カンジダは人間の皮膚や粘膜にもともと住んでいる真菌(カビ)の一種ですが、体が弱ることなどで急激に増え、カンジダ症と呼ばれる様々な症状を引き起こすことがあります。治療のためには薬を塗ったり、服用したりする必要がありますが、どんな薬があるのでしょうか。そこで今回は、カンジダの塗り薬にはどのようなものがあるのか、市販の塗り薬だけで治るのか、塗る場所や塗り方などについてご説明します。
カンジダとは?
カンジダとは、人間の皮膚や粘膜にいる真菌(カビ)の一種です。普段は無害ですが、病気や治療、疲れ、ストレスなどによって免疫力が弱まったり、抗生剤を使用したりすると、病気を引き起こすことがあります。
カンジダによって引き起こされる病気を総称して「カンジダ症」といいます(※1)。
カンジダ症の種類は?
カンジダ症は体のいろいろな場所に現れ、それぞれ症状や名前が異なります。以下でその一例をご紹介します(※1)。
カンジダ性間擦疹
股や脇、首などに赤い湿疹、水ぶくれなどができるカンジダ症です。特に股でよくみられます。
カンジダ性爪囲爪炎
爪の周りが赤く腫れ上がるカンジダ症で、水仕事をすることが多い人が、手を濡らしたままにしておくと発症しやすいとされています。
口腔カンジダ症
口の中に白い斑点ができたり、赤くただれたりするカンジダ症です。赤ちゃんや免疫力が弱くなった人がかかります。
外陰腟カンジダ症
女性の腟や外陰部、さらにそのまわりが赤くなったり、かゆみが出たりするカンジダ症です。おりものが白い酒粕のような状態になることもあります。
カンジダは塗り薬を処方してもらえる?
カンジダ症には様々な薬がありますが、医師から塗り薬を処方してもらえる場合と、そうでない場合があります。
例えば、カンジダ性間擦疹や外陰腟カンジダ症では、抗真菌作用のある塗り薬を処方されることがあります。しかし、カンジダ性爪囲爪炎では塗り薬が効かないので抗真菌作用のある飲み薬が処方されますし、口腔カンジダ症では同じく飲み薬、あるいはうがい薬などが処方されるのが一般的です(※1)。
カンジダの塗り薬は市販されている?
外陰腟カンジダ症に関しては、塗り薬が市販されています。
例えば大正製薬の「メディトリートクリーム」はミコナゾール硝酸塩という有効成分が含まれている、外陰腟カンジダ症用の塗り薬です(※2)。
また、ロート製薬から発売されている「メンソレータムフレディCCクリーム」は、イコナゾール硝酸塩という成分が入った、外陰腟カンジダ症の塗り薬です(※3)。
ただし上記の2つの塗り薬は、どちらも外陰腟カンジダ症が「再発」したときに使う薬です(※2,3)。そのため、外陰腟カンジダ症になったことがない人は使わないようにしましょう。
なぜ再発したときしか使えないのかというと、外陰腟カンジダ症になったことがなければ、その症状が本当に外陰腟カンジダ症によるものなのかどうかを自分で判断できないからです。
そのため、外陰腟カンジダ症になったことがないけれど、それらしき症状があるときは、市販の塗り薬を使わず病院で診てもらいましょう(※4)。
また、製造元が外陰腟カンジダ症かどうかを判断するためのチェックシートをホームページ上で公開しています。再発したと思われる場合はこのチェックシートでチェックして、プリントしたものを薬局に持っていき薬剤師に確認してもらえば、スムーズに購入できるでしょう(※2,5)。
カンジダは塗り薬だけで治る?
塗り薬が市販されている外陰腟カンジダ症ですが、塗り薬だけで治る場合と、治らない場合があります。
婦人科医に処方された塗り薬の場合
婦人科医に塗り薬を処方された場合、それを塗るだけで外陰腟カンジダ症が治る可能性もあります。
ただし、大陰唇の外側にも炎症がある場合は、性器感染症ではなく皮膚の感染症としての治療が必要になり、婦人科の薬ではなく皮膚科の軟膏やローションが必要になることもあります。
また、炎症が強く、塗り薬だけで症状がよくならないときは、湿疹を合併している可能性があるので、ステロイド剤を使うこともあります(※6)。
市販の塗り薬の場合
おりものに異常がなく外陰部に発疹が出てかゆいときは、外陰部でカンジダが増殖している可能性があり、その場合は塗り薬だけでも治ることもあります。
ただし、腟内でもカンジダが増えている可能性があるため、できれば錠剤や座薬との併用をした方がいいでしょう。
なお、かゆみがひどいからといって、ステロイド剤やかゆみ止めクリームなどをカンジダ用塗り薬と一緒に使うと、症状を悪化させてしまったり、治療が遅れてしまったりすることもあるので、使用しないでくださいね(※4)。
カンジダの塗り薬を塗る場所は?
医師に処方されたカンジダの塗り薬は、指示された場所に塗るようにしてください。
市販されているカンジダの塗り薬は、外陰腟カンジダ症で外陰部にかゆみがあるときに使うものです。そのため、外陰部に塗りましょう。それ以外の場所、例えば爪や頭、目などでの使用は、製造元は禁止しています(※7,8)。
カンジダの塗り薬の塗り方は?
カンジダの塗り薬を処方してもらう場合、処方時に医師や薬剤師から塗り方の説明があるはずなので、指示に従って塗ってください。
市販されている外陰腟カンジダ症の塗り薬は、製造元の指示に従って塗りましょう。例えば、メディトリートクリームもメンソレータムフレディCCクリームも、1日2〜3回、適量を患部に塗ればよいとされています(※7,8)。
カンジダの塗り薬は用法・用量を守って
カンジダ症になったら、病院で塗り薬を処方されることがあります。また、外陰腟カンジダ症の場合は塗り薬が市販されています。どちらも正しい用法・用量を守って使いましょう。
そのためにも、処方薬の場合は医師の説明をしっかり聞くようにしてくださいね。市販薬の場合は、購入した薬局の薬剤師の指示や、パッケージなどに書かれている用法・用量、そして注意事項をしっかりと確認したうえで使うようにしましょう。
塗り薬をうまく使いながら、カンジダ症を治療していきたいですね。