子供がかかるがんの中で最も多いのが白血病です。しかし子供の白血病について詳しい知識を持っているというママやパパはあまりいないのではないでしょうか。今回は、子供の白血病の初期症状にはどのようなものがあるのか、生存率はどれくらいなのか、検査方法にはどのようなものがあるのかなどについてご説明します。
子供の白血病はどんな病気?
白血病とは、血液を作る骨髄ががん化して白血病細胞となり、無制限に増殖することで発症する病気です。白血病になると、正常な赤血球・白血球・血小板が白血病細胞と同時に作られることはありません。
子供がかかるがんの中でも特に多いのが白血病で、「小児白血病」と呼ばれることもあります。
子供の白血病にはいくつか種類がありますが、次の2つがそのほとんどを占めています(※1)。
急性リンパ性白血病(ALL)
子供の白血病のうち、約70%が急性リンパ性白血病です。2〜5歳の間に発症することが多く、子供10万人あたり年間3〜4人が発症し、毎年約500人が急性リンパ性白血病と診断されています。
急性骨髄性白血病(AML)
子供の白血病のうち、約25%が急性骨髄性白血病です。日本では毎年約180人の子供が急性骨髄性白血病と診断されています。
子供の白血病の原因は?
子供の白血病の原因は特になく、偶然の確率で起こる病気だとされています。
例えば大人の場合、タバコが原因で肺がんになることがありますが、子供の白血病の場合はそのような明確な要因がありません。ごく一部の例外をのぞいて、子供の白血病はママやパパからの遺伝や生活環境など、特定の原因によって発症することは少ないとされています(※2)。
子供の白血病の初期症状は?
ここでは、子供の白血病の初期に現れる症状のうち、代表的なものを紹介します。ただし、子供の白血病の症状には個人差があります。すべての白血病の子供に、同じ症状が出るわけではありません(※2)。
感染症にかかりやすくなる・発熱が長引く
白血病になると、血液中の正常な白血球の数が減ってしまいます。白血球は免疫を担っているので、少なくなると感染症にかかりやすくなったり、治りにくくなったり、あるいは通常の免疫力があればかからないような感染症にかかってしまうなどの症状が出ます。
その結果、発熱し、それが長引くこともあります。
貧血になる・顔色が悪くなる
子供が白血病になると、白血球だけでなく正常な赤血球の数も減ります。赤血球は酸素を運ぶ働きをしているため、少なくなってしまうと貧血状態になって体がだるく感じたり、顔色が悪くなったりします。
出血しやすくなる
白血病にかかると血小板も少なくなります。血小板は出血を止める役目を果たしているため、少なくなるとケガをしたときに鼻血が止まりにくくなったり、あざがたくさんできたり、大量に出血したり、脳などの臓器で出血するようになったりします。
骨が痛くなる
白血病細胞が骨髄の中で増えることにより、骨が痛くなることがあります。
首や足のつけ根などにしこりができる
リンパ節や肝臓、脾臓などに白血病細胞が溜まって大きくなり、首や足のつけ根などにしこりができることがあります。
子供の白血病の検査方法は?
子供に白血病を疑うような症状が見られたら、次のような様々な検査が行われます(※4)。
血液検査
血液中の細胞の増減を調べる検査です。子供の白血病では、白血球数が増えていることもあれば減っていることもあります。赤血球や血小板の数は減っていることが多いとされています。また、白血球の内容を調べ、白血病細胞の有無を調べます。
骨髄検査
腰の骨に針を刺し、骨の中にある骨髄液を調べる検査で、白血病細胞の数や性質、治療効果の判定などにも使われます。痛みを伴うため、子供に全身麻酔をかけたり、鎮静薬を使ったりしてから行います。
染色体検査・遺伝子検査
白血病細胞の遺伝子や、その集合体である染色体の構造や数の異常を調べて、治療法を決定します。
超音波検査・CT検査
脳や肝臓などの臓器などの異常や合併症がないか、がんが他の部位に広がっていないかなどを確認するための検査です。
子供の白血病の治療方法は?
子供の白血病は段階的に治療するため、いきなり白血病細胞の根絶を目指すようなことはしません。
複数の薬を使い、まず始めに白血病細胞の数を減らしたり、症状を軽くしたりする治療を行い、そのあと根絶や再発の予防に向けた治療を行います。この段階的な治療は、少なくとも2年間は続けた方がいいとされています。
ただし、検査の結果、今よりも悪くなる可能性が高いことがわかったり、再発のリスクが高いと判断された場合には、造血幹細胞移植という治療が行われることもあります(※5)。
子供の白血病の生存率は?
数十年前まで、子供の白血病はほとんど治らない病気でした。しかし、現在は薬や治療を手助けする支持療法などの進歩によって生存率が向上しています。
急性骨髄性白血病の場合は約60〜70%、急性リンパ性白血病の場合は約80%以上は長期生存が期待されます。
なお、白血病の治療が終了してから4年たっても再発しない子供は、それ以降に白血病を再発する確率が1%以下なので、4年再発しなければほぼ「治った」といえます(※2,3)。
子供が白血病でも悲観しすぎないで
子供の白血病は、かつては不治の病とされてきましたが、現在は医療の進歩により、状況は大きく改善しています。ですから、子供が白血病だと診断されても、あまり悲観的になりすぎないでください。
ただし、子供の白血病は個人差があり、症状の現れ方が子供ごとに違います。子供に何か気になる点がある場合や健康診断などで詳しい検査が必要と言われたときは、きちんと病院で診てもらってください。また、子供が白血病だと診断された場合は、信頼できる病院を探した方がよいでしょう。
ママとパパで子供の心と体を支えつつ、自分たちの心と体もケアしてくださいね。