突然めまいがすると、ドキッとしますよね。40〜50代の女性で、最近になってめまいの回数が増えていたら、それは更年期障害の症状かもしれません。そこで今回は、更年期障害でめまいが起きる原因とその対策についてご説明します。
更年期障害でめまいが起きる原因とは
女性が40代半ばにさしかかると卵巣の機能が低下し始め、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という女性ホルモンの分泌が減少します。反対に「FSH(卵胞刺激ホルモン)」が過剰に分泌されるようになります。
女性ホルモンと自律神経はお互いに影響し合っているため、更年期のホルモンバランスの大きな変化が自律神経を乱れさせ、その結果、めまいが起こると考えられています(※1)。
また、エストロゲンの減少が、体の水平方向の傾きを司る「卵形嚢(らんけいのう)」に異常を引き起こすことで、めまいをもたらすという報告もあります(※2)。
さらに、エストロゲンの減少によって脂質異常症や血管障害を起こしやすくなることも、更年期にめまいを起こしやすくなる原因とされています(※3)。
更年期障害で起きるめまいの症状は?ふらつきや吐き気も?
めまいには、「回転性めまい」と「浮動性めまい」の2種類があります(※4,5)。
回転性めまいは、自分の周りや天井がぐるぐる回っているように見えます。自分自身が回転していたり、傾いたり、一方に偏っていくように感じたりもします。また、難聴や耳鳴り、耳が詰まったような感覚を覚えることもあります。
症状が一定時間続いたあと、自然と消えてしまうのが特徴です。
一方の浮動性めまいは、体がフラフラしたりまっすぐ歩けなかったりします。同時に、吐き気をもよおしたり、嘔吐したり、頭痛がすることもあります。
更年期障害でめまいが!対策は?
急にめまいが起きたら、部屋を暗くして横になり、安静にしてしのぎましょう。
急にめまいが起きる場合は、大半が回転性めまいとされています。
回転性めまいは、頭を特定の方向に向けていると起きることがわかっています(※6)。めまいを起こす方向がわかっている場合は、めまいが起こりにくい方向を向きましょう。頭を動かすときはゆっくり動かすようにしてくださいね。
一方の浮動性めまいは、肩こりや低血圧、うつ状態などが引き金となっています(※6)。自分でどちらのめまいかを判断するのは難しいと思うので、一旦症状をしのいだら、早めに病院を受診することをおすすめします。
更年期障害のめまいに処方される薬は?漢方薬も効果的?
更年期障害の治療には、欠乏しているホルモンを薬で補う「ホルモン補充療法」が優先的に行われますが、めまいに関しては、直接効果があるかどうかがわかっていません(※2)。
しかし、ホルモン補充療法によって「ホットフラッシュ」の症状が軽くなり、その後、めまいの症状が改善されたという報告もあります(※2)。そのため、症状によってはホルモン剤が処方されることもあります。
また、更年期障害のめまいには漢方薬が処方されることも多く、「女神散(にょしんさん)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が代表的なものです(※7)。
症状を一時的におさえるのであれば、酔い止め薬や吐き気止め薬の服用も有効です(※4)。ただし、他の薬との飲み合わせの問題などもあるので、自己判断で市販薬を服用するのではなく、事前に医師や薬剤師に相談しておくことをおすすめします。
更年期のめまいに効くツボも
血流の流れをよくすると、めまいに効くといわれています。
そのため、めまいの予防にはマッサージも効果的です。足首から上に向かって、ふくらはぎの内側と外側を指で軽く押しましょう。膝の裏側はリンパ液がたまりやすいので、念入りにもみほぐしてくださいね。
また、耳たぶの付け根の裏側にある大きなくぼみの「翳風(えいふう)」は、めまいに効くツボとされています。
椅子に座り、目を開けた状態で、深呼吸しながら10回程度押しましょう。慣れてきたら、50回程度まで回数を増やすといいですね。
更年期のめまいには別の病気が隠れている可能性も
更年期障害によって引き起こされるめまいは、自然に症状が治まることがほとんどです(※2)。
ですが、めまいの裏には、メニエール病や突発性難聴など別の病気が隠れていることもあります。「最近、なんだかよくめまいがする」と感じたら、婦人科や耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
また、突然めまいが起きて下記の症状も同時に現れたら、脳卒中の可能性があります。速やかに病院を受診するようにしてください(※6)。
● ろれつが回らない
● 手足に力が入りにくい
● ものが二重に見える
● 感覚がおかしい
そのほか、今までに感じたことがなかったフラフラ感が始まったり、頭痛や頭が重い感覚が続く、頭がぼんやりする、吐き気が強かったり何度も吐いたりするときも注意が必要です(※6)。
更年期障害のめまいが起きたら病院へ
更年期障害でめまいの症状が現れても、大半の人が病院を受診せずにやり過ごしてしまうという報告があります(※2)。
じきに症状が治ったとしても、転倒してケガをする危険性もあります。さらに、ほかの病気が隠れている可能性もあります。
更年期障害のめまいは、適切な治療を受ければ症状が軽くなることがわかっています。「最近、なんだかよくめまいがする」と感じたら、婦人科や耳鼻咽喉科を受診して、適切な治療を受けるようにしてくださいね。