自分が歯並びで苦労した経験があると、「子供にはキレイな歯並びになってほしいな」と思うママやパパも多いのではないでしょうか。子供の歯並びは遺伝することもありますが、実際には生活習慣など後天的なものに大きく影響を受けます。そこで今回は、乳歯から永久歯に生え変わる頃の子供の歯並びについて、歯並びが良い状態や悪い状態の目安、対処法や歯科矯正が必要なケースなどをまとめました。
子供の歯並びが良い状態とは?
歯並びが良い状態とは、永久歯の上の歯1本が下の歯2本の間に位置するようにかみ合い、上下の歯が前後に大きくずれていないことがひとつの目安です。
しかし、乳歯と永久歯が混在している時期は、まだ歯並びが乱れて見えることも(※1)。永久歯が生え揃うことで徐々に整っていくので、一概に歯並びの良し悪しは断定できません。
乳歯から永久歯に生え変わる時期の「歯並びが良い」目安として、以下の状態があげられます(※2)。
□ 第一大臼歯(6歳臼歯)が正しく生えている
□ 上の前歯2本の隙間が開いていない
□ 上の前歯が下の前歯2本の後ろに入り込む「受け口」になっていない
□ 乳歯の前歯が抜けた状態で永久歯が生えている
□ 側切歯(前歯2本の両側の永久歯)が歯列からはみ出さずに生えている
□ 上の前歯に下の唇が入り込むような前後差がない
□ (永久歯が生えそろった後)奥歯をかみ合わせたときに上下の前歯の間に隙間がない
子供の歯並びが悪い状態とは?
子供の歯並びが悪い状態は、主に歯並び(歯列)がデコボコとして揃っていない、顎自体が前後にズレていて、かみ合わせが良くない状態をいいます。
遺伝といった先天的な理由や、生活習慣による後天的な理由があり、種類も様々。ここでは、歯並びが悪いといわれる代表的な歯の状態をご紹介します(※3)
受け口
「反対咬合(はんたいこうごう)」といい、噛み合わせたときに、下の歯が上の歯よりも前に出てしまっている状態です。「下顎が上顎よりも早く成長した」「上顎の成長が不足する」などが原因で起こります。
出っ歯
「上顎前突(じょうがくぜんとつ」といい、上顎の骨や前歯が前に出てしまっている状態。下顎の骨の発達が悪くて出っ歯にみえるケースも。
乱杭歯(らんぐいば)・八重歯
「叢生(そうせい)」といい、見た目にもすぐにわかるほど、歯の並びが凸凹になり、歯列からずれてしまっている状態。犬歯が飛び出た状態の八重歯も叢生の一種です。
開咬(オープンバイト)
奥歯はしっかりと咬んでいる状態でも上下の前歯が開いてしまっている状態です。
過蓋咬合(かがいこうごう)
上の前歯に下の唇が隠れてしまうほど、前後差がある状態です。
すきっ歯
正式には「空隙歯列(くうげきしれつ)」といい、歯と歯の間に隙間がある状態をいいます。
額変形症(がくへんけいしょう)
歯並びというよりも、顎全体が極端にずれてしまい、歯がかみ合わないことがあります。
子供の歯並びが悪いのは遺伝?
子供の歯並びは、親の遺伝で悪くなることも少なくありません。特に、ママやパパが受け口(反対咬合)や開口(オープンバイト)の場合は、早めに歯医者で相談してみましょう(※2)。
そのほか、以下のように遺伝以外でも先天的なものが影響していることもあります。
上唇小帯(じょうしんしょうたい)が太い
上唇小帯は上の前歯の中央部にあり、乳歯の頃から太い状態だと「すきっ歯」のようになることがあります。
乳歯の時点では経過観察となりますが、永久歯列になったも同じ状態であれば、前歯の隙間がひらいてしまうため、切除することもあります(※4)。
過剰歯・癒合歯・先天性欠如
正常な数よりも歯が多い過剰歯は、前歯の中央部にあり、正常な歯の向きと同じ場合は歯並びを乱しながら生えてくることも。逆向きの場合は歯槽骨の中に埋まったままで、永久歯が生えるときに影響することもあります。
また、乳歯のときに歯が2本分くっついている癒合歯や、もともと歯が欠如している先天性欠如で歯に隙間がある状態だと、その後の永久歯の数や形、歯並びに影響する可能性があります。
子供の歯並びが悪い…対策や予防法は?
虫歯が原因で乳歯が早く抜けてしまったり、永久歯が抜けたまま放置したりする、抜けた部分に周囲の歯が偏ってしまうこともあります。
後天的な理由で歯並びを悪くしないためには、日頃から生活習慣を見直しましょう。姿勢が悪い、食事のとき口を開けてかむ、仰向けで寝るといった習慣があれば、以下の方法を参考に、実践してみてください(※5)。
正しい姿勢で食事をする
食事をするときの姿勢や、ご飯を食べるときの咬み合わせに注意しましょう。具体的には、「椅子に座ったときに足がブラブラしないように台を置く」「左右の歯を使って、きちんと噛んで食べるように促す」「柔らかい食べものばかりではなく、噛みごたえのある食べるものも用意する」など。
その他、頬杖をしたり、寝るときの姿勢が悪かったりすると、奥歯のかみ合わせがずれてしまうことも(※2)。日頃から子供の姿勢をよく見てあげてください。
口呼吸を鼻呼吸にする
口呼吸は、口を閉じるための筋力が不足していることが多いので、「あいうべ体操」で口周りの筋肉を強化しましょう。やり方は、「あー」と発声しながら口を開き、「いー」と今度は口を横向きに開き、「うー」と口をすぼめ、「ベー」と最後に舌を思い切り出します。
月齢が低いうちから口呼吸が続いていると、下顎を突き出して呼吸をしようとしてしまいます。また、鼻からの呼吸が減ることで上顎の発達を妨げ、上顎の歯並びに悪影響を与える可能性があるので早めに対処しましょう(※6)。
指しゃぶりをやめる
指しゃぶりは3歳頃までは本能的なものなので心配いりませんが、4~5歳を過ぎた指しゃぶりは、指や舌で前歯を押し出してしまうことで、出っ歯や開咬になることがあります(※5)。
指しゃぶりをしたいタイミングで気を紛らわせてあげるなど、対処をしましょう。外遊びや運動でエネルギーを十分に発散させ、手や口を使う機会を増やしてあげるなど、無理に引きはがさず、自然に指をしゃぶらないように促してあげましょう。
子供の歯並びが悪いと歯科矯正が必要?
子供の歯並びの状態が悪く、顎や口内の発達に影響を及ぼすような場合は、子供でも歯科矯正が必要なケースもあります。
歯の状態によっては時期を待った方が良いこともありますが、なかには早めに治療した方が良いケースも。まずは歯医者で相談して、治療に適した時期を診断してもらいましょう。
以下に、子供の歯科矯正の主な方法や費用をまとめました(※3,5)。
治療期間
乳歯から永久歯に生え変わる時期や、顎の成長をコントロールするような矯正の場合、3ヶ月~1年が目安です。その間も、月に1回程度の通院や、完了後の経過を見るために通院が続くこともあります。
費用
自由診療なので歯医者によって様々。一般的な相場は以下になります。
・乳歯のみ…3~20万円
・乳歯と永久歯の混合…15~60万円
・永久歯のみ…50~130万円
※手術が必要な重度のかみ合わせ異常の場合は、健康保険が適用されることもあります。
方法
歯並びが凸凹になっているときは、固定式のマルチブラケットを使い、歯の1本1本に装置をつけてワイヤーで歯並びを整えます。しかし、かみ合わせや顎の成長を促すために、取り外しができる可撤式のブラケットやマウスピースタイプを使うこともあります。
子供の歯並びは毎日の歯磨きでチェックしよう
子供の将来を考えると、できるだけ歯並びは治してあげたいですよね。まずは毎日の歯磨きで、子供の歯の状態をママやパパもチェックしてあげましょう。
ズレが気になり始めたときは、普段のクセや食べ方の改善から取り組んでみてください。ズレが大きいときや歯の異常が見つかったときは、噛み方のクセがつかないように、早めに歯科医に相談しましょう。