自閉スペクトラム症など発達障害がある子は偏食になりやすい?改善方法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

子どもには食べ物の好き嫌いがあるものですが、あまりにも極端だと心配になりますよね。また、偏食は自閉スペクトラム症(自閉症・ASD)などの発達障害と関係があるという噂を聞いて、「偏食がひどいからASDなのかな…」と感じている人もいるかもしれません。

今回は、自閉スペクトラム症だと偏食になりやすいのか、偏食を改善するためのポイントなどをご紹介します。

そもそも偏食とは?食べ物の好き嫌いとは違うの?

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「好き嫌い」と「偏食」の区別は明確には決まっていません。

一般的に好き嫌いとは、にんじんやナスは好きで食べられるけどピーマンだけは嫌いでほとんど食べないといった状態のことをいいます。

一方で偏食は、白米や菓子パンしか食べず野菜を一切食べないなど、特定の食べ物しか食べない、または特定の食べ物を全く食べようとしない状態のことをいいます。

自閉スペクトラム症などの発達障害だと偏食になりやすい?

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発達障害のひとつである自閉スペクトラム症の子どもは、偏食になりやすい傾向があるといわれています。

ただし、自閉スペクトラム症の特性のあらわれ方や程度には個人差があるため、必ずしも偏食になるわけではありません。

また、自閉スペクトラム症ではない子どもでも偏食になる場合ももちろんあります。

自閉スペクトラム症の子どもの偏食の原因としては、自閉スペクトラム症の特性である以下の2つが主に影響しているのではないかと考えられます(※1,2)。

特定のものに対して強いこだわりを示す

ひとつのものが気に入ると他のものは受け入れず、そればかりに興味や関心を抱く特性から、特定のものを食べ続け、それ以外の食べ物は食べようとしない偏食が起こることがあります。

感覚が過敏

特定の味やにおい、感触に過度に敏感である特性から、キウイやイチゴなどの小さな種の舌触りが嫌で食べられない、酸っぱいにおいが苦手で酢飯が食べられない、といった偏食が起こることがあります。

苦手な感触をしっかりと覚えている傾向がみられます。

自閉スペクトラム症などの発達障害の偏食を改善する方法は?

料理 キッチン

偏食の原因が自閉スペクトラム症などの発達障害の特性であろうとも、なかろうとも、改善するためにできることは基本的に同じです。

まず注意したいのは、子どもが受けつけない特定の食べ物を無理に食べさせようとしないことです。

栄養バランスや偏食の改善を気にして、力づくで子どもに食べさせようとすると、さらに食べなくなってしまうおそれがあります。

そのうえで、次のポイントを意識して親子で改善に取り組んでいきましょう。

今まで受けつけなかった食べ物を子どもが少しでも食べられたときは、そのがんばりを思いっきり褒めてあげてくださいね。

食べ物に対してポジディブなイメージを持たせる

子どもが特定の好みの食べ物だけでなく、さまざまな食べ物に対してポジティブなイメージを持てるように工夫をすることが大切です。

例えば、子どもがいつも食べている食材と食べようとしない食材の両方を使いながら親子で料理をして「一緒に作ったからおいしいね」と言いながら食べましょう。

今まで受け入れなかった食べ物に対しても良いイメージを抱くようになり、次第に食べられるようになるかもしれません。

調理法や食事の環境を変える

食感が嫌いで特定の野菜を食べようとしない場合には、しっかり煮込んで形が残らないようにしてスープにするなど、調理法を工夫するのもひとつの方法です。

好きな調味料があれば、今まで食べようとしなかった食材とその調味料を使って調理してみるのもいいですね。

また、レストランや屋外といったように食べる場所が変わると、「意外とすんなり食べられた」ということもあるかもしれませんよ。

特性を活かして食事をさせる

こだわりが強いという特性がある子どもには、お気に入りのキャラクターが描かれた食器に食べ物を盛ったり、ぬいぐるみを席の隣に置いたりするのもおすすめです。

大好きなキャラクターと一緒に食事ができることで楽しくなり、食べようとしなかったものもすんなり食べてくれることがあるかもしれません。

偏食が強く自閉スペクトラム症などの発達障害が心配なときは?

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偏食があるという理由だけで、自閉スペクトラム症などの発達障害かどうかを判断することはできません。

強いこだわりがある、聴覚など他の感覚の過敏さがあるなどの特性があって気になるときは、まずはかかりつけの小児科に相談しましょう。

必要に応じて、子どもの発達障害専門の医師や各都道府県の発達障害者支援センター、自治体の障害福祉課、保健センターなどを紹介してくれますよ。

子どもの偏食には根気強く付き合っていこう

子どもの偏食は成長するにつれて治まっていくことも多いので、今回ご紹介した改善法などを試しながら、根気強く付き合っていくことが大切です。家族みんなで食卓の雰囲気を楽しくしたり、調理方法を工夫したりと、できることから少しずつ始めていきましょう。

栄養の偏りや発達障害などが気になるときは、早めに専門家に相談するようにしてみてくださいね。

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