過長月経とは?原因はストレス?症状や治療法は?

監修医師 産婦人科医 山本 範子
山本 範子 日本産科婦人科学会専門医。平成5年、日本大学医学部卒。日本大学附属病院および関連病院で産婦人科医として経験を積み、その間に日本大学総合健診センターで婦人科検診にも力を注いできました。現在は港区の日野原... 監修記事一覧へ

生理不順にも様々なタイプがあり、生理時の出血が長引く「過長月経」もその1つです。もし生理が8日以上続くようであれば、過長月経の可能性を疑ってみましょう。今回は、過長月経の原因や症状、治療法などについてご説明します。

過長月経とは?どんな症状?

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女性の正常な月経周期は25~38日で1サイクルで、月経持続期間は3~7日以内が正常範囲だとされています(※1)。

ところが、この月経期間が長くなり、出血が8日以上続くのが「過長月経」です。長い場合は1ヶ月近く続くこともあり、出血が徐々に少なくなった後に再び出血量が増えるというパターンを繰り返す場合や、鮮血がずっと続く場合があります。

月経には個人差があり、単に月経期間が長めというだけで、特に病気を発症しているわけではなく、その他に症状が現れないこともあります。

ただし、子宮の病気が過長月経の原因となっている可能性もあるので、軽視することはできません。生理による出血が8日以上続く場合は、婦人科を受診して医師に相談しましょう。

過長月経の原因は?ストレスのせい?

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過長月経の原因は様々ありますが、主に「ホルモンバランスの乱れ」と「子宮の病気」の2つが考えられます。なお、思春期は過長月経などの月経異常が起きやすいため、注意が必要です(※2)。

ホルモンバランスの乱れ

過長月経の原因で最も多いのは、ホルモンバランスの乱れだといわれています。

女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部や下垂体というところでコントロールされています。しかし、精神的なストレスや疲労、睡眠不足、過度なダイエット、不規則な生活などが負担になると、分泌量を調整する機能が低下し、ホルモンバランスが崩れてしまいます。

ホルモンバランスが崩れると月経周期や月経持続期間が正常な範囲から外れてしまうことがあります。特にホルモンバランスの乱れによって経血量が極端に多くなる「過多月経」を引き起こし、過多月経に伴って過長月経が起きることも(※2)。

また、排卵を伴わない「無排卵月経(無排卵周期症)」になると、月経持続期間が長いか、もしくは短くなることもあります。

子宮の病気

子宮筋腫や子宮腺筋症など、子宮に病気があると、症状の1つとして過長月経を起こすことがあります。これらが原因の場合、過長月経だけでなく、過多月経や、それに伴う貧血、生理痛なども引き起こすことがあります。

過長月経の治療法は?

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過長月経の治療法は、原因や症状によって異なります。

ホルモンバランスが乱れている場合

ストレスの影響でホルモンバランスが崩れているのであれば、睡眠・食事・適度な運動を心がけ、ストレスをなるべく溜めないよう生活習慣を改善していくことが大切です。

排卵障害がある場合

基礎体温の計測やホルモン検査、超音波検査などの結果、無排卵月経と判断された場合も、ストレス軽減に努めることが重要です。また、治療法については、妊娠を希望しているかどうかによっても異なります。

妊娠を希望していて、不妊治療として無排卵月経を治療する場合、排卵誘発剤を服用して、排卵を促します。薬の種類によって異なりますが、たとえば「クロミッド」という排卵誘発剤の場合、服用した女性の約75~80%に排卵が見られます(※3)。

妊娠を希望しない場合、ホルモン療法を行うことがあります。たとえばピル(経口避妊薬)を服用することで女性ホルモンを補充し、排卵後と同じホルモンバランスの状態を作ります。

一定期間服用したあとに飲むのをやめると、数日後に生理が起こる、というサイクルを繰り返すことでだんだんと生理周期を正常に整えていきます。

子宮の病気の場合

子宮の病気が原因の場合は、それぞれの病気の種類や症状の程度、妊娠希望の有無などによって、治療法を選択します。

子宮筋腫や子宮腺筋症は、薬物療法によって病気の進行を抑えることもありますが、根治するわけではありません(※3)。

病状が進行しており、根本から治す必要がある場合には、手術で子宮を全摘出することもあります。また、妊娠の希望がある場合は、病気になっている部分だけを切除します。

過長月経は不妊につながるの?

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過長月経が見られたからといって、すべての人が不妊になるわけではありません。しかし、過長月経を引き起こしている原因や、病状によっては不妊リスクが高まるので気をつけましょう。

排卵障害

ホルモンバランスの乱れにより過長月経が引き起こされている場合、排卵がうまくいかない「排卵障害」が原因となっていることも珍しくありません。

特に、過長月経が「無排卵月経」を伴う場合、妊娠に不可欠な排卵が起こっていない状態なので、不妊治療で改善する必要があります。

着床障害

また、子宮筋腫がある場合、「粘膜下筋腫」が子宮の内側を覆う子宮内膜側に突き出したり、筋腫が複数できてしまい子宮内膜の表面がでこぼこしたりすることで受精卵が着床しにくくなり、不妊の原因になることもあります。

「生理が長引いている…」と感じたら、妊娠の可能性を低くしないためにも、なるべく早く婦人科を受診しましょう。

過長月経に気づいたらまずは婦人科へ

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女性の月経周期は、様々なことに左右されます。病気だけではなく、毎日の精神的・身体的ストレスによっても、すぐに乱れてしまいます。

一時的なものであればすぐに治るので問題はありませんが、慢性化してしまうと不妊症を招いてしまう可能性もあります。妊娠のしやすさや、重大な病気のリスクも考えて、過長月経に気づいたら、早めに婦人科を受診してくださいね。

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