赤ちゃんの嗅覚は、生まれた時点では大人と同じくらい鋭いといわれているのをご存じですか?生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんは視覚が未成熟で目がよく見えないにも関わらず、産後すぐにおっぱいを探せるのは嗅覚のおかげだと考えられています。嗅覚は、生きていくために必要なものなんですね。今回は新生児・赤ちゃんの嗅覚について、どれくらい鋭いのか、いつから発達するか、香水などの強い香りのものを使っていいのかなどをご紹介します。
赤ちゃん・新生児の嗅覚の仕組み・役割は?
嗅覚は五感の1つで、においを嗅ぎ分けられる能力です。鼻の奥に嗅覚細胞があり、そこににおいの元となる物質がくっつくと信号に変換されて脳に伝達され、においを認識できるという仕組みです。
視覚だけでは計りきれない危険性、たとえば食物の腐敗や毒物などを感じ取るために発達したと考えられています。鼻が備える嗅覚は、リスクから身を守るための機能もあり、早くから発達が進む器官の1つです。
また、生まれてすぐの大きな問題である「母乳を飲む」という面でも、嗅覚は役に立ちます。
出生直後の赤ちゃんは視力が弱いため、母乳のにおいをもとにおっぱいを探し当てることができると考えられており、嗅覚は赤ちゃんの健全な成長を支える役割も担っています(※1)。
赤ちゃん・新生児の嗅覚の発達はいつから?
ママのお腹にいる胎児の頃、妊娠8週目くらいには鼻の形ができあがっていきます。20週目くらいには嗅覚自体も、ほとんどできあがります。
そして、生まれたばかりの赤ちゃんは成人とほぼ同じレベルの嗅覚を持っていると考えられています(※1)。
新生児はほとんど目が見えなくても嗅覚は鋭いので、生後数日が経つと、ママと他人のにおいが嗅ぎ分けられるようになります。そのため、生後数日でも、赤ちゃんはママに抱っこされることで安心し、ママに愛着を示すようになります。
胎児期:妊娠20週頃
嗅覚細胞がほぼできあがり、嗅覚が機能し始める。
新生児期:生後5~6日目
母乳のにおいを嗅ぎ分けられるようになる。ママの母乳をしみこませたガーゼと他人の母乳をしみこませたガーゼを近づけると、ママの母乳がついたガーゼの方に反応することがある。また、不快と感じるにおいを避けるように(※2)。
赤ちゃん・新生児はどんなにおいを嗅ぎ分けられる?
嗅覚には個人差がありますが、自分の身を守るために信頼できる人のにおい、逆に体に害のあるものや危険なものを判断する能力が備わってきます。
たとえば、嫌なにおいや刺激臭には顔をしかめたり、おいしそうな料理のにおいがすると反応したりします。
ママの体のにおいも認識できるので、他の人に抱っこされるとにおいの違いで気づいて泣き出してしまうことがあります。
また、粉ミルクの種類を変えると、飲む前ににおいで違いに気づき、なかなか飲んでくれないことも。
このように、赤ちゃんはさまざまなにおいを嗅ぎ分けることができ、感じとったにおいによって違う反応を示します。
赤ちゃん・新生児の嗅覚には香水はよくない?
赤ちゃんにとって安心できるにおいは、ママのにおいです。おしゃれで使う香水は、ママのにおいを嗅ぎ分けにくくしてしまって、赤ちゃんを不安にさせてしまう可能性があります。
赤ちゃんは嗅覚が鋭いということを忘れずに、産後しばらくは香水やアロマの使用は控えておきましょう。
産後にどうしても香水を使いたい場合は香りがあまり強くなく、そして体についた香水が赤ちゃんの口に触れても大丈夫なように、着色料や防腐剤などの添加物が使われていないものを使用するのが望ましいです。
また、お風呂やマッサージで使うアロマオイルも香りが強いため、使用は避けた方がいいでしょう。アロマオイルは自然由来のものが多いため、安全で赤ちゃんがいても使って大丈夫なイメージがあるかもしれませんが、ママのにおいを分かりにくくする恐れがあるため、あまりおすすめできません。
しかし、「アロマオイルがリラックスに欠かせない」というママもいますよね。その場合は、アロマオイルを使う量や頻度を減らすなどして対処してみてください。ママ自身が健やかに育児をしていくためにも、ストレス解消は大切です。
赤ちゃん・新生児の嗅覚に自然な刺激を与えよう
嗅覚は赤ちゃんの成長に伴い発達していきます。しかし、においの違いが分かるようになるには、実際にさまざまなにおいを嗅ぐことが重要になってきます。
コーヒーや果物といった食べ物や、画用紙やクレヨンなどの文房具、動物や乗り物といったものと触れ合いながら、嗅覚は発達していきます。生まれてからも嗅覚を含めた五感を発達させることは、脳を活性化させるためにも大切なことです。
ぜひにおいに接する機会を増やして、赤ちゃんの嗅覚の発達をサポートしてあげてくださいね。