妊活中や不妊治療中で、赤ちゃんの性別の希望がある夫婦は、体外受精や顕微授精で男女の産み分けができるのか、気になる方もいますよね。
そこで今回は、体外受精や顕微授精で生まれる赤ちゃんの性別を産み分けることができるのかについてご説明します。
体外受精や顕微授精で男女の産み分けはできるの?
体外受精や顕微授精による性別の産み分けは、海外では例がありますが、日本では倫理的な点で難しい場合が多いでしょう。
産み分けの方法として「着床前遺伝学的検査」や「パーコール法」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。
「着床前遺伝学的検査」は、体外で受精させた受精卵から、遺伝子や染色体の病的変化を調べる検査です。
検査時に受精卵の染色体の組み合わせを見て性別を判断することは技術的には可能です。
しかし、受精卵を選ぶことに倫理的な課題はあり、検査の必要性には慎重な判断が必要です。
重篤な遺伝子疾患がある場合、染色体や遺伝子異常を起因とした不育・不妊、及び流産の回避などを目的とした場合のみに限定され、「産み分け」を目的に行ってはならないとされています(※1)。
一方の「パーコール法」は、産み分けを目的に取り入れている病院もあるようです。ただし、「パーコール法」であっても同様の課題はあります。
次から、「パーコール法」による産み分けについて詳しくご説明します。
「パーコール法」で産み分けられる?
「パーコール法」とは、人工授精や体外受精、顕微授精を行う前に、男性の精液をパーコール液に入れて遠心分離器にかけ、活発な精子を濃縮する「精子調整法」の一つです(※2)。
遠心分離をすると、Y染色体を持つ精子(Y精子)よりもX染色体を持つ精子(X精子)の方が重いため、X精子が分離器の下に溜まります。
卵子とX精子が受精すると性別が女の子になるため、分離したX精子で人工授精などを行うと女の子が生まれやすくなると考えられています。
そもそも重い遺伝子疾患の回避に限って用いられていた方法ですが、現時点で安全性の問題が取り上げられていないことから、現在は医師による十分な説明と本人たちの同意を得たうえで、医師の判断により行うこともできるとしています(※3)。
パーコール法で知っておくべきこと
ただし、受けられる病院は限られるほか、多くの病院で以下の記載があるため事前に知っておきましょう。
● 確実に希望の性別になるとは限らない
● 「性別」が目的ではなく「妊娠」が目的であること
● 産み分けによる「パーコール法」は保険適用外
また、産み分けは受精させる精子を選ぶことによる倫理的な課題があり、男女比のバランスが崩れることにもつながると考えられています。
産み分けを希望する場合はその点をしっかりと理解したうえで、必ず医師から十分な説明を受けてください。
性別の産み分けは慎重に
現在行われている産み分けは、あくまでも妊娠を目的に希望の性別で産まれてくる可能性が高まることを期待する方法であり、産み分けを目的に行うことはできません。
医師やパートナーとしっかりと話し合い、慎重に検討しましょう。