未熟児の定義は?修正月齢って何?計算方法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

「未熟児」や「修正月齢」という言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、その正確な定義はあまり知られていません。それでは、一体どんな意味を持った言葉なのでしょうか?今回は、未熟児と修正月齢の定義や、未熟児で産まれた場合のリスクについてご紹介します。

未熟児の定義は?

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未熟児とは、「身体の機能が十分に成熟していないうちに生まれた赤ちゃん」のことです。主に、出生体重が2,500g未満、かつ早産で産まれた赤ちゃんのことを指します。

以前は2,500g未満の赤ちゃんを総称して、未熟児と呼んでいました。しかし、体重が軽く生まれても身体機能には問題がない赤ちゃんもいれば、逆に2,500gを超えていても、身体機能が未熟な赤ちゃんもいます。

結果的に、出生体重だけで未熟児と決めるのは適切でないと判断され、赤ちゃんの身体機能も考慮し、出生児の分類がされることが多くなりました。

しかし、医師によっては以前のように、出生体重が2,500g未満の赤ちゃんという意味で未熟児という言葉を使うこともあるので、どの意味で使われているのか不明なときは、確認しておきましょう。

未熟児は、出生体重と在胎週数で分類できる?

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未熟児は、出生体重と在胎週数の観点から見ると、より細かく状況を把握でき、適切な処置へとつながります。

出生体重による出生児の定義

出生体重で分類されるのが、低出生体重児、極低出生体重児、超低出生体重児の3つです。低出生体重児は2,500g未満の出生児、極低出生体重児は1,500g未満の出生児、超低出生体重児は1,000gの出生児のことを指します。

低出生体重児には、妊娠期間は十分だが小さく産まれた場合と、早産で産まれた場合の2つがあります。

在胎週数による出生児の定義

ママのお腹の中にいた週数を在胎週数といい、在胎週数で分類されるのが早産児、正期産児、過期産児の3つです。

早産児とは、在胎37週未満で産まれた赤ちゃん、正期産児とは在胎37~42週未満で産まれた赤ちゃん、過期産児とは在胎42週以降に産まれた赤ちゃんのことを指します。

未熟児はどう成長するの?修正月齢とは?

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未熟児の場合、身体機能、特に呼吸器・消化器の発達が未熟であるため、新生児集中治療室(NICU)に入院することが多くあります。体重の増加や症状の改善を確認して、退院するまで、1~2週間以上かかる場合もあります。

この際に「修正月齢」という言葉が医師から伝えられることがありますが、修正月齢とは、実際に産まれた日ではなく、出産予定日を基準にした月齢のことです。

たとえば、予定日より2ヶ月前に生まれた場合、生後2ヶ月を「修正月齢で生後0ヶ月」、生後4ヶ月が「修正月齢で生後2ヶ月」と考えます。

修正月齢を見ながら、未熟児の発育が良好か判断していきます。早産児の出生体重が1,500g以上の場合は1歳頃まで、早産児の出生体重が1,000~1,500gの場合は2~3歳頃までに、正期産の赤ちゃんの発育に追いつく傾向にあります。

未熟児で産まれたら、障害が残りやすいの?

病院 受診

未熟児で産まれて気になるのが、障害が出やすいのか、元気に育ってくれるのかという点だと思います。

厚生労働省が発表しているデータによると、1,000g未満の出生体重で産まれた赤ちゃんのなかで、3歳のときに脳性麻痺の症状が出ている割合は10.9%で、死亡している割合は17.3%です。

一方で、1,000~1,500gの出生体重で産まれた赤ちゃんのなかで、3歳時点で脳性麻痺になるのは6.4%で、死亡しているのは3.4%です(※1)。

もし「赤ちゃんに障害が残るかも」と医師に言われたら、大きなショックを受けるかと思います。不安なことは一人で抱え込まず、パートナーやサポートしてくれる人と気持ちを共有しましょう。

また、すぐには無理でも、その障害が一体どんなものなのか医師や本を通して理解を深めていき、そして、どう障害と付き合っていけばいいか家族と話し合ってみてください。

未熟児の出生状況は?

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厚生労働省のデータによると、平成19年において、出生体重が2,500g未満の赤ちゃんは全国で約10万人近く産まれており、割合で見ると、低出生体重児の数は全体の出生数の9.6%です(※2)。

また、母親の年齢が10代と40歳以上の場合、低出生体重児を出産する可能性が比較的高い傾向にあります(※1)。

未熟児養育医療制度とは?

チェックリスト
未熟児養育医療制度とは、身体機能が未熟な状態で赤ちゃんが産まれ、入院養育が必要であると医師が認めた場合に、自治体が医療費を補助してくれる制度です。

一般的に、赤ちゃんの出生体重が2,000g以下の場合、呼吸器の異常があり人工呼吸器を使用し、酸素を日常的に補う必要がある場合など、指定の症状が見られた場合に、未熟児養育医療制度を利用できます。

未熟児養育医療制度を申請するには、さまざまな書類を提出する必要があり、自治体によって補助金額や申請手続きも異なります。申請する際は、住んでいる地域の自治体に問い合わせてみましょう。

未熟児で生まれても、修正月齢で見守ろう

赤ちゃんが未熟児で産まれてくると、障害が残らないか、健康に育ってくれるかなど心配事が尽きないと思います。しかし、産まれたときは未熟児でも、元気に育った赤ちゃんはたくさんいます。

妊娠・出産となると、ネガティブな方面に目を向けがちですが、あまり心配しすぎず、家族みんなで赤ちゃんの成長を見守ってあげましょう。

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