自分たちだけの読書通帳を通じて、子供が読書を始めるきっかけづくりをしてあげてください。
読書通帳で子供のやる気を引き出そう
読書や読み聞かせの習慣は、子供の学力を向上させる効果があるといわれています(※3)。本をもっと読んでほしいなと思ったときに、読書通帳を使うことで子供のやる気を引き出すことができるかもしれません。
子供だけにやらせるのではなく、親も一緒に読書通帳を使うのも、子供のやる気を促す効果があります。ぜひ子供と一緒に読書を楽しんでくださいね。