経口避妊薬の一つ「マーベロン」は、ヨーロッパで販売が始まってから30年以上が過ぎており、その効果と安全性が確立されています。日本でも1999年に承認されて以来、多くの病院で処方されてきました。しかし、よく使われているとはいっても、服用する前にどんな薬なのかをきちんと理解しておくことは大切です。そこで今回はマーベロンの効果と副作用、飲み方などについてご説明します。
マーベロンとは?
マーベロンは、MSD株式会社が製造・販売する低用量ピルの一つで、正式には「経口避妊剤」と呼ばれる薬の一つです。
正しく服用すれば99.9%の確率で避妊することができ(※1)、1981年に誕生してから世界中で広く利用されてきました。日本では、2006年から販売されています。
マーベロンの効果は?ニキビも治る?
マーベロンを継続的に服用すると、女性ホルモンの「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の血中濃度が一定に保たれます。その結果、ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の分泌が抑制されることによって、排卵が止まります。
排卵を抑制するだけでなく、子宮内膜の状態を変化させて受精卵の着床を起こりにくくします。また、子宮頸管粘液も変化させることで精子を子宮の内に侵入しづらくさせるという作用もあり、これらの相乗効果でほぼ100%の避妊効果をもたらしてくれます(※1)。
マーベロンを飲み続けることでホルモンバランスが整い、ニキビなどの肌荒れや生理痛が緩和されることもあります。
マーベロンの正しい飲み方は?
マーベロンは「一相性」タイプの低用量ピルで、すべての錠剤に同量のホルモンが配合されているのが特徴です。ホルモンの配合量が変化する「三相性」タイプとは異なり、錠剤の飲む順番を気にせずに服用できるというメリットがあります。
生理が始まった日に1錠目を飲み、翌日以降も白色の錠剤を1日1錠、毎日一定の時間に21日間飲み続けます。起床時や就寝前など、日々の行動のタイミングと合わせて服用しておくと飲み忘れを防げますよ。
服用後は、7日間薬を飲まない休薬期間が必要です。避妊を継続する場合は、29日目に当たる日に次のシートの1錠目を服用して、同じように繰り返します(※1)。
ちなみに、21錠がセットになった「マーベロン21」と、28錠の錠剤が入った「マーベロン28」の2タイプの製品があります。マーベロン28は、21錠の本剤に加えて、ホルモンの配合されていない偽薬(プラセボ)が7錠入ったものです。
休薬期間の7日間も同じように1日1錠飲めばいいので、取り扱いがとても簡単。偽薬は緑色なので本剤と間違える心配もなく、休薬期間の数え間違いが心配な人におすすめです。
マーベロンを飲み忘れたときの対処法は?
マーベロンは、毎日飲み続けることで効果を発揮するものなので、飲み忘れたときには注意が必要です。
前日の飲み忘れに気づいた場合には、気づいたタイミングですぐに飲み忘れ分を服用し、その日の分の薬も決めた時間に服用しましょう。この日は1日に2錠服用することになりますが、その後は1日1錠を飲み続ければ問題ありません。
もし2日以上連続して飲み忘れてしまったら、その期間中に使用しているマーベロンのシートの使用は中止し、次の生理が来たら新しいシートの1錠目から再開しましょう。服用を中止している期間はマーベロンの避妊効果はなくなるので、コンドームなど別の方法で避妊をしてください(※1)。
マーベロンの副作用は?不正出血が現れやすい?
マーベロンの製造・販売元の調査によると、マーベロンを服用した女性のうち約24%に副作用が現れています。主な症状としては不正出血が最も多く、そのほかには吐き気や頭痛、乳房痛などが見られたという報告がされています(※1)。
一般的には、こうした副作用は体に長く影響を与えるものではなく、軽い症状であれば飲み続けるうちになくなることが多くあります。
副作用のほとんどは症状の軽いものばかりですが、1000人に一人ほどの頻度で血栓症を発症する恐れがあるので、注意が必要です(※1)。急に足が痛くなる、突然息切れが起こったり胸が痛む、激しい頭痛がする、といった体調の異変が現れた場合には、すぐに婦人科を受診しましょう。
マーベロンを正しく使って避妊しよう
マーベロンは正しく使えば、ほぼ100%の確率で望まない妊娠を防ぐことができ、生理のときの経血量や生理痛が緩和されるなどの副効果も期待できます。医師の指示に従い、用量・用法を守って正しく服用しましょう。
最近では、病院を介さず、インターネット通販で低用量ピルを手に入れる人もいます。しかし、正規品ではないものを購入してしまうリスクや、副作用の可能性を考えると、病院で処方してもらう方が無難でしょう。また、継続して服用する場合、6ヶ月ごとに検診を受けることも必要です。
安全・確実に避妊するために、マーベロンの処方について婦人科で相談してくださいね。