この記事では、管理栄養士である中村美穂さん著『まいにちの手を動かす食事で、すくすく育つ 1〜3歳 発達を促す子どもごはん』より、幼児食をすすめるうえで知っておきたい「食のトラブル」について紹介します。
記事提供:「まいにちの手を動かす食事で、すくすく育つ 1〜3歳発達を促す子どもごはん」(中村美穂著、日東書院本社)
子どもの様子を見ながら
原因と解決策を探りましょう
成長が著しい1〜3歳頃は、日々いろいろなことができるようになるよろこびが大きい一方で、食事のトラブルに悩まされることも多い時期。
その背景には、体の機能から心理的なものまでさまざまな理由が考えられますが、原因も解決法も、答えはひとつではありません。それだけに、なかなか食べてくれず、不安に感じることもあるかもしれません。
そんなときは、まずはお子さんに元気があるかをチェック。さらに、体重や身長の増え方がほぼ順調かを確認しましょう。それでも心配な場合には、専門機関に相談してください。
食事は、毎日何回も行うものだけに、トラブルがあると親の負担は思いのほかに大きいもの。小さい体に大きなエネルギーを持つ子どもとどう向き合うか悩んだり、ぶつかったりすることもあるかもしれません。
少しずつ試行錯誤しながら、解決の糸口を探っていきましょう。この章で紹介するレシピや解決アイディアなどを参考に、お子さんのお気に入りを見つけて、少しずつ食の幅を広げていってあげてください。
食事のトラブルの原因は?
子どもの食のトラブルには、好き嫌い・よく噛まない・遊び食べ・小食・食欲がない・むら食べ・食べすぎなどがあげられます。以下を参考に、原因を探ってみましょう。
機能の未発達
体の大きさや運動量、食事量には個人差があり、適量はそれぞれ異なります。消化力もまだ未熟で、一度にたくさんは食べられません。
食べにくさ
子どもの好みやこだわり、苦手意識は、そのときどきで変化します。また、食べるときの環境も影響します。
気持ちや環境
食べたい気持ちはあっても口に入れにくかったり、噛みにくかったりするために食べられないことも。
個性を見極め少しずつ試してみましょう
食べ方には個性や個人差が出るため、一概に「良い悪い」は 判断できませんが、ダメなものはダメとハッキリ教えることも必要です。
ただ、おうちのかたがいろいろと言い過ぎることで、食事が苦痛になってしまっては逆効果。個性を見極めながら適切な対応を探りたいものです。
例えば、何でもやりたがる子の場合は、なるべくやる気を尊重し、うまくできない部分はさりげなくフォローを。できたらほめ、できないときは「お皿を押さえるといいよ」など、どうすればよいかを繰り返し声かけして。
ゆっくりタイプの場合は、世話をやき過ぎず、せかさないことが大切。大人が見本を見せながら、やさしく声をかけて待ちます。お友達と一緒に楽しく食べるなど、食に興味を持たせる働きかけをしてもいいでしょう。
サポートをするときの6つのポイント
ポイント1.トラブルの原因を探る
トラブルには必ず理由があるものです。原因を探る過程で子どもの個性が見えたり、親子の絆が深まることも…。一過性のものであることも多いので焦らず見守ることも大切ですが、心配な場合は保育園や保健所などの子育て支援機関や、周りの人に相談を。
ポイント2. おなかをすかせる
生活リズムをととのえ、体を十分動かせば、食欲もわいてきます。好きなものをだらだらとあげると、「おなかがすかない➡ごはんを食べない」の悪循環に。好きなものは食後のデザートにするなど、どんどん知恵がついてくる子どもとの駆け引きも勝負どころ。
ポイント3.
食べやすいメニューで栄養を補う
苦手なものは刻んで好きな料理に混ぜる、栄養価が似た食品で代用するなど、栄養バランスが崩れない工夫を施します。食材の形や大きさは子どもの食べる力に合ったものにし、おやつメニューに野菜を入れるなど、一日の食事内容全体の底上げを。
ポイント4. 楽しい雰囲気に
せっかく作ったのに食べてくれないと、つい怒りたくなりますが、無理に食べさせては逆効果。肩の力を抜いて、まずは大人が食を楽しむ姿を見せ、子どもを巻きこんでいきましょう。周りの友達が食べる姿に刺激されて、食べることもあります。
ポイント5. お手伝いさせる
食材が料理になって自分の口に入るまでの過程を知り、食を身近に感じる体験を積み重ねると、少しずつ食事の楽しさを実感できるようになります。苦手なものが食べられたこと、お手伝いができたことは子どもの自信にもつながります。
ポイント6. 成長の過程と考える
トラブルがあるとイライラしたり、疲れたりすることもありますが、誰もが通る道。忍耐強く、時に厳しく、時に優しく、その子の将来のためにどうすべきかを考えながら、成長を見守りたいもの。そんな「大人の心の持ち方」が実は一番大事かもしれません。