環境ホルモンとは?生殖機能や胎児への影響は?母乳に含まれる?

「環境ホルモンが人間の生殖機能に悪影響を及ぼす」という話を聞いたことはありませんか?一昔前、ごみを燃やすと発生する可能性があるダイオキシンに注目が集まりましたが、私たちの身の回りには環境ホルモンと疑われる物質がたくさんあります。目に見えない小さな物質のため、知らず知らずのうちに摂取しているかもしれないと考えると少し怖いですよね。今回は環境ホルモンとは何なのか、人体にどんな影響を与えるのか、妊娠中の胎児は影響を受けるかなどをご紹介します。

環境ホルモンとは?

環境ホルモンとは、内分泌かく乱化学物質とも呼ばれ、「動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営まれる正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質」と環境省は定義づけています(※1)。

環境ホルモンのなかには、卵胞の成熟を促したり、子宮内膜を厚くしたりする女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と似た作用を持っているものがあることから、女性が環境ホルモンを摂取すると、子宮筋腫や子宮内膜症といった病気の原因になるという説があります(※2)。

このように環境ホルモンの摂取は、生殖機能に影響を与えるかもしれないと危惧されていますが、実は今のところはっきりとした結論は出ていません。環境ホルモンの人体に対する影響は、いまだ研究段階にあります(※3)。

環境ホルモンの疑いがある物質は?

チェックリスト

環境ホルモンの疑いがある物質としては、廃棄物を焼却する過程で発生するダイオキシンが有名です。しかし、あまり意識したことがないかもしれませんが、環境ホルモンと疑われている化学物質は殺菌剤や殺虫剤、防腐剤、農薬、食品添加物などに含まれていることがあり、誰でも日常的に体内に取り込む可能性があります(※4)。

具体的には、殺虫剤に使われていたDDT、電気製品に使われていたポリ塩化ビフェニール、漁網の汚染防除剤に使われていたスズなどがあり、これらの物質は現在では使用が禁止されています。

しかし、ビスフェノールAという環境ホルモンの疑いがある物質は、食品用容器の元となるプラスチックの原料として使われていることがあり、日常的に接する機会があります。その有毒性については現在も研究が続けられており、厚生労働省は「公衆衛生の見地から、ビスフェノールAの摂取をできるだけ減らすことが適当と考えられる」と見解を示しています(※5)。

環境ホルモンの胎児への影響は?

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妊娠中の環境ホルモン摂取による胎児への影響は、まだはっきりしていません。胎児は胎盤を通して母体から栄養を受け取っており、環境ホルモンも胎盤を通して胎児が摂取する可能性があります。

胎児の成長においてホルモンは大きな役割を担っており、そこに環境ホルモンが介入してくると、胎児の成長に何らかの影響が出ると考えられています。しかし、具体的な影響についてはまだ分かっていないのが現状で、さらなる研究が必要です(※6)。

環境ホルモンは母乳に含まれる?

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環境ホルモンの疑いがあるダイオキシンは、脂質に溶解する性質があり、脂肪分が多い母乳にも含まれているといわれています(※7)。

「それでは、赤ちゃんに母乳をあげない方がいいの?」と思うかもしれませんが、母乳には赤ちゃんの成長や感染防止をもたらす栄養素が豊富に含まれています。ダイオキシンが含まれていたとしても、母乳で元気に育った赤ちゃんはたくさんいます。

母乳育児、ミルク育児、混合育児、それぞれのメリットとデメリットを見ながら、赤ちゃんにとって一番望ましい育児法を見つけてあげてください。

環境ホルモンの摂取を避ける方法は?

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環境ホルモンの人体に対する影響ははっきりしていないとはいえ、悪影響を及ぼす可能性があるなら、できるだけ避けたいというのが正直なところかと思います。環境ホルモンと疑われる化学物質は身のまわりにたくさんあり、完全に避けることは難しいですが、以下の方法を実践すれば、ある程度環境ホルモンの摂取量を減らすことが可能です。

無添加の食品や無農薬の野菜・果物を買う

環境ホルモンと疑われる化学物質が、食品添加物や農薬に含まれていることがあります。したがって、できる限り無添加の食品、農薬を使っていない野菜や果物を買うようにしましょう。

インスタント食品や冷凍保存には添加物が含まれていることが多いので、自分で食事を準備する機会を増やすと、食品添加物の摂取量を減らせますよ。

プラスチック容器は避ける

軽くて頑丈なプラスチック製の食器は便利ですが、環境ホルモンが含まれている可能性はゼロではありません。プラスチック容器から環境ホルモンの疑いがある物質「ビスフェノールA」が溶け出すことがあり、食器やお弁当は買う際は、商品の底などを見て製品材質をチェックしましょう。

環境ホルモンが気になってプラスチック製の食器を使いたくない場合は、ガラスや陶器、漆器の食器を使ってみるといいでしょう。

環境ホルモンを理解して避ける工夫をしよう

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現代社会では、環境ホルモンと全く接触せずに生活するのは難しいです。ただし、環境ホルモンと疑われる物質が身の回りにたくさんあることをきちんと理解し、食品添加物や農薬野菜を避けたり、容器の材質に注意したりして接する機会をできるだけ減らしていけば、健康被害を受けるリスクを軽減できます。

生活習慣を一気に全部変えようとするのではなく、まずは無理のない範囲で少しずつ変えてみるといいかもしれません。

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