埋伏歯とは?原因と手術方法は?抜歯は必要なの?

監修医師 歯科医師 茂山 久夫
茂山 久夫 九州歯科大学卒業後、同歯周病科にて4年間診療、その後開業医での勤務を経て、現在は福岡県中間市にて診療を行う。日本歯周病学会、J.A.C.D(The Japanese Academy of Compre... 監修記事一覧へ

「永久歯がなかなか生えてこない」と、子供の乳歯の生え変わり時期に悩むママやパパは少なくありません。いつまでも生えてこない状態が続くと、歯並びも気になってきますよね。そこで今回は、永久歯がなかなか生えてこない「埋伏歯(まいふくし)」について、原因や手術方法、抜歯の必要性などをまとめました。

埋伏歯とは?

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埋伏歯とは、乳歯が生え変わる時期になっても、永久歯の全部または一部が歯茎のなか、もしくは、あごの骨のなかに埋まったまま生えてこない状態を指します。

完全に埋まっている状態を「完全埋伏歯」、一部が出ている状態を「半埋伏歯」と呼び、主に糸切り歯(犬歯)や親知らず(第三大臼歯・智歯)に多くみられます。

稀に、上の歯が1~2本多くある「正中過剰歯」というケースもあり、これが上顎に埋伏していることもあります(※1)。

埋伏歯になる原因は?どんな影響があるの?

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埋伏歯になる原因は様々ですが、埋伏歯が1本、または複数の場合は、次のような原因が考えられます(※2)。

・乳歯が早く抜けた、逆にいつまでも抜けず、永久歯が生えるスペースがない
・顎の発達が不十分で、永久歯の生える場所が不足している
・歯と骨が癒着してしまっている
・歯を取り囲む歯茎や周囲の骨が厚い
・歯の形や大きさの異常

埋伏歯は、一般的には痛みを感じず、あまり不快な症状がないのが特徴です。しかし、放置していると上下の歯の噛み合わせが悪くなったり、埋伏している歯が異常方向に生えたり、他の歯が動いてしまうことも。

また、一部だけが歯茎に埋伏していると、虫歯になりやすいだけでなく、親知らずの周辺が炎症する「智歯周囲炎」を起こすこともあります。

埋伏歯の対処法は?

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レントゲンで埋伏歯の状況を確認し、対処法が決まります。埋伏歯が周囲の歯に悪影響を与えているかどうかを調べ、特に影響がなければ経過観察になります(※1)。

今後の顎や歯の成長に悪影響を与える可能性が高いときは、対処が必要になります。特に、7歳頃で永久歯に生え変わる時期に、生え変わった上の歯の間がいつまでも開いたままの状態であれば、正中過剰歯が原因と考えられ、対処が必要になることも。

対処法としては、経過観察をしつつ、必要であれば抜歯をしたり矯正で引っ張りだしたり、生える向きを誘導することもあります。

埋伏歯で抜歯が必要な状態は?どんな手術をするの?

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埋伏歯を抜歯する必要があるのは、乳歯が残っていて、永久歯が生えるスペースがない、嚢胞や腫瘍ができている、神経を圧迫する恐れがある、などの場合です。

また、半埋伏歯の場合は、清潔に保つことが難しく炎症を起こしやすいので、抜歯対象になるケースがほとんどです(※1)。

埋伏歯を抜歯するときは、歯茎や骨の中にあるため、麻酔をして歯茎を開き、回りの骨を削るという軽い手術をしてから抜歯します。智歯周囲炎になっている場合は、薬で炎症を抑えたあとに、歯肉弁切除を行います(※2)。

抜歯以外では、永久歯が生えてこない場合に、歯茎を切って永久歯の頭を出したり、歯があごの骨で止まっている場合は、矯正で引き上げることもありますよ。

子供の埋伏歯は定期的に診てもらおう

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抜歯や切開が必要な状態であれば、できるだけ年齢が若いときに対処するのがおすすめです。対処後の治りが早く、子供にとっても精神的な負担が少なく済みますよ(※1)。

埋伏歯は、明確に対処が必要といいきれるものもあれば、成長過程で状態が変化するものもあり、その場では判断できないこともあります。異変にいち早く気づいてあげられるよう、定期的に歯医者で診てもらうようにしましょう。

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