体外受精・顕微授精の性別は女の子より男の子が多い?産み分け可能?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年に山梨医科大学(現 山梨大学)医学部を卒業。板橋中央総合病院を経て、現在は沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターに勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救... 監修記事一覧へ

「体外受精だと男の子が生まれやすい」といった話を聞いたことがある人もいるかもしれません。不妊治療中で、赤ちゃんの性別の希望がある夫婦は特に、実際のところはどうなのか気になりますよね。今回は、体外受精や顕微授精で生まれる赤ちゃんの性別について、産み分けの可能性も含めてご説明します。

体外受精は男の子、顕微授精は女の子が多く生まれるの?

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現在のところ、体外受精・顕微授精によって日本国内で生まれた赤ちゃんの男女比について、統計的に有意なデータはありません。

参考までに、2014年にイギリスで発表された研究論文では、10年間で人工授精、体外受精、顕微授精の3つの方法を比較した結果について次のように報告されています(※1)。

● 体外受精だと、男の子の割合が高い(52.05%)
● 顕微授精だと、男の子の割合が低い(49.28%)
● 顕微授精・体外受精ともに、「初期胚」よりも「胚盤胞」段階での胚移植の方が、男の子が生まれる割合が6%多い

このデータだけを見ると、「体外受精は男の子が多く、顕微授精では女の子が多い」ですが、割合の差は大きなものではないため、「どちらかの性別の赤ちゃんが生まれやすい」といえるほどではないかもしれません。

体外受精や顕微授精の性別は「パーコール法」で産み分けられる?

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「パーコール法」とは、人工授精や体外受精、顕微授精を行う前に、男性の精液から不要な物質や奇形精子を取り除き、質の良い精子を選別して濃縮するための「精子調整法」の一つです(※2)。

パーコール法では、精液をパーコール液という特殊な液体に入れて遠心分離器にかけます。そうすると、Y染色体を持つ精子(Y精子)よりもX染色体を持つ精子(X精子)の方が重いため、X精子が分離器の下の方に溜まります。

赤ちゃんの性別は、卵子と精子の染色体の組み合わせで決まり、卵子とX精子が受精すると女の子となります。そのため、パーコール液の下の方に沈んだ精子を体外受精・顕微授精で使うことで、女の子が生まれやすくなる、と考えられているのです。

ただし、日本産科婦人科学会は、重い遺伝性疾患を回避する目的以外でパーコール法を実施することを容認してはいません(※3)。

体外受精や顕微授精の性別は「着床前診断」で産み分けできる?

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「着床前診断」は、体外受精や顕微授精での受精がうまくいったあと、受精卵の段階で実施する検査のことです。

多くは染色体や遺伝子に異常がないかどうかを調べるために行いますが、技術的には、受精卵の染色体の組み合わせを見て性別を判断し、希望の性別になる受精卵を子宮に移植することも可能です。

たとえばアメリカでは、「ファミリー・バランシング」(家族の中で男女の人数のバランスを取ること)を目的に、「着床前診断」を利用した産み分けを希望するカップルも多いとされています。

ただし、治療とは直接関係のない性別選択については賛否両論あり、認めている範囲も国によって異なります。

日本産科婦人科学会は、着床前診断が適用されるのは、重い遺伝性疾患を持った赤ちゃんが生まれる可能性がある場合に限るとしています(※4)。

そのため日本国内では、性別の産み分けも含め、着床前診断を利用して生まれてくる子供を選り分けることは原則として認められていません。

体外受精や顕微授精で性別を産み分けるデメリットは?

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先述のとおり、日本国内では、体外受精や顕微授精による産み分けは認められていません。

そのため、「どうしても性別を産み分けたい」と考える人のなかには、着床前診断による性別の選別ができる国へ渡航するケースもあります。また、受精卵を冷凍保存して細胞の一部を海外に送り、着床前診断を行って性別を特定するという民間サービスもあります。

しかし、それらの方法による産み分けには、次のようなデメリットもあることを覚えておく必要があります。

妊娠率が下がる可能性がある

体外受精や顕微授精の妊娠率を上げるためには、できるだけ質の良い精子や受精卵を得る必要があります。

性別の産み分けを第一の目的として選ぶと、必ずしも質の高い精子や受精卵が残るとも限らないため、妊娠率が下がる可能性も考えられます。

費用がかかる

体外受精や顕微授精には保険が適用されないため、1回の治療で30〜50万円ほど費用がかかり、場合によっては複数回実施する必要があります。

そのうえ産み分けを目的に海外の民間サービスなどを利用するのであれば、渡航費や仲介業者に支払う手数料も加わるため、かなりのコストが必要となります。

体外受精や顕微授精以外で性別を産み分けるには?

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必ず産み分けに成功するとは言えませんが、医療技術に頼らない産み分け方法として、古くから知られているものもあります。

不妊の原因によっては利用できないこともありますが、下記が代表的なものです。

産み分けゼリー

「産み分けゼリー」とは、性交を行うとき使用して、性別を産み分けやすくする潤滑ゼリーのことです。

男の子用と女の子用の産み分けゼリーを使い分けることで、希望する性別の赤ちゃんを授かる確率が高まるとされています。

中国式産み分け

約700年前に作られた、中国の王宮での男女の出生記録を統計的にまとめたカレンダー表をもとに産み分ける方法です。

古くからよく知られているものですが、医学的に証明されているものではないので、「もしかしたら…」くらいの気持ちで楽しむのが良いかもしれません。

排卵日と性交の方法を考慮

ほかにも、「排卵日近くに性交を行うと男の子」「あっさりと性交すると女の子」など、排卵のタイミングや性交の方法を考慮した様々な産み分け方法が考えられています。

体外受精や顕微授精での性別の産み分けは、慎重に検討しよう

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現在のところ、日本国内では性別の産み分けを目的に体外受精や顕微授精を行うことは公に認められていません。海外のサービスなどを利用する方法もありますが、デメリットがあることも覚えておきましょう。

また、ここでご紹介した産み分け方法を実践したとしても、希望する性別の子供が必ず生まれるわけではありません。結果がどうあれ、生まれてくる赤ちゃんを温かく迎えてあげてくださいね。

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