女性特有の病気の早期発見や予防に大切な「婦人科検診」。しかし内診では腟のなかに器具を入れて検査をすることから、性経験がない女性は婦人科検診を受けることに不安を抱くことがあると思います。そこで今回は、性経験のない女性でも婦人科検診を受けられるのか、婦人科検診は必要なのか、痛みはあるのか、についてご説明します。
婦人科検診とは?何をするの?
婦人科検診とは、子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮頸がん、子宮体がんなど、女性特有の病気の早期発見を目的とした検査です。主に婦人科や産婦人科で行われ、主に20歳以降の女性が受けるものです。
婦人科検診という言葉に明確な定義がないため、病院によって検診の内容が異なることがあります。また、年齢によって受けた方が良い検査内容が変わることもありますが、一般的な婦人科検診では、主に問診と内診が行われます。
問診
問診では、生理の状態や自覚症状、性体験の有無、妊娠・出産経験の有無などについて、医師から詳しい質問を受けます。医師の質問に詳しく答えることで、その後の検査がスムーズに進みます。
内診
内診とは、腟のなかに直接指や器具を入れて行う検査のことです。内診では、腟や子宮、卵巣の様子を見て、子宮筋腫や子宮がん、卵巣腫瘍、子宮内膜症、性感染症などの症状がないかを確認します。
婦人科検診は性経験がなくても受けられる?
内診で腟のなかに指や器具を入れるため、性経験のない女性は婦人科検診を受けられないのではないか、と思う人がいるかもしれません。
性経験のない女性が婦人科検診を受けられないと思う理由として、いわゆる「処女膜」とよばれるものが破れていないから、ということがあると思います。
腟の入り口は、腟の中と外とを隔てる薄い粘膜によって覆われています。この俗に処女膜と呼ばれる膜によって、腟の入り口は完全に覆われていると思っている人がいますが、もともとこの膜には少し穴が開いています。
つまり、婦人科検診を受けることで、いわゆる処女膜が破れる、ということはありません。性経験の有無に関わらず、誰でも婦人科検診を受けることができます。
ただし、性経験がない女性の場合、この膜に開いている穴が小さく、指や器具を入れるのが難しいことがあります。
そのため性経験がない女性の場合は、腟ではなく肛門に指や器具を入れる直腸診や、お腹の上から超音波検査で子宮や卵巣の状態を見ることもできます。性経験がない女性は、その旨を事前に医師に相談してください。
婦人科検診は性経験がなくても必要なの?
婦人科検診は、恥ずかしさや怖さから、受診することを避けてしまう女性が少なくありません。また性経験のない女性の場合、女性特有の病気にかかるリスクは低いだろう、と考えて婦人科検診を受けない人もいるかと思います。
しかし性経験がないからといって、子宮や卵巣の病気になるリスクがないわけではありません。婦人科検診をしなかったことで病気に気づかず、重症化してしまうこともあります。
婦人科検診の内容は、性経験の有無によって少し異なることがあります。性経験のない女性には必要のない検査を外して受けることができるので、性経験がなくても、20歳を迎えたら定期的に婦人科検診を受けることをおすすめします。
婦人科検診は性経験がないと痛いの?
婦人科検診を避ける理由の一つとして、腟を直接触る内診は痛いのではないか、という不安があります。
先述のように、性経験のない女性は、基本的に内診の代わりに直腸診やお腹の超音波検査を行います。ただ、検査の内容によっては内診をしなければならないことがあります。
痛みの感じ方には個人差がありますが、ほとんどの場合は、内診の際の痛みは気にならない程度です。
性経験のない女性の場合は、先述のように腟の入り口の穴が小さく、指や器具を入れる際に痛みを強く感じることがあるかもしれません。しかし病院によっては、性経験のない女性には通常よりも少し細めの検査器具を使用したり、挿入する際に潤滑剤を使用したりして痛みを軽減させてくれますよ。
また、恥ずかしさや緊張から体に力が入っていると、痛みを感じやすくなることもあります。痛みをやわらげるには、リラックスして受けることが大切です。
痛みに対して不安がある場合は、事前に医師に相談しましょう。
婦人科検診は性経験がなくても定期的に受診しましょう
婦人科検診は、何をするのか分かりづらく、初めての人は不安を感じるのは当然です。特に性経験がない場合、腟のなかに指や器具を入れられるのが不安だったり、処女であることを医師に伝えるのが恥ずかしかったりすると思います。
しかし、婦人科検診を受けることで、がんなどの病気の早期発見につながります。性経験がなくても女性特有の病気にかかるリスクはあるので、1〜2年に1回など、定期的に婦人科検診を受けるようにしてくださいね。