ロタウイルスの消毒方法は?消毒液は自宅で作れるの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

激しい下痢や嘔吐などの症状を引き起こすロタウイルスは、感染力が強いウイルスです。そのため、家族のなかに感染者が出ると、すぐに感染が広がることがあります。しかし実は、ロタウイルスを消毒できる消毒液は市販の材料で簡単に作ることができるので、家でも試してみてくださいね。今回は、ロタウイルスの消毒方法や、市販の材料を使った消毒液の作り方などをご紹介します。

ロタウイルスとは?

子供 女の子 腹痛 胃痛

ロタウイルスとは、3~4月の春の時期に流行するウイルスで、感染すると、嘔吐、水っぽい下痢、発熱などの症状が現れます(※1)。また、感染者の便は、白や白っぽい黄色になることがあります。

ロタウイルスは0〜6歳の子供が感染しやすく、5歳までにはほぼ全員が感染すると考えられています(※2)。乳幼児が初めて感染するときに、特に重い症状が出る傾向があり、脱水症状などになることもあります。

ロタウイルスは、感染者の便と一緒に排出されたウイルスが、手やものを介して口に入ることで感染を広げます。

感染者の便には、1gあたり1000億から1兆個ものロタウイルスが含まれていますが、そのうち10〜100個のウイルスが体内に入っただけで感染するので、共有物の多い保育園や学校などでは感染が広がりやすい傾向があります(※2)。

ロタウイルスの消毒方法は?

消毒 掃除 除菌 スプレー 洗剤

ロタウイルスの消毒に、アルコールはあまり効果がありません。ロタウイルスの消毒において効果が大きいとされているのは、塩素消毒です。

消毒を行うときは、ロタウイルスの感染力を失わせる次亜塩素酸ナトリウムという成分を含んだ消毒液を、スプレー容器に入れて便座に吹きかけたり、感染者の便が飛び散った衣類などを直接浸したりします。

また、下痢を受け止めたおむつや、便を拭き取ったおしりふきは、消毒液に浸し、ビニール袋などに密閉して捨てることで、感染が広がる可能性を減らすことができます。

ただし、次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させることがあるため、金属を消毒したあとは、10分ほど経ってから水拭きを忘れずにしてください(※3)。

ロタウイルスの消毒液を作る方法は?

はてな クエスチョン 疑問 ?

ロタウイルスの感染力を失わせる消毒液は、次亜塩素酸ナトリウムを含んでいる洗浄剤や漂白剤などを使って、家庭で作ることができます。

拭き取りなどに使う場合は塩素濃度が200ppmになるように、おむつなどを捨てるときに使う場合は1,000ppmになるように、それぞれ水で薄めて作ります(※3)。

拭き取りやつけおき消毒に使う場合

拭き取りやつけおき消毒に使う、塩素濃度200ppmの消毒液を作る際の目安は次の通りです。

製品の濃度 原液の量 水の量
12% 5ml 3L
6% 10ml 3L
1% 60ml 3L

おむつの廃棄に使う場合

おむつや便を拭いたおしりふきなどを廃棄する際に使う、塩素濃度1,000ppmの消毒液を作る目安は次の通りです。

製品の濃度 原液の量 水の量
12% 25ml 3L
6% 50ml 3L
1% 300ml 3L

ロタウイルスの消毒液をミルトンで作る方法

哺乳瓶 洗う 洗剤 消毒

哺乳瓶などの消毒に使われるミルトンは、次亜塩素酸ナトリウムを含んでいるため、適量の水で薄めることでロタウイルスの消毒液として使うことができます。

市販されている「ミルトン(液体タイプ)」を使って、消毒液を作る際の薄め方の目安は下記のとおりです(※4)。

用途 原液の量 水の量
拭き取り・つけおき消毒
(塩素濃度:200ppm)
60ml 3L
おむつなどの廃棄
(塩素濃度:1,000ppm)
300ml 3L

ロタウイルスの消毒液をハイターで作る方法

食器 洗う 洗い物

衣料の消毒に使われるハイターやキッチンまわりの消毒などに使われるキッチンハイターも、次亜塩素酸ナトリウムを含んでいるため、ミルトンと同様に適量の水で薄めることでロタウイルスの消毒液として使うことができます。

市販されている「ハイター」「キッチンハイター」を使って、消毒液を作る際の薄め方の目安は下記のとおりです(※5)。

用途 原液の量 水の量
拭き取り・つけおき消毒
(塩素濃度:200ppm)
30ml 3L
おむつなどの廃棄
(塩素濃度:1,000ppm)
150ml 3L

ロタウイルスは塩素消毒液で感染を防ごう

家族 勉強

ロタウイルスは感染力が強い上、感染すると嘔吐や下痢といったやっかいな症状を引き起こします。そのため、家族の一人が感染するとみんなにうつってしまう可能性があります。

大人が感染しても症状は軽いことが多いものの、ロタウイルスに感染している子どもと接触した大人のうち、30~50%が感染すると言われているため、家族間での感染対策はとても重要です(※6)。

市販の材料を使って対策ができるので、家族の誰かがロタウイルスに感染したら、ぜひ消毒液を作って、感染が広がるのを防いでくださいね。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう