子供のまぶたが赤く腫れる「ものもらい」ができていると、針でつぶそうとする人がいます。しかし、針でつぶしたらものもらいは本当に治るのでしょうか?そこで今回は、子供のものもらいを針でつぶしていいのか、ものもらいの治療法をご紹介します。
ものもらいとは?原因は?
ものもらいとは、まぶたの縁や内側にある、汗腺や皮脂腺が炎症を起こす病気です。症状としては、まぶたに腫れやかゆみ、軽い痛みがあります。
子供のものもらいは、外で遊んで汚れた手のまま目を触ったり、不衛生なタオルや寝具を使ったりして、目の周りを不衛生な状態にすることによって起こります。
ものもらいには主に「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」の2種類があり、原因と症状が少し異なります。
麦粒腫
まぶたの縁や内側に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染すると、麦粒腫ができます。細菌感染したところが炎症を起こすと、まぶたにかゆみや赤みが現れます。
炎症がひどくなると、腫れや痛みが強くなり、中心に膿をもった白い点ができます。この白い点は化膿が進むと自然に破れて膿が出てくることがありますが、膿が完全に出た後は痛みが和らぎ、だんだんと症状が治っていきます。
霰粒腫
霰粒腫は、まつげの生え際にある皮脂腺に汚れが詰まることで発症します。霰粒腫の場合、まぶたに軽い痛みやかゆみ、赤い腫れが生じます。1週間ほど経ってそれがなくなると、まぶたの中にしこりができます。
しこりに痛みはありませんが、放置しておくと膿でしこりがどんどん大きくなってしまいます。
ものもらいは針でつぶしていいの?
子供がものもらいになって、まぶたに膿の溜まった点やしこりができると、針でつぶそうとする人がいますが、絶対にやめましょう。ものもらいを針でつぶしても治らないだけでなく、かえって細菌感染を悪化させてしまう可能性があります。
ものもらいを針でつぶしてはいけない理由として、次の3つがあります。
細菌感染を起こす
ものもらいをつぶすために使う針を消毒したり、火で炙ったりしても、完全には殺菌できていません。不衛生な針を使うことでものもらいが細菌感染を起こすと、炎症がさらに悪化します。さらにこのとき、強い痛みや赤みを伴うこともあります。
再発する
ものもらいを針でつぶすとどろっとした膿が出てくることがありますが、その膿を完全に取り切ることは難しく、膿が残っているとものもらいが再発する可能性があります。
目を怪我する
そもそも子供の目に針を向けることは大変危険です。子供が少しでも動いたら、針が目に当たって怪我することにつながります。また、ものもらいを確実につぶすことは難しく、違うところを引っ掻いて血が出てしまうかもしれません。
ものもらいを針でつぶす以外の治療法は?病院へ行くべき?
ものもらいは、悪化するとまぶたの痛みやかゆみで子供がつらい思いをするので、できるだけ早く病院に行きましょう。眼科で医師に状態を判断してもらい、治療を行う必要があります。
麦粒腫の治療には、まず抗生物質の入った目薬や軟膏を使用します。症状が悪化している場合は、内服薬を使って治療します。
霰粒腫の場合は、しこりが化膿してしまう前に抗生物質の入った目薬を使って細菌感染を予防します。
麦粒腫でも霰粒腫でも、化膿がひどい場合は切開して膿を取り出すことがあります(※1)。ただ、切開することは危険を伴うため、子供の年齢を踏まえて慎重に検討されます。どのように治療するかは、医師と相談して決めましょう。
ものもらいを針でつぶしてしまったら?
もし、ものもらいの正しい対処法を知る前に針でつぶしてしまった場合は、早めに眼科を受診しましょう。前述のように、ものもらいを針でつぶすことで、さらに悪化していたり、目の周りを傷つけていたりする可能性があります。
また、子供が痛がったり、かゆがったりするかもしれませんが、目の周りをなるべく触らないように気をつけてください。
ものもらいを針でつぶすのはやめよう!
ものもらいは、病院でもらった薬を使えば自然と治っていきます。子供のまぶたが腫れていると早く治してあげたいと思うかもしれませんが、ものもらいを針でつぶすのではなく、まず眼科を受診して医師に薬を処方してもらってください。
ものもらいは、雑菌によって症状が悪化してしまう可能性があります。ものもらいの炎症がひどくならないよう、なるべくまぶたを触らないように気をつけて、子供もママも手を清潔に保つように心がけてくださいね。