赤ちゃんの体はやわらかくてデリケート。骨でしっかり守られているはずの頭だって例外ではありません。この時期の赤ちゃんの頭は、比較的簡単に形が変わりやすいので気をつけてあげたいですよね。特に向き癖がついてしまっている赤ちゃんは注意が必要です。今回は、新生児・赤ちゃんの向き癖で気にかける点や直し方についてご説明します。
赤ちゃんの向き癖とは?新生児が横向きになることもある?

向き癖とは、低月齢の赤ちゃんが特定の方向にばかり首を向けて寝る癖のことです。
赤ちゃんは体に対して頭が重く、また頭の骨と骨の間に隙間があり柔らかい状態です(※1)。そのため長い間頭の向きが同じだと、下になった部分が平たくなり、ますます向き癖が強くなってしまいます。
新生児期はまだ自分で首の向きを変えることができないため、同じ向きでいる時間が長くなりがちです。新生児の赤ちゃんが横向きになることも珍しいことではありません。
生後1~2ヶ月で首が動かせるようになっても、赤ちゃんは光や音などの刺激があるほうを向きやすいので、テレビや明るい窓の方を向くことが多くなります(※2)。
赤ちゃんの向き癖やそれに伴う頭のいびつさは、成長と共に形が整えられ、自然に治まることがほとんどです。大きく成長する脳にあわせて頭蓋骨もちょうどいい形に広がり、1~2歳頃までにほとんどわからなくなるので、それほど心配する必要はありません。
赤ちゃん・新生児の向き癖の対策は必要?同じ向きで寝るときは?

向き癖は自然に治ることが多いとはいえ、あまりにも向き癖が強い場合は、ママやパパが向きを直してあげることも大切です。なかには「斜頸」「短頭」といった、いわゆる絶壁頭のようになるケースも少なくありません。
また、「筋性斜頚」といって、新生児の片方の首にしこりができていて、しこりとは反対側をむきやすくなることもあります。生後3週間頃からしこりは小さくなり、1歳頃までには自然に治りますが、その間に頭の形が大きく変形しないよう対処してあげましょう(※3)。
赤ちゃんの向き癖は枕やタオルで直せる?

以下の方法を参考に、赤ちゃんの向き癖を緩和してあげてください。
寝かせる向きを変えてみる
光や音などの刺激に反応して向き癖がつく場合は、頭と足の位置を反対にして寝かせてみましょう。向き癖がついていない方向から刺激が来るので、いつもと逆側を向くようになるかもしれません。
就寝時にママが添い寝している場合は、寝る場所や体勢を変えていきましょう。
背中に丸めたバスタオルを入れる
向き癖の方向と反対になるようにして背中の下に丸めたバスタオルを入れ、斜め向きに寝かせます。窒息を防ぐため、柔らかいクッションは使わないようにしましょう。
バウンサーやベビーシートを長時間使い続けない
体が固定されるバウンサーは、頭の動きが制限されてしまいます。回の使用は長くても1時間くらいにとどめましょう。
また車で長距離移動するときは、だいたい1時間くらいの間隔でこまめに休憩を挟み、休憩のたびに気分転換も兼ねて車外に出してあげるといいでしょう。
起きているときは腹ばいにする
赤ちゃんが起きて活動しているときは、固めのマットレスの上で腹ばいに寝かせてみましょう。普段からいろいろな姿勢で活動するようにしてみてください。
赤ちゃんを腹ばいに寝かせているときは、窒息しないよう目を離さないでくださいね。月齢が低い時期の腹ばいは控え、寝返りができるようになってからにすると安心です。
向き癖防止用枕やクッションを使う
赤ちゃん用品を扱うお店やネットショップで、赤ちゃんのための向き癖防止用枕も販売されています。このようなグッズを活用するのもいいですね。ドーナツ型枕が良いという人もいますが、枕の穴に頭がはまり込んで頭を動かせなくなることも。
赤ちゃん・新生児の向き癖の注意点は?

赤ちゃんや新生児に向き癖があると、稀に向き癖と反対側の股関節に「股関節開排制限 」がみられることがあります。これは、向き癖によって姿勢が偏ることで、向き癖とは反対側の足が立ち膝のような形になり、開排制限(股関節の開きが悪い状態)が生じてしまうものです。
開排制限がみられると、股関節脱臼を誘発することもあるとされているものの、ほとんどの赤ちゃんにはみられないものです。乳児健診で指摘されることも少ないので、あまり心配する必要はありません(※4)。
股関節開排制限や、それによる股関節脱臼がある場合は、だいたいが乳児健診のときにわかります。指摘された場合は今後の対応を相談し、一度小児科や整形外科を受診してみましょう。
赤ちゃん・新生児の向き癖は楽しく予防を
赤ちゃんや新生児に向き癖がついていても、成長とともに自然と治まっていくことがほとんどです。「1時間ごとに向きを変える!」などと決まりごとを作ってしまうとママのストレスにもなるので、あまり神経質にならないでくださいね。
赤ちゃんの様子をこまめに見て、話しかけたり抱っこしたりするなど、スキンシップするつもりで楽しく予防してあげると良いでしょう。ママの声がわかるようになると、声に反応することも増えてきますよ。原因を見つけて、我が子に合った予防策をとってあげてくださいね。