「タンデム授乳」という言葉を聞いたことがありますか?例えば、年子などで赤ちゃんが生まれた場合に、兄弟姉妹の授乳期間がかぶってしまい、2人同時に母乳をあげることをいいます。2人目妊娠中のママや2人目を出産したばかりのママは、2人分の授乳方法をどうしようかと悩むこともあると思います。そこで今回は、タンデム授乳のメリット・デメリットや寝かしつけの方法、「気持ち悪い」と感じてしまったときの対処法についてご紹介します。
タンデム授乳とは?
タンデム授乳とは、兄弟姉妹がママの2つのおっぱいを分け合って同時に母乳を飲むことをいいます。
昔は1歳を過ぎたら断乳するのが主流だったため、タンデム授乳をするケースは多くありませんでした。
しかし、現在は、WHOが2歳を過ぎるまでの母乳育児を推奨している影響もあり(※1)、「やむを得ない事情がない限り、できるだけ長く母乳をあげるのが望ましい」という意見が増えてきているため、タンデム授乳をする人も増えてきているようです。
年子で産んだ場合で、できるだけ母乳育児を長く続けたいというママは、タンデム授乳をマスターすると育児が楽になるかもしれませんよ。
妊娠中に授乳を続けてもいいの?
上の子が卒乳・断乳する前に妊娠したママは、タンデム授乳の前に、そもそも妊娠中に上の子の授乳を続けて良いのか迷いますよね。
妊娠中に上の子の授乳を続けると、オキシトシンが分泌されて子宮が収縮し、早産・流産のリスクを高めると懸念する声もあります。しかし、授乳が早産・流産の原因になるという研究報告はありません(※2)。
ただし、授乳して下腹部が痛くなった、出血をしたなどの症状が見られた場合は、授乳を止めて医師に相談するようにしてください。また、過去に早産・流産の経験があったり、切迫流産や切迫早産の可能性があると診断されたりした人は、医師に授乳を続けても良いかどうか確認しましょう。
タンデム授乳のメリットとは?痩せるの?
タンデム授乳のメリットは、上の子とのスキンシップがしっかりとれることです。
上の子は、おっぱいを吸わせてもらうことによって「赤ちゃんが生まれても、ママはちゃんとかまってくれる」と実感することができます。つまり、下の子の出産後、多くのママが悩む「上の子の赤ちゃん返り」がひどくなりにくいと考えられます。
また、吸われる量が2倍になるので、母乳がよく出るようになり、乳腺炎になるなどのトラブルが少なくなるともいわれています。
ただし、上の子と下の子では吸う力に大きな差があるので、まんべんなく吸わせることが大切ですよ。どちらを吸うのか固定してしまうと、片方だけ乳腺が詰まってしまう恐れもあります。
さらに、2人分の授乳量が必要なため、「産後でも簡単に痩せた!」というママもいるようです。ただしその分お腹もすくので、授乳量以上にカロリーを摂取していたらダイエットには繋がりません。
一概に「タンデム授乳=痩せる」というわけではなく、産後に痩せられるかどうかはママ次第ということになります。
タンデム授乳のデメリットとは?
タンデム授乳でのデメリットは、ママの体の負担が大きくなることです。
大きくなった上の子を抱っこするだけでも大変なうえに、ママが摂取した栄養はどんどん母乳にとられてしまいます。前述のように「産後ダイエットになる!」というママもいますが、しっかり栄養を取らなければママの体に大きな負担がかかってしまうので、注意が必要です。
また、これは授乳だけに限りませんが、抱っこする回数や時間が必然的に多くなるので、腰痛や肩こり、腱鞘炎などになる可能性も高まります。
タンデム授乳で上の子の授乳が気持ち悪い…どうストレス解消する?
タンデム授乳をしていると、「上の子におっぱいを飲まれるのが気持ち悪くなってしまった」「上の子がおっぱいを飲むとイライラする、ストレスが溜まる」と感じてしまうママもいるようです。上の子が赤ちゃんの分まで飲みたがる場合もあり、「図々しい」と感じてしまうことも。
「こんな風に思ってしまって、母親失格かも…」と悩むかもしれませんが、実はよくあることです。これは、赤ちゃんを守ろうとする本能やホルモンが原因だと考えられています。
我慢しているとママのストレスが溜まってしまいますが、上の子もまだ小さかったり、急にママを分かち合うべきライバルが出現して戸惑っていたりするときなので、いきなり突き放すのも難しいですよね。
しかし、特におっぱいからの栄養が必要なのは下の赤ちゃんです。上の子も、下の子よりはママの言うことを理解できるでしょう。「○○ちゃんはもういろんなものを食べられるけど、赤ちゃんはまだ小さいから、おっぱいしか飲めないんだよ」と優しく言い聞かせてみてくださいね。
このようにして上の子への授乳回数をセーブしつつ、授乳以外のスキンシップを増やして、気持ちを満たしてあげるようにしましょう。
タンデム授乳のやり方とコツは?
タンデム授乳を上手に行う方法は、まず先に体重の軽い下の子に授乳してから、上の子に飲ませるというものです。いつも同時にあげられればいいのですが、2人同時に抱っこするのは大変ですよね。
上の子が「先に飲む!」とグズってしまい、何を言っても通じないときは、少しだけ上の子に先にあげて、様子を見ましょう。
ただし、上の子が駄々をこねたり泣いたりしたら先にもらえると思って甘えてしまうので、この方法は最終手段に留めた方がいいかもしれません。強い気持ちを持って下の子に先にあげるようにしてくださいね。
タンデム授乳中に寝かしつける方法は?
タンデム授乳で多い悩みの一つが、寝かしつけです。2人ともおっぱいを飲んだあとでないと寝られない状況になっていると、どう優先順位をつけて寝かしつけたらいいものかと、悩むママが多いようです。
タンデム授乳中の寝かしつけには、以下のようにさまざまな方法があるので、子供の性格や環境に合う方法を試してみてください。
タンデム授乳での寝かしつけ方法
● 上の子と下の子の昼寝の時間をずらし、夜眠くなる時間をずらす
● 上の子を朝早く起こし、日中できるだけ外で遊ばせて疲れさせておく
● まずは手のかかる上の子を寝かしつけ、上の子が寝てから下の子を寝かしつける
● 上の子におっぱいを吸わせ、下の子にはおっぱいの代わりにママの指を吸わせる
● 下の子におっぱいを吸わせ、上の子はパパやおじいちゃん・おばあちゃんに寝かしつけてもらう
タンデム授乳は母乳育児の選択肢の一つ
タンデム授乳派のママも多いようですが、タンデム授乳が特に推奨されているというわけではありません。
もしタンデム授乳をすることで、ママがどうしても不安や苦痛を感じるなら、上の子の卒乳や断乳を目指すのも一つの方法です。子供やママの状態にあわせて、ベストな選択ができるといいですね。