赤ちゃんの筋性斜頸とは?原因や治療法は?手術をするの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

赤ちゃんの首が左右に傾いていると向き癖を疑うことが多いと思いますが、もしかすると「筋性斜頸」によるものかもしれません。筋性斜頸は命にかかわる病気ではありませんが、ホームケアが大切です。そこで今回は赤ちゃんの筋性斜頸について、原因や治療方法などをご説明します。

筋性斜頸とは?赤ちゃんがなるものなの?

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「筋性斜頸」とは、赤ちゃんの首の片側の「胸鎖乳突筋」という筋肉が、何かの刺激で強ばることでしこりができ、首がしこりの方に曲がっている状態のことをいいます。常に首をかしげたように見え、違う方向を向かせようとしても痛くて向き直ることができません。

筋性斜頸による首のしこりは、早くて生後4~5日からできるため、生後すぐに気がつくことが多い病気です。

しこりはそこから2~3週間かけて大人の親指ほどの大きさになり、1ヶ月検診で指摘されることもあります(※1)。しこりの大きさは生後2~3週間頃にピークを迎え、その後、少しずつ小さくなることが多いです。

赤ちゃんの筋性斜頸の原因は?

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筋性斜頸の原因は、はっきりとは分かっていません。お産のときに首に力がかかることで首の筋肉に傷がつくことで起こる、母体の子宮内や赤ちゃんの神経に何かしらの原因があるなど、様々な説があります。

また、赤ちゃんの首が傾く原因は、筋性斜頸以外にも下記のものがあります(※2)。

骨性斜頸

生まれつき頚椎や胸椎に奇形があることが原因で首が傾くことを「骨性斜頸」といいます。

骨性斜頸は筋性斜頸と同様、生まれつきのものです。一旦経過を見て、成長するつれて骨性斜頸によって何らかの症状が出た場合に、手術で治療が行われます。

炎症性斜頸

中耳炎や扁桃炎などの炎症が起こったあとに見られるのが「炎症性斜頸」です。炎症性斜頸は、放っておくと首が傾いたまま固定されてしまうこともあります。

症状が見られたら、早めに病院を受診することが大切です。首を固定したり、消炎剤の服用をしたりすることで治療ができます。

眼性斜頸

眼球を上に動かす上転筋や、下に動かす下転筋の異常が原因で起こる斜頸を「眼性斜頸」といいます。

テレビなどに興味を示しだす生後6ヶ月以降に気づくことが多い病気です。普段から視線のずれが生じているため、何かを注視しようとすると首の傾きが大きくなります。

眼性斜頸は目の病気なので、発症が疑われる場合は眼科を受診しましょう。

筋性斜頸の治療方法は?赤ちゃんでも手術をするの?

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筋性斜頸は生後3ヶ月頃までに治ることが多く、1歳までには約90%が自然治癒する病気です。そのため1歳までは、自宅でケアをしつつ様子を見ます(※1)。

筋性斜頸がなかなか治らない場合は、2~3歳を過ぎてから腱を切る手術を行うこともあります。手術後はほぼ治りますが、まれに再発することがあります。手術後も、十分な経過観察が必要です。

また、しこりが消え、一度自然治癒したと判断されても、成長するにつれてまたしこりが現れ、筋性斜頸を再発する可能性もあります(※3)。

筋性斜頸の赤ちゃんの寝かせ方やホームケアの方法は?

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筋性斜頸の赤ちゃんは片側だけしか向けないため、寝方に癖がつき、片方の頭が平らになるなど、頭の形がいびつになりがちです。

頭の形がいびつだからといって特に害はなく、成長するに連れて少しずつ治っていきますが、ひどくならないよう下記のようなホームケアを行うといいでしょう。

ホームケアの方法

● しこりがない方に明るい窓がくるように寝かせる
● しこりがない方にオルゴールやメリーなど、赤ちゃんが興味を示すものを吊るす
● しこりがない方から授乳をする
● しこりがない方から話しかける
● 母乳を与えるとき、しこりがない方をママ側にして抱く
● 首がすわってきたら、できるだけ腹ばいにする
● 首から背中全体にバスタオルなどをあて、向く方向を変える

これらの対策を行っても、赤ちゃんが自分で頭を動かしてしまうこともありますが、気づいた範囲で直してあげるようにしましょう。

また、マッサージは自然治癒を妨げ、筋性斜頸にとって逆に有害になってしまう恐れがあります。家庭では行わないように気をつけてくださいね。

赤ちゃんの筋性斜頸はしっかり様子を見て

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筋性斜頸はほとんどが自然治癒する病気です。首の病気と聞くと不安になることもあるかと思いますが、あまり心配しすぎず、できる範囲でホームケアをしてあげてくださいね。

赤ちゃんにいつもと変わった様子が見られたり、1歳頃になってもなかなか治らないといった場合は、整形外科を受診するようにしましょう。

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