妊娠を希望していて、妊娠検査薬で陽性反応が出るとうれしいですよね。じつは、市販の妊娠検査薬では陰性の反応だったのに、産婦人科を受診したところ妊娠が判明、それも双子だったという人もいるようです。そこで今回は、双子を妊娠した場合の妊娠検査薬の反応の特徴についてご説明します。
妊娠の仕組みとは？
まずは妊娠の仕組みを知っておきましょう。
排卵された卵子と精子が卵管膨大部で受精して受精卵になると、分裂をくり返しながら子宮へ運ばれます。そして、子宮内膜に着床することで妊娠が成立します（※1）。
妊娠が成立すると、妊娠2週目から絨毛（じゅもう）が作られ始め、やがて「hCG（ヒト絨性性腺刺激ホルモン）」が分泌されるようになります。
絨毛とは？
絨毛とは、ママとお腹の赤ちゃんをつなぐ胎盤の一部です。
絨毛を通じてママから赤ちゃんへ酸素や栄養が送られ、赤ちゃんからは不要になった老廃物や二酸化炭素がママに送り返されます。
また、後述のhCGは絨毛で作られ、ママと赤ちゃんそれぞれに送られています。
hCGの働きとは？
hCGは妊娠8〜10週に盛んに作られ、妊娠4週から母体の尿の中から検出できるようになります（※1）。
妊娠初期は、このhCGが「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌を促します。
エストロゲンは子宮の筋肉を厚くしたり、子宮の血流を増やしたりして妊娠の維持をします。一方のプロゲステロンは妊娠中の排卵を抑制するなどして、妊娠を維持します。
双子の妊娠とは？
子宮内に2人の胎児が存在する状態を双体妊娠といいます。双子は、受精卵の数で一卵性もしくは二卵性に分類されます（※1）。
一卵性双胎
1個の卵子が1個の精子と受精したあと、2個以上の胎芽に分割し、それぞれが1つの個体として発育します。
両親から受けつぐ染色体は同一なので、性別や血液が同じ赤ちゃんが生まれます。
日本人の双子は、一卵性双胎が生まれることのほうが多いという報告があります。
二卵性双胎
2個の精子が2個の卵子と受精し、それぞれが１つの個体として発育します。
両親から受け継ぐ染色体が異なるため、性別や血液型が異なる赤ちゃんが生まれるケースもあります。
双子は妊娠検査薬の反応に特徴がある？
妊娠検査薬は、尿の中に一定量以上のhCGが含まれていれば陽性反応を示すように作られています。なぜならhCGは、妊娠していない女性や男性の体内では作られないホルモンだからです（※1)。
一般的な妊娠検査薬は、尿中のhCG値が50mIU/mL以上の場合に陽性反応が出る商品が多いようです。
ただ、双子を妊娠すると、通常の妊娠時の1.93倍もhCGが分泌されることがわかっています（※2）。
市販の妊娠検査薬のなかには、生理がこず、検査薬で調べても結果が陰性となるケースの一例に「妊娠によるhCGが非常に多く分泌した場合」という注意を記載している商品もあります（※3）。
このようなことから、双子を妊娠すると、本来なら陽性を示すはずの妊娠検査薬が陰性を示してしまうことがあるようです。
妊娠検査薬が陰性なのに予定している生理がこない場合は、双子の妊娠も疑って、他のメーカーの妊娠検査薬を試してみたり、産婦人科を受診してみたりしてください。
妊娠検査薬の陰性反応は双子妊娠ではなく病気かも？
予定している生理がこないのに妊娠検査薬で陰性が出るときは、双子の妊娠ではなく、「胞状奇胎妊娠（ほうじょうきたいにんしん）」の可能性もあります（※2）。
胞状奇胎妊娠とは妊娠初期に見つかりやすい異常で、絨毛細胞が異常増殖を起こして水疱状のブツブツになります。40歳以上の高齢の妊婦さんによく見られ、妊娠初期に不正性器出血が見られたり、つわりが重かったりします。
絨毛が異常増殖するためhCGの値も高くなり、双子妊娠のときと同じ原理で、妊娠検査薬が陰性反応を示すことがあるのです。
胞状奇胎妊娠は妊娠を継続することができず、妊娠初期のうちに流産になるか、手術で妊娠を中断することになるのが一般的です（※４）。
妊娠検査薬が陰性でも双子妊娠の可能性があります
双子を妊娠していたためにhCG値が高く、そのために妊娠検査薬の反応が陰性だったということもあります。
産婦人科に行って双子の妊娠を知るというサプライズがある反面、ごくまれに悲しい結果となることもあります。
市販の妊娠検査薬は、あくまでも簡易的な検査です。妊娠検査薬の反応に関わらず、予定していた生理が来ない場合は、すみやかに産婦人科を受診してくださいね。
