赤ちゃんの足が、生まれたときから曲がっていたり、内側に入り込んだりしていることがあります。その原因は様々ですが、治療が必要な「内反足」である可能性もあります。内反足は治療できる病気なので、どんな病気か知って、適切な対処ができるといいですね。今回は内反足について、原因や症状、治療方法などをご説明します。
内反足とは?赤ちゃんがなるもの?
「内反足」は「先天性内反足」とも呼ばれます。生まれた時点で、足の変形が見られる病気です。
足が内側に反り、向かい合っているような状態の「内足」、足の先が下を向く「尖足」、足の先が親指側に曲がる「内転足」、土踏まずのカーブが深く、内側にへこむ「凹足」などの症状をあわせて「先天性内反足」と呼びます。片方の足だけに起こることも、両方の足に起こることもあります。
内反足は約1,000人に1人の割合で発生し、男の子に多く見られます。その半数は両足に起こり、片足の場合は、2対1の比率で右足に多く見られます(※1)。
赤ちゃんの先天性内反足の原因は?
先天性内反足の原因は、はっきりと分かっていませんが、ママのお腹の中にいたときの姿勢や骨の配列異常によって生じると考えられています(※1,2)。体に何らかの疾患があり、その疾患の症状の一つとして内反足になることもあります。
赤ちゃんの先天性内反足の診断方法は?
下記のような症状が見られた場合、先天性内反足と診断されます(※3)。
● 尖足、内反、内足、凹足4つの変形があり、関節が硬い
● 麻痺がない
● 内反足の足根骨の配列異常が見られる
● 先天性内転足、うつぶせ寝症候群といった他の疾患ではない
赤ちゃんはママのお腹のなかで、つま先が下を向く「内反尖足」の姿勢を取っていることが多いため、生まれたときに一見すると内反足のような足の変形が見られることがあります。
しかしこの場合は、手で戻すことで簡単に正しい形に戻り、内反足とは呼ばれません(※4)。
また、内反足は生まれつき起こる病気なので、生まれてすぐ産科で診断され、整形外科に紹介されることがほとんどです。幼児期などに内反足のような症状が見られた場合、扁平足などの別の病気であることが考えられます。
赤ちゃんの先天性内反足の症状は?
内反足は早めに治療を行えば治る病気ですが、放っておくと、成長期や成人期に下記のような症状が残ることがあります。
● 足の前外側に重心をのせて立つ
● 歩き方がぎこちない
● かかとが自然に上がり、床につかなくなる
● 歩くときにつま先が内側を向き、転びやすい
● 関節炎による痛みが生じる
● 疲労骨折をする
● 足の裏にタコや皮膚の潰瘍ができる
● 細菌による感染が起こる
また、上記のような症状がなく、治療が終わった後も、足が多少小さく育つことがあります(※3)。
内反足の治療は装具で行うの?手術もする?
内反足は自然治癒することがないため、生まれてすぐ、早めに治療を開始することが大切です。主に下記のような順番で治療が行われます(※1,3)。
1. 装具による治療
治療を始めて最初の2~3ヶ月の間は、矯正ギプスによる治療が行われます。週に一度を目処にギプスを巻き替え、そのたびに手を使って矯正を行います。この際、まずは凹足を矯正し、内反、内転、尖足の順に治していきます。
2. 皮下切腱術
ギプスなどの装具を使用しても十分に矯正されなかった場合、整形外科でアキレス腱を部分的に切除する手術を行います。
具体的には、足関節より下が矯正されて、足を70度外向きにまわせるようになったときに、つま先が15度以上上を向かなければ、手術の判断がなされます。
3. 装具による矯正の保持
手術を行った後は、矯正を保持するための装具を使用し、足を70度外向き、つま先を10度上に向けた状態を持続させます。この治療は4~5歳まで行われ、最初の4ヶ月は1日23時間、その後は主に睡眠時のみに着用します。
4. 手術療法
初期症状の場合、アキレス腱の手術や装具による矯正治療で完治することがほとんどですが、重症な場合、1歳前後で腱や靭帯の延長手術や切離手術を行うこともあります。
また、幼児期以降に再発が見られる場合、その程度に応じて追加の手術を行います。
赤ちゃんの先天性内反足は早めの治療が大切
先天性内反足は早めに治療を行うことが大切です。赤ちゃんに治療を施すのはかわいそうに感じるかもしれませんが、大人になったときに症状が残ってしまわないよう、早めに治療を行いましょう。
治療には多少時間がかかりますが、治るとスポーツを存分に楽しめるようにもなります。装具による治療はホームケアでも行うことが多いため、家族みんなで協力して、赤ちゃんの成長をサポートしてあげてください。