子供は体温調節がうまくできないので、気温や運動によっても微熱が出るものの、高熱は体内で細菌やウイルスと戦っている証。特に、高熱が続いているうえに嘔吐を伴うときは、重大な病気にかかっているサインかもしれないので注意が必要です。今回は、子供の高熱が続いて嘔吐をする原因や対処法、頭痛や腹痛を伴うときはどんな病気の可能性があるのかについてご紹介します。
子供は高熱になりやすい?
自律神経が十分に発達していない子供は、環境の変化によって体温が変わりやすく、気温が高いと子供の体温は高くなったり、気温が低いと体温が下がったりします。体温調整がまだうまくできない小児期の平熱は、35.0℃から37.4℃の間で変動するといわれています(※1)。
このような状態で子供が走り回ったり、はしゃいだりすると、運動熱で体温が高くなり、高熱を出しているように見えることがあります。したがって、普段から子供の体温を計り、平熱が何度ぐらいなのかを把握しておく必要があります。
子供の体温は時間帯によって変化するので、起床時、午前、午後、夜の1日4回測り、時間帯ごとの平熱を把握しておくといいでしょう。
一般的には、38度以上の体温になっている状態を高熱といい、高熱が出たときは体調に何らかの異変が起きている可能性が高いと考えられます。
子供が高熱で嘔吐をするのは病気のサイン?
たとえ38度以上の高熱が出たとしても、一時的なこともあるので、機嫌が良く、食欲もそれほど変わらず、夜にぐっすりと眠れる状態であれば、一晩様子を見て翌朝体温を測ってみましょう。
しかし、高熱が続くだけでなく、嘔吐した場合は注意が必要です。胃腸などの病気により症状が現れている可能性があります。嘔吐以外にも、頭痛や腹痛が起きることもあるので、子供の症状をよく観察してください。
子供の高熱に嘔吐を伴う原因は?頭痛や腹痛を伴うときは?
子供の高熱が続き、嘔吐の症状も見られたときは、以下のような病気の可能性が考えられます。できるだけ早く病院へ連れて行き、病気によるものなのかを診断してもらいましょう。
インフルエンザ
インフルエンザにかかると高熱を発しやすくなり、そのストレスで吐き気や嘔吐を引き起こします。また、高熱で頭の血管が広がって神経を圧迫したり、呼吸の状態が悪化して血中酸素が少なくなったりすると、頭痛が起こりやすくなります。
38度以上の急激な発熱に、頭痛を伴う場合はインフルエンザを疑ってください。
急性虫垂炎
急性虫垂炎は、盲腸の先にぶら下がっている虫垂が炎症を起こすことで、盲腸とも呼ばれます。2、3歳頃から見られるようになり,小学生や中学生のときに発症することが多い病気です(※1)。
急性虫垂炎になると、発熱、嘔吐、腹痛といった症状が現れます。子供が激しい腹痛で泣いて我慢できないときは、症状が進行している可能性があるので、すぐに病院を受診してください。
溶連菌感染症
溶連菌感染症とは、A群β溶血性連鎖球菌という細菌によって起こる感染症で、発症するのは幼児や学童が中心だといわれています(※2)。
溶連菌感染症の主な症状としては、高熱や嘔吐、頭痛、咽頭痛が挙げられます。また、舌の表面にぶつぶつが現れる「イチゴ舌」になることもあります。
髄膜炎
脳と脊髄を包む「髄膜」がウイルスや細菌に感染して炎症を起こす病気を髄膜炎といいます。高熱に、嘔吐や腹痛、頭痛などを伴うのが特徴です。
脳にも影響を与える病気なので、けいれんや目の焦点が合わないなどの症状を伴うこともあります。細菌が原因の髄膜炎は治療が遅れると、重症化しやすく、最悪の場合は命に関わる恐れがあるので注意が必要です。こうした症状があれば、すみやかに医療機関を受診してください。
ロタウイルス腸炎
ロタウイルス腸炎とは、ロタウイルスの感染によって起こる胃腸炎のことです。冬から春にかけて流行する傾向にあります。
主な症状としては高熱や嘔吐、下痢が挙げられます。激しい嘔吐により脱水症状になることもあるので、ロタウイルス腸炎の疑いがあるときは水分補給をしっかり行います。
ロタウイルス以外にも、ノロウイルスやアデノウイルスが感染性の胃腸炎を引き起こすこともあります。保育園や幼稚園、小学校でウイルス性胃腸炎が流行している時期に、高熱と嘔吐が起きた場合は、そのウイルスに感染した可能性が高いかもしれません。
子供が高熱で嘔吐したら、どう対処すべき?
子供に嘔吐を伴った高熱が見られた場合は、病気の可能性があるので、早めに小児科を受診しましょう。診断により病気が原因だと分かったときは、それぞれの病気に合わせた治療が行われます。
特に頭痛や腹痛、下痢などの症状が見られるときや、水を飲んでも何度も嘔吐してしまうときは、できるだけ早く病院へ連れて行ってあげてください。
ただし、治療を受けたからといって、高熱や嘔吐がすぐに解消されるとは限りません。医師の指示に従いながら、家の中でもそれぞれの症状に合わせたケアをしてあげましょう。
高熱のケア
・汗をたくさんかくので、着替えはこまめに。シーツも汗で汚れたら取り替える
・脱水症状にならないように、こまめに水分補給をする
・解熱剤は自己判断で使わず、医師の指示に従う
嘔吐のケア
・嘔吐物がのどにつまらないように、横向きで寝かせる。少し枕を高くするのも効果的
・嘔吐物はすぐに片付けて、さらなる吐き気を誘発させないようにする
・脱水症状にならないように、こまめに水分補給をする
・嘔吐物を片付けた後は、ママ・パパも手洗いをして除菌をする
子供が高熱で嘔吐したら早めに病院へ
ただでさえ高熱が出ている上に、嘔吐をしてしまうと、不安になってしまうのも無理はありません。しかし、ママやパパがパニック状態になったり、イライラしてしまったりすると、子供が不安になるかもしれません。
大変な状況ですが、できるだけ慌てず、冷静に対処して、子供を安心させてあげられるといいですね。ママやパパが落ち着いてそばにいてあげるだけでも、子供は安心することができますよ。
おおらかな気持ちで、子供のお腹や背中をさすってあげ、少量の水分を与えるなどして対処し、状況に応じて病院に連れていってあげてください。