不妊治療の保険には入るべき?適用範囲や保証金額は?

なかなか妊娠することができず、不妊治療を受けているカップルの数は、約50万組にもなります(※1)。ただ、子供を授かるまでに治療費が積み重なってしまうことも。こうした費用の悩みに応えるため、不妊治療に関する民間の保険が2016年4月から解禁され、同年10月には日本生命保険が国内初めての不妊治療に対する民間保険をスタートさせました。

今回は、不妊治療の保険には入るべきなのか、何に適用されるのか、保障や注意点についてご紹介します。

そもそも不妊治療とは?

不妊 避妊 相談 医師 家族 パートナー

子供が欲しくてもなかなか授かれず、不妊症で悩むカップルは多くいますが、不妊の原因は様々です。

不妊治療では、薬や高度生殖医療技術によって妊娠の手助けを行いますが、治療には段階があり、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精と、原因や年齢などにあわせて治療方法が選択されます。

なかでも、体外受精や顕微授精は特定不妊治療と呼ばれ、高度な医療行為を伴います。タイミング法や人工授精よりも治療に必要な費用がかさむため、不妊治療保険での保障が期待されています。

不妊治療に保険は必要なの?

不妊治療 年齢

「こそだてハック」で行った不妊治療に関するアンケート*によると、不妊に悩むことが多い高齢出産は35歳からとされるにもかかわらず、20代から治療を始めた人が35%にもなります。

不妊治療 費用

また、年齢が上がるにつれて、不妊治療にかかる費用が高くなり、100万円以上かかったと答えた人は、20代後半で32%、30代後半では41.9%、40代前半では43.4%です。

20代から治療を始め、半数近い人が100万円近い治療費が必要になることを考えると、不妊治療の費用を保障してくれる保険があるなら、年齢が若いうちに加入するなどして、うまく活用したいところです。

不妊治療の保険には、どんなものがあるの?

はてな クエスチョン ? 本 疑問

個人加入が可能な日本生命保険の「シュシュ」や、企業や健康保険組合が取り扱う団体保険として、東京海上日動火災保険の「不妊治療費用等補償保険」があります。それぞれの特徴をまとめました。

日本生命保険「シュシュ」

日本で初めての不妊治療の保証が組み込まれた保険です(※1)。基本は3大疾病(がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中)や死亡の保証に加え、特定不妊治療の保障、出産時の給付、満期時の一時金を受け取ることができます。

不妊治療保険の具体的な内容は下記の通りです。

適用範囲

不妊治療保険の適用範囲は、費用が大きくかかる体外受精や顕微授精といった特定不妊治療のみです。また、加入後2年間は不担保期間とされ、特定不妊治療を行っても費用の保障はありません。

ほかに、加入後1年以降の出産であれば、出産給付金を受け取ることができます。

受け取れる給付金

不妊治療保険で受け取れる給付金としては、特定不妊治療に必要な採卵や胚移植ごとに支払われる特定不妊治療給付金があります。

支払い限度は12回で、1〜6回目は5万円/回、7〜12回目は10万円/回になります。出産給付金は、1人目は10万円、2人目30万円、3人目50万円、4人目70万円、5人目以降100万円/人を受け取ることができます。

ほかに、保険契約期間を満了すると200万円の一時金が支払われますが、こちらは出産給付金や特定不妊治療給付金を差し引いた額になるので、注意しましょう。

また、「シュシュ」は不妊治療のサポートだけでなく、3大疾病の保証が主な保険で、疾病にかかった・死亡してしまったときには、300万円が一時金として支払われます。

東京海上日動火災保険の「不妊治療費用等補償保険」

東京海上日動の不妊治療に関する補償保険は、企業や健康保険組合で運用される団体保険のため、個人で加入することはできません(※2)。勤め先の会社や加入している健康保険組合で取り扱いがないかを確認してみましょう。

基本的な内容は以下のとおりです(※2)。

適用範囲

企業や加入している健康保険組合に所属している人が対象で、不妊治療の中でも特定不妊治療に関する費用が補償されます。日本生命保険の「シュシュ」は女性向け商品となっていますが、東京海上日動火災保険では男性不妊治療も補償対象となっているのが特徴です。

受け取れる給付金

年齢や所得の制限はなく、特定不妊治療で実際にかかった自己負担額を補填してもらえます。ほかにも、切迫早産などで30日以上入院をしたときにも、一時金が支払われます。

上限金などの詳細に関しては、企業の総務部や健康保険組合の窓口で確認しましょう。不妊治療に対する国の助成金制度を利用したときには、保険から支払われる金額が差し引かれるので、注意が必要です。

不妊治療の保険には入るべきなの?

女性 お金 費用 計算 勘定

具体的に保証内容を確認したところで、実際に保険に入った方がいいのか、個人で加入が可能な日本生命保険の「シュシュ」を例に計算してみました(※1)。

日本生命保険「シュシュ」の支出と給付金の例

・25歳から45歳までの20年の保証
・5回の特定不妊治療を受けて一人出産した場合

● 支払い保険料:10,086円×12ヶ月×20年=約242万円
● 収入:5回×5万円+10万円+200万円+5,000円×6回ー35万円=203万円

払い込み金額に対して、戻ってくる金額は総じて少なくなります。また、特定不妊治療の費用は、治療方法や医療機関によって異なりますが、1回に10〜100万円ほどかかるため、保険だけではカバーできないことも考慮に入れる必要があります。

しかし、「シュシュ」は3大疾病に対応してくれるため、3大疾病をカバーする保険に入ろうと考えている人にとっては、そのオプションに不妊治療が保証されて、出産による一時金が受け取れるというのが魅力的ですね。

不妊治療の保険以外の費用保証の方法は?

カップル 夫婦 妊活 家族

不妊治療にかかる費用を補填するには、保険だけでなく下記の制度も活用しましょう。

助成金

国が主体となって行っている「特定不妊治療費助成制度」によって、特定不妊治療の費用が助成されます。基本は不妊治療1回につき15万円が支給され、初回であれば30万円まで助成金が支払われます。

都道府県や市区町村によってはさらに独自の制度もあるので、ホームページなどで一度調べてみてください。

医療費控除

特に特定不妊治療を利用すると医療費が高額になるため、確定申告時に医療費控除が受けられる場合があります。1年間の不妊治療の費用から助成金などを差し引いて、10万円以上のときには、上限200万円までの控除が受けられます。

1年間の費用を正しく申請して控除を受けるためにも、領収書を保管しておきましょう。

不妊治療の保険が治療を続けるのに役に立つ?

やめようと思った理由 不妊治療

「こそだてハック」のアンケートから、不妊治療をやめようと思ったことがある人は51.7%で、全体の約半数でした。さらに、治療をやめようと思った理由のうち、費用が原因と答えた人は35.6%にもなります。それだけ、不妊治療の費用負担をカバーしてもらえることが、治療を続けるかどうか悩むカップルの助けになるといえます。

不妊治療を保証する保険は数も少なく、全てのニーズを満たしたものではないかもしれません。それでも今後、保険商品が活用されることで、さらによいサービスが生まれることが期待されます。

*アンケート概要
実施期間:2016年9月9~26日
調査対象:不妊治療経験のある女性
有効回答数:827(20代:289名、30代:508名、40代:30名)
収集方法:webアンケート

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう