ぶどう膜炎とは?原因はストレス?治療で完治できるの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

子供がごしごしと目をこするのは、よくあることですよね。しかし、もしその原因が「ぶどう膜炎」などの病気である場合、症状が進行すると失明に至る恐れもあるので、子供の目の様子にはパパやママが気を配る必要があります。今回は、子供がかかると重症化しやすい「ぶどう膜炎」について、原因や症状、治療法などをご説明します。

ぶどう膜炎とは?

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「ぶどう膜炎」は、目の中にある「ぶどう膜」(虹彩、毛様体、脈絡膜の3つからなるもの)の一部、または全体が炎症を起こす病気です(※1)。

ぶどう膜炎にかかると治療に数ヶ月から数年必要なことが多く、場合によっては持病として付き合っていかなければならないケースもあります(※2)。

ぶどう膜炎は主に大人がかかる病気で、子供が発症する確率は、全体の8%以下とそれほど多くありません(※3)。しかし、いったん発病して治療を行わないまま放置してしまうと、病状が進行することも多く、ぶどう膜炎が治ったとしても重度の視力障害が残ることもあります(※3)。

子供は大人と違って症状を自覚するのが難しいので、ぶどう膜炎の発見が遅れてしまいがちなことや、目の機能が完全に発達していないことが、重い障害が残りやすい原因と考えられています(※3)。

ぶどう膜炎の原因は?ストレスで再発する?

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ぶどう膜炎の主な原因として、次のような病気が挙げられます。ただし、日本眼科学会によると、ぶどう膜炎の患者さんのうち3人に1人は原因不明です(※2)。

自己免疫疾患

体に備わっている免疫機能に異常があると、自分の目の成分の一部を異物として認識してしまい、それを攻撃することによって目の中で炎症が起こることがあります。

2009年に日本眼炎症学会が行った調査結果によると、日本におけるぶどう膜炎の原因は、「サルコイドーシス」や「原田病」、「ベーチェット病」といった全身の免疫異常が最も多いとされています(※2)。

細菌・ウイルス感染

トキソプラズマなどのウイルスや細菌のほか、真菌(カビ)、カンジダなどの寄生虫感染が原因で、ぶどう膜炎を発症することもあります(※2)。

また子供の場合、溶連菌の毒素が原因ではないかと考えられている「川崎病」にともなって発症するケースもあります(※3)。

その他

子供の関節リウマチである「若年性特発性関節炎」は、ぶどう膜のうち虹彩に起きる炎症の原因として最も多く見られます(※3)。

この病気の原因自体がよくわかっていませんが、免疫異常やウイルス感染などが組み合わさることで発症するのではないか、と考えられています。

また、ぶどう膜炎の再発の原因として過労やストレスを指摘する医師もいますが、まだよくわかっていない部分も多い病気です。

ぶどう膜炎の症状は?

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ぶどう膜炎の自覚症状は次のとおりです。

● 目の充血、痛み
● 視力の低下
● 目のかすみ(霧視)
● 虫が飛んでいるように見える(飛蚊症)
● まぶしく感じる(羞明感)

これらの症状は、片目だけのこともあれば両目のこともあり、左右交互に症状が現れることもあります。また、症状がだんだん悪化するケースや、一時的に回復してまた悪くなるケースなど様々です。

ぶどう膜炎の発見が遅れると、白内障や緑内障、網膜剥離などの合併症を引き起こす恐れがあり、重症だと失明に至ることもあります(※2)。

ただし、子供は「目がかすんで見える」といった症状をうまく言葉で説明できないことも多いものです。普段からパパやママが子供の様子をよく見てあげて、目に違和感がありそうなときは眼科を受診し、精密検査を受けましょう。

ぶどう膜炎の検査方法は?

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ぶどう膜炎は、問診や一般的な眼科検査、網膜断面構造解析などの眼科特殊検査のほか、血液検査・胸部X線検査などの全身検査や、ツベルクリン反応検査なども行い、総合的に診断されます(※2)。

これは、ぶどう膜炎の原因が、サルコイドーシスや原田病、ベーチェット病のような全身の免疫異常であることが多いため、それらの病気の可能性まで検査する必要があるからです。

場合によっては、目の組織採取など追加の検査が必要となることもあります(※2)。

ぶどう膜炎の治療方法は?完治できるの?

目薬

ぶどう膜炎の原因が細菌やウイルスなどであると判明した場合には、それらの病原微生物に有効な薬を点眼することで治療できます。

ただし、自己免疫疾患などが原因である場合、完治させることは難しいため、ステロイド薬を飲んだり点眼薬(目薬)を使ったりして目の炎症を抑えることを優先させ、視力障害につながる合併症が起こらないように対処します(※2)。

炎症が目の奥まで広がるほど強いときなどは、目の周りに薬を注射したり、ステロイド薬や免疫抑制薬を全身に投与したりすることもあります。

なお、白内障や緑内障など、薬による治療では回復しない合併症を引き起こしている場合、手術が必要となることもあります(※2)。

ぶどう膜炎の原因にあわせて早期治療を

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ぶどう膜炎は、原因不明のケースも多く、なかなか予防が難しい病気です。子供が目の不快感を訴えたり、しきりに目をこすったりしているときには、「目が痛いの?」「どんな感じがする?」などと声を掛けてあげてくださいね。病気の進行や合併症を防ぐためには、1日でも早く治療を開始することが大切です。

また、治療により目の炎症がおさまったからといって、自己判断でステロイド剤を減らしたり中止したりしてしまうと、炎症が再発する可能性もあります。医師の指示に従って、慎重に経過観察しながら治療を続けていきましょう。

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