妊娠を望んでいても、半年〜1年以上妊娠の兆候がみられない場合は、パートナーと一緒にできるだけ早く検査をして、対応策を考えることも大切です。
今回は、不妊検査の一つである「フーナー(ヒューナー)テスト」について、具体的な内容や方法、受けるタイミング、費用や判定基準などについてご説明します。
フーナー(ヒューナー)テストとは?
フーナー(ヒューナー)テストとは、子宮頸管粘液や腟分泌物の中に活発な精子が入っているかどうかを調べるテストで、「性交後試験」とも呼ばれます。
不妊検査の中でも、初期段階で行われる基本検査の一つです。
性交渉後に子宮頸管粘液の中にある精子の運動性を確かめることで、自然妊娠が期待できるかどうかを評価することができます。
フーナーテストのタイミングは?
フーナーテストを受けるタイミングとして適しているのは、子宮頸管粘液の状態が最も精子が通過するのに適した状態になる「排卵日前後」です。
フーナーテストでは、排卵期の性交渉後、約半日以内に子宮頸管粘液を採取するのが望ましいといわれています(※1)。
できるだけ確実な結果を得るためには、たとえば前日の夜に性交渉した場合は翌日の午前中に、検査当日の朝に性交渉したらその日の午後に検査を受けると良いでしょう。
なお、自分の排卵のタイミングを正確に知るためには、基礎体温をつけるなどして生理周期を把握する必要があります。フーナーテスト前の性交のタイミングについては、医師に相談してくださいね。
フーナーテストの検査方法は?痛みはある?
まず、排卵日前後に性交渉をした後、病院へ行き、注射器で子宮頸管の粘液を採取します。
子宮頸管粘液を注射器で採取する際、痛いかどうか気になる人もいると思いますが、針でどこかを刺すわけではなく、「ほとんど痛みを感じない」という人が多いようです。
産婦人科で受ける一般的な内診と同じく、腟を広げて粘液を採取するため、なかには違和感を覚える人はいるかもしれませんが、あまり心配せずにリラックスした気持ちでフーナーテストに臨んでくださいね。
フーナーテストの判断基準は?
フーナーテストでは、子宮頸管粘液を顕微鏡で観察し、その中に精子が進入しているかどうか、またそこに含まれている精子の数や運動率をチェックします。
頸管粘液の中に、一般的に運動率の高い精子が5〜20個以上見られるときは「良好」、5個未満であれば「不良」と判断します(※2)。
精子の状態は体調などによって左右されやすいので、たまたま良くない結果が出る場合もあります。1回だけでは正確に判定できないこともあるので、何度か受けてみることをおすすめします。
フーナーテストの判定が良好の場合は?
フーナーテストの結果が良好であった場合、子宮頸管粘液や精子に不妊の原因がある可能性が低いことがわかります。
しかしフーナーテストだけでは不妊の原因を見つけることができないので、他の基本的な不妊検査と組み合わせて、結果を総合的に判断するようにしましょう。
他に原因が見つかった場合は、原因に対する適切な治療法が選択されます。原因が特定できなかった場合も、タイミング法や人工授精などさまざまな治療法がありますよ。
フーナーテストの判定が不良の場合は?
フーナーテストを複数回繰り返しても結果が不良だった場合は、男性・女性どちらか、もしくは両方に以下の原因が考えられます。
男性側に考えられる原因
● 精子の数が少ない
● 精子の運動率が悪い
上記の可能性がある場合、精液検査をして、精液の量や濃度、精子の生存率や運動率、奇形率などを調べます。
女性側に考えられる原因
● 子宮頸管粘液が固い、酸性度が高い、量が少ない
● 抗精子抗体がある(抗体が精子を異物と判断し、排除しようとしてしまう状態)
子宮頸管粘液が固い、酸性度が高い、量が少ない場合、ホルモン剤による治療を行うか、人工授精で精子を直接子宮まで届けるという方法が考えられます。
抗精子抗体がある場合は抗精子抗体検査を受け、その結果によって体外受精などを検討することになります。
フーナーテストの費用はどのくらい?
フーナーテストの検査費用や保険が適用されるかどうかは、病院によって異なります。
適用される場合は1回300円程度、自己負担の場合は1回1,000円程度が一般的です。
何度かテストを受けたり、結果によって別の検査をすることになったりすれば、それだけ費用がかさむので、検査を受ける前に病院に確認してくださいね。
フーナーテストは不妊治療の第一歩
フーナーテストは不妊治療の第一歩です。フーナーテストの結果次第では、人工授精や体外受精などの方法を検討することになるため、結果をもとに医師やパートナーと不妊治療の方法を相談してみましょう。