生理が重くて受診して、または、妊娠してはじめて子宮筋腫があると気づく人も多くみられます。子宮筋腫や、子宮内膜にできたポリープを取り除く治療方法の「子宮鏡下手術」。「しきゅうきょうかしゅじゅつ」と読み、術後の回復が早い手術として知られています。今回は、子宮鏡下手術とは?痛みや費用は?など、様々な疑問にお答えします。
子宮鏡下手術とは?
子宮鏡下手術とは、子宮筋腫や子宮内膜にできたポリープを切除する際に取られる治療法のひとつです。
子宮筋腫のほとんどが良性です。悪性化することはごくまれで、0.5%以下と報告されています(※1)。そのため、大半は経過観察や対症療法となることが多くなります。
しかし、過多月経や月経困難症が見られたり、周辺の臓器を圧迫するほど筋腫が大きくなった場合は、手術を検討します。筋腫が大きくなると、腰痛や便秘、排尿障害といった症状が見られることもあります(※1)。
手術は、筋腫部分だけを摘出する「筋腫核出手術」と、子宮をすべて取り除く「子宮全摘出術」があります。「子宮鏡下手術」は筋腫核出手術のうちのひとつで、負担の少ない手術です。また、妊娠に向けてより良い子宮環境とするために行われることもあります(※1)。
また、子宮筋腫はできる部位によって種類が分かれます。「子宮鏡下手術」は、筋腫が子宮内膜の直下に発生し、子宮腔内に向けて発育する「粘膜下筋腫」対して、主に行われる手術法です。筋層内筋腫にも行われることもあります。
子宮鏡下手術のメリットは?
子宮鏡下手術は、開腹せず、腟からレゼクトスコープという子宮鏡を入れて筋腫を切除します(※1)。筋腫が大きい場合は、何回かに分けて手術を行うこともあります。
筋腫核出手術には、「子宮鏡下手術」のほかに「開腹手術」と「腹腔鏡下手術」があります。子宮鏡下手術は開腹しないので体への負担が少なく、入院期間が短くて済みます。また、おなかの傷がないというメリットもあります。
しかし、子宮鏡下手術は熟練した技術が必要となるため、どの病院でも受けられるとは限りません。
子宮鏡下手術に痛みはあるの?
ポリープの切除や、腫瘍が小さい場合は腰椎麻酔や点滴の麻酔をして眠りながら手術をすることが一般的です。腫瘍が大きかったり、数が多い場合は全身麻酔になることもあります。病院によっては、腫瘍の大きさに限らず全身麻酔を採用しているところもあります。
そのため、手術中の痛みを感じることはありません。また、手術後も、痛みはほとんど感じません。
子宮鏡下手術のあと、仕事復帰はいつから?
子宮鏡下手術のよる入院は、2泊3日となるケースがほとんどです。
手術の前日に入院して、手術前の処置を受けます。手術の翌日に診察を受け、問題がなければ退院となるケースが一般的です。病院によっては、術後2〜3日で退院としているところもあります。
自宅での療養は術後の回復具合にもよりますが、概ね1〜4日程度と言われる人が多いでしょう。軽いデスクワークなら、退院翌日から許可されることもありますが、個人差があるものなので、退院時の診察で医師に確認するようにしましょう。
子宮鏡下手術の費用は?
手術を複数回行ったり、入院日数が長引くことがなければ、2泊3日の入院で7〜11万円程度が一般的です。
子宮鏡下手術後の生理や妊娠への影響は?
子宮鏡下手術は子宮の中で行うため、その刺激から術後に出血することもあります。しかし、手術後2〜3日頃には出血が治まることがほとんどです。
子宮鏡下手術で生理は軽くなる人が多い
多くの人は、手術前と周期がずれることなく生理がきます。手術前より生理の痛みが軽減し、量も少なくなります。なかには、生理の回数を重ねるごとに、痛みや量が軽減された人もいます。
術後の検診時に伝えられるように、いつ生理がきたのか、痛みや量の変化はどうだったのかメモをしておくといいでしょう。
子宮鏡下手術後の性行為はいつから?
腟や子宮からの感染を防ぐため、性行為を控えるようにいわれることがほとんどです。控える期間は、1週間程度〜術後2回目の生理が終わるまでと、それぞれの状況によって異なるため、退院時の診察や、手術後の診察時に相談し、医師に許可をもらってからにすると安心ですね。
子宮鏡下手術の妊娠への影響は?
子宮鏡下手術は、子宮の筋腫部分だけを摘出するため、不妊につながるわけではありません。逆に、不妊の理由は様々なので、子宮鏡下手術で子宮筋腫の治療を受けたからといって、からなずしも不妊が解消するとはいえません。
子宮筋腫が疑われ、さらに、不妊に悩んでいる場合は、診察時に医師に相談するといいでしょう。
子宮鏡下手術は女性特有の悩みの解決策のひとつ
子宮筋腫は婦人科疾患のなかでもっとも多く見られ、症状が重くなければ経過観察をなることがほとんどです(※1)。
とはいえ、重症化すれば日常生活に支障をきたしたり、不妊の原因になったり、切迫早産など分娩に影響を与えることもあります(※2)。
妊婦さんや妊活中のひとはもちろん、まだ出産を考えていなくても、生理が重いひとは早めに婦人科を受診しましょう。子宮鏡下手術なら体への負担も少なく、数日で退院できるので、生理の悩みから解放されるかもしれませんよ。