生後5〜6ヶ月頃からはじめる離乳食。赤ちゃんに食べさせてはいけない食材はあるの?アレルギーになったりするの?と不安な人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、食物アレルギーや、離乳食でのNG食材、注意が必要な食材についてご説明します。
食物アレルギーについて
離乳食をはじめるときに、まず心配になるのが食物アレルギーですよね。ここでは、赤ちゃんに起きやすい食物アレルギーについてご説明します。
そもそも食物アレルギーとは?
特定の食べ物(アレルゲン)を食べたときに、じんましんやかゆみ、咳、目の充血、嘔吐、下痢などの症状を引き起こすことを食物アレルギーといいます。
赤ちゃんの食物アレルギーの多くは、消化や吸収の機能が未熟なために、体を守ろうとする免疫反応が起きて発症します。
食物アレルギーは赤ちゃんの約10%に見られますが、多くの場合は成長とともに軽快して食べられるようになるので安心してくださいね(※1)。
食物アレルギーを起こしやすい食材は?
基本的には全ての食材でアレルギーが起こる可能性があるため、はじめての食材を与えるときは、必ず1日1口からはじめましょう。
なかでも食物アレルギーを起こしやすい食材には、以下のようなものがあります。
特定原材料等28品目
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)、くるみ
※くるみの表示義務化は2025年4月からになります
●特定原材料に準ずるもの
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
食物アレルギーが起こる頻度や症状の重さから選ばれた28種類の食材は「特定原材料等28品目」と呼ばれます(※2)。
特定原材料28品目のうち、とくに発生頻度や重症度が高いものは「特定原材料」と定められ、重症度の高い症状がでることがあるものの頻度が少ない食材は「特定原材料に準ずるもの」と定められています。
特定原材料等28品目に該当する食材をはじめて離乳食に使う場合は、かかりつけの医療機関をすぐに受診できる曜日の午前中に、1日1口から食べさせるようにしてくださいね。
五大アレルゲン物質
特定原材料28品目に含まれる「卵」「牛乳」「大豆」「小麦」に加えて、「米」も五大アレルゲンの一つと言われています。
頻度は他の食材に比べて高くありませんが、離乳食のはじめに食べさせることが多いので、ごく少量からあげるようにしてくださいね。
生の果物・野菜・ナッツ類
生の果物や野菜、ナッツなどは、口の周りや中が腫れたり、赤くなったり、喉に痛みが出る「口腔アレルギー症候群」という食物アレルギー症状を起こすことがあります(※1)。
食材を加熱することでアレルギーを引き起こす物質が壊れて症状が起きにくくなるため、はじめて食べさせるときは加熱すると安心です。
生の状態であげるのは慣れてきてからにしましょう。
アレルギー症状が起きたら?
食べ物を食べた後に赤ちゃんに普段と違う症状が起きた場合は、かかりつけの医療機関に相談しましょう。
特に咳が急に出てきたり、ゼーゼーして呼吸が苦しそうだったりして緊急性が高い場合は、救急車を呼ぶなどして速やかに受診してください。
食物アレルギーと診断されたら、自己判断で食べさせたりはせず、医師の指示のもとで計画的に食べさせるようにしましょう。
離乳食で食べさせてはいけない食材は?
消化・吸収の機能が未熟で抵抗力が低い赤ちゃんには、食べさせてはいけないものがあります。
何がいつまでダメなのか確認しておきましょう。
はちみつ
はちみつは、乳児ボツリヌス症を起こす可能性があるため、1歳を過ぎるまで与えないでください(※3)。
抵抗力が低い0歳の子どもが食べてしまうと、はちみつに含まれる「ボツリヌス菌」が毒素を作り、乳児ボツリヌス症となって命を落とす危険があります。
ボツリヌス菌は熱に強いため、通常の加熱や調理では除去できません。はちみつ入りの飲み物やお菓子も与えないようにしましょう。
黒砂糖
黒砂糖(黒糖)は精製されていない砂糖で、はちみつと同様にボツリヌス菌が混入しているおそれがあります。
乳児ボツリヌス症を防ぐためにも、1歳を過ぎるまでは与えないようにしましょう。
刺身
刺身は生のためアレルギーの原因になりやすく、細菌や寄生虫、ウイルスが潜んでいて食中毒のおそれがあるため与えられません。
生の魚を使った寿司やサラダも危険なため、外食のときに食べさせないようにしてくださいね。
刺身は、大人と同じものが食べられるようになった2歳以降に、新鮮なものを少量ずつ食べさせるようにしましょう。
魚卵
いくらやたらこなどの魚卵は塩分が多く、赤ちゃんの腎臓に負担をかけてしまいます。また、加熱すると固く飲み込みにくくなるため、窒息につながる可能性も。
1歳以降にゆでてつぶしたものを少量、お粥などに混ぜて与える程度にしましょう。
貝類
貝類もアレルギーの原因になりやすく、細菌や寄生虫、ウイルスが潜んでいて食中毒のおそれがあるため、離乳食期は与えないようにしましょう。
また加熱をすると身が固くなり、赤ちゃんは噛みきれません。
しっかり加熱をし、つぶしたり細かく刻んだりして、1歳以降に少量なら使うことができます。
餅・もち米
もち米は粘り気や弾力があり、噛んだり飲み込んだりすることが難しい食材です。のどに詰まる可能性があるため、離乳食期には与えないようにしてください。
餅は歯がしっかりと生え揃って、飲み込む力が十分についた3歳前後で食べさせるようにしましょう。
もち米はやわらかく炊いて少量ずつであれば、2歳後半から食べさせることができます。
肉加工品
ハムやソーセージなどの肉加工品は、塩分や脂肪分、添加物が多く含まれるため、赤ちゃんの消化器官に負担がかかります。
無添加で低塩のものを選び、下ゆでをして塩分を抜いてから、1歳以降に食べさせるようにしましょう。
そば
そばは特定原材料の一つで、アレルギー症状がでたときに重篤化しやすい食材です。
そばのゆで汁や、そば粉を含む菓子類でもアレルギーを引き起こすことがあるので注意してください。
明確な指標はありませんが、1歳半を過ぎたころを目安に少量から与えるようにしましょう。
豆・ナッツ類
噛みくだく必要がある状態のピーナッツや炒り豆などの豆類、アーモンドなどのナッツ類は、窒息したり気管に入って肺炎を起こしたりする可能性があり危険です。5歳以下には食べさせないようにしてください(※4)。
カフェインを含む飲み物
コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェインを含む飲み物は、赤ちゃんにとって刺激が強いため与えられません。
日本では明確な基準はありませんが、4歳以降であれば、ごく少量から試してもいいでしょう。
食べさせるときに特に注意が必要な食材は?
赤ちゃんに食べさせるときに調理方法の工夫や量の調整など、特に注意が必要な食材があります。
以下を参考にしてくださいね。
果物
先述のように、果物は口腔アレルギー症候群を起こしやすい食材です。口の周りに果汁がついただけで、皮膚が赤くなることも。
加熱することでアレルギーの原因となる成分を壊すことができるので、十分に加熱してからペースト状にして一口ずつはじめると安心です。
慣れてきたら生でも食べられますが、少量ずつから試しましょう。
甲殻類
エビやカニなどの甲殻類は、アレルギー症状がでたときに重篤化しやすい食材です。
甲殻類を食べることで得られる栄養素は他の食品で補うことができるため、離乳食で無理に使う必要はありません。
明確な指標はありませんが、1歳半を過ぎたころを目安に、細かく刻んで食べやすくしてから少量ずつ与えるようにしましょう。
魚加工品
すり身やかまぼこ、ちくわ、さつま揚げなどの魚加工品は、塩分や糖分、添加物が多く含まれるため積極的に取り入れる必要はありません。
また弾力があり、赤ちゃんにとって食べにくい食品です。
塩分控えめのものや添加物が入っていないものを選び、さまざまな魚に慣れてきた1歳〜1歳6ヶ月ごろを目安に与えましょう。
水道水
水道水には、消毒のために使用した塩素などが含まれています。赤ちゃんに水を与える場合は、5分以上沸騰させたあとに冷ました「湯冷まし」を使うと安心です。
ジュース
ジュースは、糖分や着色料、香料などを多く含んでいるため、赤ちゃんの体の負担になります。
母乳やミルクとのバランスや他の食材の進み具合を優先して、果汁100%ものを離乳食後期から少量ずつ与えましょう。
炭酸飲料
炭酸飲料も、糖分や着色料、香料などを多く含んでいるため、赤ちゃんの体の負担になります。
明確な指標はありませんが、添加物や糖分が含まれていない天然の炭酸水であれば、1歳以降に少量飲ませることができます。
ケチャップ・マヨネーズ
ケチャップやマヨネーズは、油分や塩分が多く、味も濃いため赤ちゃんの消化器官に負担がかかります。
添加物が少ないものを選び、マヨネーズは離乳食後期から、ケチャップは離乳食完了期から少量ずつ使うようにしましょう。
特にマヨネーズは全卵を使用しているため、1歳までは必ずしっかりと加熱してくださいね。
香辛料
カレー粉などに含まれる香辛料は刺激が強いので、離乳食で使うのは避けましょう。
明確な指標はありませんが、風味付けに耳かき1杯程度の少量を1歳以降から挑戦するのがおすすめです。
ぶどう、ミニトマト、さくらんぼ
ぶどう、ミニトマト、さくらんぼなどの丸くてつるっとしている食材は、ふとしたときに誤って飲み込んで窒息するおそれがあります(※5)。
離乳食が進んでも、4歳までは必ず1/4程度の大きさに切って与えるようにしてください。
ごはん、パン類、焼き芋、のり
ごはんやパン類、焼き芋、のりなどは、唾液を吸収して飲み込みにくく、よく噛まずに食べると大きな塊のままのどに入って窒息するおそれがあります(※5)。
水分を十分に摂ってのどを潤してから与え、詰め込みすぎないように食事中は見守りましょう。
りんご、肉類、生のにんじん、水菜
りんご、肉類、生のにんじん、水菜の茎部分などの繊維が多く噛み切りにくい食材は、十分に小さくならないまま飲み込んでしまい窒息するおそれがあります(※5)。
離乳食が進んでも、必ず5mmくらいの食べやすい大きさに切って与えるようにしましょう。
赤ちゃんの成長にあわせて食べさせよう
離乳食では気をつける食材が多くて大変ですが、新しい食材を取り入れるときは、どのような注意をすればいいのかを確認してからつくりましょう。
赤ちゃんと一緒に、楽しく離乳食を進められるといいですね。