出産直後のママは、体のダメージが大きく残っているだけではなく、ホルモンの影響で心にも大きな変化が起こっています。
産後はママ自身も心身の変化に戸惑っているので、パパのサポートがとても大切。あらかじめどのような変化が起こるのか知っておくことで、気持ちに余裕を持って対応することができますよ。
今回は産後ママの心身の変化と、パパができる具体的なアクションについてご紹介します。
産後ママを襲う、ホルモンバランスの乱れ
出産によるホルモンバランスの変化は激しく、よくジェットコースターに例えられるほどです。
妊娠中は、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌量が増えますが、出産が終わると急激に減少。その代わりに、母乳の分泌を促す「プロラクチン」や「オキシトシン」というホルモンの分泌量が増えます。
こうしたホルモンバランスの乱れによる影響について、特に以下の2つを知っておくと、パパも産後のママの変化に戸惑わなくてすみますよ。
涙がポロポロ…「マタニティブルーズ」
出産後、「わけもなく涙が出る」「なんでもないことにイライラする」といった症状が現れることがあります。これは「マタニティブルーズ」といい、産後すぐのママによく見られる一過性の情緒不安定のことです(※1)。
最も特徴的な症状は、涙もろくなること。軽度の抑うつや不安感、集中力低下などの症状が出るママもいます(※1)。一般的には2週間ほどで元どおりになることが多く、特別な治療を行わないケースがほとんどです。
ただし2週間経っても治らない場合には、産後うつに進行している可能性があります。その場合は治療が必要になるので、できるだけ早く病院に行くようにしてくださいね。
赤ちゃん以外は敵!の「愛情ホルモン」
産後に分泌が増えるオキシトシンは「愛情ホルモン」とも呼ばれます。オキシトシンが分泌されると、ママは赤ちゃんをより愛おしく感じるようになり、母性愛が強まります。
一方で、「赤ちゃんを守ろう」という気持ちが強くなってしまうために、「赤ちゃん以外の人に攻撃的になる」作用があることもわかってきました。
産後、パパに対して当たりが強くなるのは、オキシトシンが影響しているのかもしれません。ママも自分自身の気持ちの変化に戸惑っています。パパは感情的にならず、冷静にママの気持ちに寄り添ってあげることが大切ですよ。
産後ママの体は不調だらけ
どれだけお産がスムーズだったとしても、出産は体に大きなダメージを残します。医学的にも、出産の影響を受けた体が妊娠前の状態に戻るまで6~8週間かかるとしており、この期間を「産褥期(さんじょくき)」と呼びます(※2)。
ただ、その間にも赤ちゃんのお世話は待ったなしです。以下のような基本的な不調については、パパも最低限押さえておきましょう。
後陣痛
空っぽになった子宮を収縮させ、元の状態に戻すことで発生する下腹部の痛みを「後陣痛」と言います。一般的には2〜3日続きますが、中には1週間ほど続く人もいます。
骨盤のゆがみ
出産時に最大限緩んだ骨盤は、産後1~2週間は緩く、開いた状態です。この間は思うように体を動かせず、骨盤まわりに痛みを感じます。骨盤の戻りが遅くなると、歩けないほどの腰痛が起きる場合もあります。
切開縫合部分の痛み
出産時、赤ちゃんの頭の通り道を広げるために会陰切開(えいんせっかい)をしたり、会陰部が裂けて縫合したりした場合、産後しばらく傷口が痛みます。帝王切開の場合も、術後は痛みが強く残ります。
一般的に、産褥期の間は痛みが続くことが多いようです。
抜け毛や肌の変化
抜け毛は産後脱毛症や分娩後脱毛症とも呼ばれ、多くのママが経験します。産後6ヶ月前後でおさまる人が多いですが、1年以上続く人も。また、肌が敏感になってかゆみや湿疹に悩まされたり、シミができたりする人もいます。
妊娠中にパパができる具体的なアクション
出産によるママの心身の変化は、個人差こそあれ、体の仕組みなので完全に防ぐことはできません。妊娠中は、まずはパパがこのような状況を理解し、事前に準備しておくことが大切です。
得意な家事を見つけておく
洗濯、掃除、片付け、料理、皿洗い…どんな家事も赤ちゃんが生まれてくると、お世話で中断することが増え、思うようにできません。また、産後はママの体調がすぐれなかったり、思った以上に動けない場合も。
パパもママと同じように家事ができるようになっておくと、ママも安心して頼ることができますよ。
苦手な家事はあるかもしれませんが、ぜひ今のうちに得意な家事を見つけておいてください。パパ自身も率先して取り組める部分があると、気持ちも楽ですよ。
身近な人の赤ちゃんに会いにいく
もしも家族や友人に赤ちゃんが生まれていたら、ぜひママと一緒に会いに行って、お世話を体験させてもらうといいですよ。実際に赤ちゃんに触れることで、より育児のイメージがわきますし、夫婦で改めて生まれた後のことについて話し合うこともできます。
生まれる前はなかなかパパの実感がわかない、という男性も多くいますが、前もって赤ちゃんのお世話を経験しておくことは「パパスイッチ」を発動するきっかけになり得る、という調査結果もありますよ。
サポート体制を準備しておく
赤ちゃんのお世話を夫婦だけで抱えてしまう必要はありません。産後に利用できるサポート先を、いくつか持っておくと安心です。
産後ヘルパーや産後ケアセンター、ベビーシッターなど、気になるサービスを調べておきましょう。登録に時間がかかるものもあるので、妊娠中にやっておくと、産後すぐに利用できて便利ですよ。
自治体によっては補助金を出してくれることもあるので、合わせて住んでいる地域のサービスを調べてみてくださいね。
産後にパパができる具体的なアクション
産後は妊娠中よりもパパが具体的にできることが増えます。
基本的な育児は率先して
赤ちゃんが生まれてきたら、授乳以外のお世話はパパもできることです。入浴、ミルクを飲ませる、オムツを変える、泣いたらあやす、遊んであげる、夜泣き対応など、率先してやっていきましょう。
産後はパパが新米パパであるように、ママも新米ママです。わからないことや途方に暮れることもたくさんあります。
そんな時、パパも一緒に育児をしているからこそ、共感することができたり、一緒に考えることができますよ。育児を通して、夫婦の信頼関係も深めていってくださいね。
産後2週間後はセルフチェックを
ホルモンバランスの乱れによる「マタニティブルーズ」は2週間ほどでおさまりますが、そのまま産後うつに進行してしまうママは10人に1人いると言われています。
産後ママは自分のことは後回しになってしまいがちなので、パパがママの体調の変化をキャッチしてあげてください。産後2週間後に一度セルフチェックをしてみると、ママも自分の気持ちに向き合えるきっかけになっていいですよ。
また、実は男性にも産後うつがあります。ママと一緒にパパもセルフチェックを活用してみてくださいね。
身近なパパが一番の理解者に!
妊娠中のママは、お腹の中の赤ちゃんを守ることで必死です。パパはぜひ、産後ママの心身に起こる変化についてママ以上に理解を深め、家事や今できることに率先して取り組んでみてくださいね。
身近なパパがママのことを理解して寄り添ってくれることが、ママにとって大きな支えになりますよ。