子供はふとした瞬間に嘘をつくことがあります。他愛もない嘘をつくとほほえましく感じることもありますが、あまりにも頻繁だったり、いつも同じような嘘をついたりする場合には心配になってしまうことも。そこで今回は、子供が嘘をつく理由や心理はどのようなものなのかと、親がとるべき対処法についてご説明します。
子供はどんな嘘をつくの?その理由は?
子供は、だいたい2歳半頃から嘘をつきはじめます(※1)。次に挙げるような嘘は、ママやパパにも心当たりがあるものばかりではないでしょうか。
空想・想像の嘘
「昨日の夜サンタクロースを見た」「アニメのキャラクターに会った」といった内容。
「嘘」をついている、というよりは、空想と現実の世界の境界線があいまいになり、現実には起きていないことでも本当にあったと思い込んでしまうことも。意図があって嘘をついているわけではありません。
叱られないようにするための嘘
友達を叩いてしまったのに「僕、叩いてない」、おむつが汚れているのに「ウンチ、出てないよ」など。
本当のことを言うとママに叱られると思い、とっさに嘘をついてしまうときがあります。
何かをしたい/したくないときの嘘
本当はすごく眠たいのに、まだ遊んでいたいがために「眠くない」と言ったり、ごはんが残っているのに「もうお腹いっぱい」と言ってデザートを食べようとしたり…といった嘘もよくあることです。
注意を引きたいときの嘘
持っていないのに「○○のおもちゃを持ってるよ」、ケガをしていないのに「おてて、あたまが痛いの」というような嘘です。
周囲の人から注目を集めたい、ママやパパの注意を引きたい、といった気持ちから出てくることがあります。
子供が嘘をつくとき、どういう心理なの?
前述のように子供は様々な嘘をつきます。子供が嘘を繰り返すと「自分の育児が間違っていたのではないか」と不安を覚えるママやパパもいるかもしれません。
しかし、「嘘をつける」ということは、子供が成長した証拠と考えてみてください。言葉で自分の意思を伝えることができる、やっていいこと・悪いことの区別がつく、事実とは違うことを言えるだけの知恵が働くからこそ、嘘が出てくるのです。赤ちゃんのときには考えもしなかったことですよね。
また、状況によっては、ママやパパを困らせることで「自分の存在を認めてほしい」「もっと構ってほしい」といった子供の思いが隠れていることもありますよ。
特に、引っ越しや習い事の発表会、家族が増えるなど、環境が変化するタイミングで嘘が見られることが多いです。
子供が嘘をつくときの対処法は?
子供が嘘をついてしまったときは、その言葉だけを切り取って叱るのではなく、まずは嘘をついてしまった子供の気持ちを想像し、広い心で受け止めることが大切です。
嘘をついた、という事実だけに着目して「嘘をつくなんて悪い子!」と頭ごなしに否定してしまうと、子供はさほど悪意があったわけではなかったのに、「否定された」と感じてしまうかもしれません。
きちんと話し合った後は、抱きしめながら「甘え直し」をさせてあげましょう。
「ママはあなたを見ているよ」「ちゃんと話を聞いているよ」というメッセージを伝え、子供の気持ちに寄り添うことを続けていくうちに、子供は「自分の気持ちをママが理解してくれた」と感じ、嘘をつくことが次第に減っていくことも。
子供に嘘をつかせないためには?
子供が嘘をついたときは、以下のポイントに気をつけながら子供の話に耳を傾けましょう。
空想の嘘には付き合う
まだ子供が小さいうちは、空想と現実の区別がつかないことも多く、思い込みや妄想からつく嘘は多いものです。
たとえば、保育園で先生に折り紙を折ってもらったのに、ママには「自分一人で作った」と話してきた場合は、「どうしてそんな嘘をつくの!」とわざわざ注意したり叱ったりする必要はありません。ママやパパが「作ったんだね」と話を聞いてあげるだけで子供は満足します。
空想と現実の区別がしっかりとつくようになれば、この類の嘘は次第に減っていくので、心配しすぎないでくださいね。
問い詰めない
明らかに嘘をついているのに子供が隠す場合でも、「ママは嘘だって知ってるんだよ。正直に言わないと怒るよ」と、子供を問い詰めることは避けましょう。
怖い顔で追求されると、子供はますます本当のことを言いにくくなり、さらに嘘を重ねてしまうこともあります。「○○ちゃんの気持ちを教えてほしいな」と優しく尋ねるようにしましょう。
本当のことを言っても叱らず、しっかりと聞く
嘘をついた理由を尋ねて子供が正直に答えた場合には、それが悪いことであっても叱らず、正直に言ったことを「よく話してくれたね」と認めてあげましょう。
また、子供の話の腰を折らずに最後まで聞いてあげてください。子供が自分の行動を振り返り、落ち着いて話せるようフォローしてあげることが大切です。
どうして嘘をついてはいけないかを説明する
どうして嘘をついてはいけないのか、子供が自分で理解していくことが大切です。単純に「ママに怒られるから嘘はダメなんだ」と思ってしまうと、親の顔色を伺って行動するようになってしまうかもしれません。
言葉で言い聞かせるだけではなく、絵本を使って「嘘はつかないようにしようね」と伝える方法もあります。
次はどうするべきか一緒に考える
嘘をついてしまった場面では、本当はどのように対処すれば良かったのか、子供と一緒に考えてみましょう。ママが先に答えを出すのではなく、子供なりに考える時間や過程が大切です。
自分で答えを導き出すことができれば、また同じような場面に遭遇したときに、嘘をつかずに対処できるようになっていきますよ。
子供とのコミュニケーションを深める
ママにかまってほしくて嘘をついてしまうのは、よくあることです。下の子ばかりに手をかけて上の子に我慢をさせすぎていないか、子供に対して厳しくするあまり叱ってばかりいないか、一度振り返ってみてもいいかもしれません。
子供の嘘に隠れた心の声を聴いてみましょう
子供が嘘をつくと、「育て方が悪いから嘘をついてしまうのでは…」と思うママもいるかもしれません。しかし、嘘は子供にとっては成長のステップです。
大切なのは嘘に隠れた心の声に耳を傾け、子供の気持ちに寄り添うこと。「嘘はダメ!」と頭ごなしに否定するのではなく、子供とじっくりコミュニケーションを取る機会だと前向きに考え、親子で一緒に対処法を考えていきましょう。