赤ちゃんも車酔いするの?何歳から?車で吐くときの対策は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

家族で車に乗って出かけるとき、赤ちゃんの車酔いが心配というママは多いのではないでしょうか。特に、旅行中や帰省中に赤ちゃんが車酔いをしてしまうと辛いですよね。今回は、赤ちゃんの車酔いについて、原因と対策をご説明します。

赤ちゃんの車酔いの原因は?

女の子1歳半 チャイルドシート 車 運転

車酔いが起こる原因は、耳、目、鼻の3つの感覚器官から受ける刺激によるものだと考えられています。

揺れ

乗り物の揺れや速度の変化により、内耳の三半規管や前庭が刺激されます。連続して刺激を受けると、耳の奥にある「内耳」という器官のバランスがくずれて自律神経系や平衡感覚が乱れ、車酔いを引き起こしてしまいます(※1,2)。

景色

車酔いは、学問的には「加速度病」とも呼ばれます。歩いているときは、歩くのと同じ速さで周囲の景色も動いていくので、目から入ってくる情報と体が感じる動きのバランスが取れています。

しかし、車やバスに乗っていると、自分は動いていないのに周囲の景色が早く動き、その加速や減速といったスピードに視覚と脳がついていけなくなり、ギャップが生じます。このような視覚の働きにより刺激を受けて、車酔いを感じることがあります。

におい

乗物に乗ったとき、何かしらのにおいに刺激されて、酔ってしまうこともあります。人間の感覚の中でも嗅覚からの刺激は、脳に強く伝達されます。不快に感じるにおいが嗅覚を刺激し、脳や自律神経にストレスを与え、気分が悪くなるという症状として現れます。

赤ちゃんは車酔いしやすいの?何歳から?

チャイルドシート 車 赤ちゃん

赤ちゃんはバランス感覚が未熟なため、子供や大人に比べて車酔いをしにくいといわれています。また、自分の症状を言葉で伝えられないため、実際に車酔いをしているかどうか見分けがつかないこともあります。

赤ちゃんでも車酔いをすることはありますが、一般的には、2〜3歳頃から車酔いの症状が出ることが多いようです。

小学校入学後は、車酔いをする子供の割合が増え、小中学校の児童や生徒の30~40%が乗り物酔いをするというデータもあります(※1)。

赤ちゃんの車酔いの症状は?

赤ちゃん 泣く かゆい 耳 頭

前述の通り、赤ちゃんは車酔いをしにくいといわれていますが、車で移動中に下記のような症状がみられたら、車酔いの可能性があります。

● 急におとなしくなる
● 口数が少なくなる
● 機嫌が悪くなる
● 顔色が悪くなる
● 嘔吐する

乗車中は、赤ちゃんの表情や行動をよくチェックしておきましょう。

赤ちゃんの車酔い対策は?

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赤ちゃんの車酔いは、事前に準備しておけば、ある程度予防することができます。心配なときは、下記を参考に対策してみてくださいね。

ゆったりした服を着せる

車やバスに長時間乗る場合には、リラックスできる環境を作ってあげましょう。体を締め付ける服は避け、ゆったりとした動きやすい服装を心がけましょう。

テレビ・スマホなどを見せない

赤ちゃんが退屈してグズりだしたら、テレビやスマホを見せて気を紛らわせることもありますよね。

しかし、車内でうつむいてじっと揺れる画面を見ていると、車酔いを引き起こしかねません。車での移動中は、テレビやスマホの視聴やポータブルゲームは避けた方が安心です。

空腹を避ける

空腹だと自律神経が過敏になり、車酔いしやすくなります。途中で授乳をしたり、離乳食が始まっていれば消化のよい食べ物を与えたりしましょう。乗車前に授乳や食事をさせておくのも効果的です。

ただし、満腹だと嘔吐しやすくなるため、飲ませすぎ、食べさせすぎには気をつけてくださいね。

こまめに休憩を取る

車を停めて外の空気を吸うことは、気分転換になります。パパやママの休憩も兼ねて、適度に車を停めて休憩を取るようにしましょう。

やさしい運転を心がける

急ブレーキや急発進を繰り返すような運転だと揺れが大きくなり、車酔いの原因になります。アクセルやブレーキはやさしく、ハンドル操作はゆっくり、いつも以上に「安全運転」を心がけましょう。特に、山道ではスピードを一定にするように心がけてください。

車のにおい対策をする

大人にとっては平気なにおいでも、赤ちゃんにとっては不快なことも。車専用の消臭スプレーなどでこまめに車内のにおいを取り除きましょう。

芳香剤の香りと車のにおいが混ざると、不快なにおいになってしまうこともあるので、消臭と除菌を意識することが大切です。

体調が悪いときのドライブは避ける

疲れている、体調が悪いときには、車酔いしやすくなります。赤ちゃんの体調が不安定なときは、できるだけ長時間乗車するのは避けましょう。

赤ちゃんの車酔いに酔い止め薬は必要?

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子供や大人は、車酔い対策に酔い止め薬を飲むことがありますよね。しかし、市販の酔い止め薬に赤ちゃん向けのものはありません。

一般的に、子供用の酔い止め薬は5歳以上を対象としたものがほとんどです。なかには3歳から飲めるタイプもあります。

赤ちゃんの車酔いは酔い止め薬に頼ることはできないため、上記の対策をしっかりと行ってくださいね。

赤ちゃんの車酔いを解消する方法は?

赤ちゃん 抱っこ ママ

しっかり対策をして車に乗っても、車酔いしてしまうこともあります。そのようなときは、次のような方法で解消しましょう。

● 車の窓を開けて、空気を入れ替える
● 車を停め、ママやパパが抱っこして安心させる
● 衣服のボタンを外してリラックスさせる
● 嘔吐したときは、車を停めてしばらく休ませる
● 服を1枚脱がせるなど、薄着にする

赤ちゃんの車酔いを予防して楽しく出かけよう

赤ちゃんが車酔いを起こすと、パパやママも慌ててしまいますよね。事前に予防法や対処法をしっかり頭に入れておけば、いざというときに役立ちますよ。

今回ご紹介した赤ちゃんのための予防・対処法は、大人にも有効です。パパやママが車酔いをしてしまったときにも活用してください。

車酔いの心配を少しでも軽減して、車でのお出かけを楽しめるといいですね。

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