赤ちゃんとお出かけするときに気になる紫外線。そもそも紫外線にはどのような影響があるのでしょうか。また、紫外線からどのように赤ちゃんを守ったらいいのでしょうか。小児科医の塙佳生先生に伺いました。
塙 佳生先生
塙小児科医院(東京都中央区)院長。日本小児科学会小児科専門医。父の代から50年以上にわたって地域の子どもの健康を守り、「保護者の不安にしっかり応え、信頼関係を築くこと」をモットーとしている。
生後3ヶ月くらいまでは紫外線に注意
紫外線とは、太陽光の中の目に見える光(可視光線)以外のもので、その波長の長さによってA波(UVA)、B波(UVB)に分けられます。
A波は紫外線の約9割をしめ、肌の奥の真皮にまで侵入してダメージを与える性質があります。
B波はエネルギーが強く、肌表面の細胞を傷つける性質があります。夏、長時間の日光浴による真っ赤な日焼けの原因は、このB波によるものです。
ひと昔前、赤ちゃんには日光浴がすすめられていましたが、最近は紫外線について研究がすすみ、人間の体に害を及ぼすことがあることもわかってきました。
紫外線の浴び過ぎは、免疫力の低下を引き起こすことも。赤ちゃんの皮膚は敏感です。特に、皮膚が薄くてダメージを受けやすい生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、外出時に注意が必要です。
紫外線はビタミンDを生成するいい働きも
紫外線にはいい点もあります。紫外線には、カルシウムのバランスを整え骨の健康を保つのに不可欠な栄養素であるビタミンDを作る働きがあります。
ビタミンDを作るためには日光を浴びることが必要ですが、1日に15分程度当たる程度で十分(小児皮膚科学会)とのこと。散歩や買い物などに適度に出かけていれば、ビタミンDが生成されることになります。
春先から帽子や日傘などで紫外線対策を
紫外線は地域によって強さが異なりますが、春先の4月くらいから増えはじめ、10月くらいまで多い時期が続きます。1日の変化では、午前10時~14時までが紫外線の量が多い時間帯です。
紫外線量が増える季節や時間帯は、日焼けを防ぐため、親子で紫外線対策をして出かけましょう。
春先から、日中のお出かけの際は帽子をかぶせて。その日の気温にもよりますが、7分袖など体を覆う部分が多い服を着せることで、紫外線から肌を守ることができます。
抱っこする時は日傘をさしたり、抱っこひものUVケープや帽子などを活用しましょう。
お肌がデリケートな赤ちゃんには、添加物ができるだけ少なく、肌への負担が少ないベビー用(子ども用)の日焼け止めを塗るのも一案です。
普通の石けんやボディソープで落とせるものがほとんどですので、お風呂などで洗い流しましょう。
月ごと・時間帯ごとの紫外線の変化
下記は紫外線を指標化したUVインデックスです。季節や時間の変化をチェックしてみましょう(※)。
日最大UVインデックス(推定値)
月ごとの変化
晴天時UVインデックス(推定値)
時間ごとの変化
※気象庁の紫外線データより抜粋
適度なケアで赤ちゃんの肌を守ろう
紫外線をこわがりすぎず適度なケアを心がけながら、外出や外遊びを楽しみましょう。
出典:miku 48号 2017年春号
※掲載されている情報は2017年3月25日当時のものです。一部加筆修正しています。
絵本ナビ編集部