肘内障とは?原因や症状、治し方は?癖になりやすいの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

子供が転びそうになったの助けようとして手を引っ張った後、急に肘を曲げられなくなって泣き出すことがあります。この場合、「肘内障(ちゅうないしょう)」が起きている疑いがあり、注意して対処する必要があります。今回は肘内障について、原因や症状、治療法、癖になりやすいのかなどをご紹介します。

肘内障とは?

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肘内障とは、肘の骨の一部が靭帯から外れて、肘の関節が亜脱臼している状態のことです。関節から骨が完全にずれる完全脱臼とは異なり、少しだけずれています。

肘内障は痛みを伴い、腕の曲げ伸ばしが難しくなるため、子供が腕を動かせなくなったり、腕が痛くて泣いたりしているときは、肘内障が疑われます。

日本小児外科学会によると、肘内障は歩き始めから5歳くらいまで、特に1~3歳の幼児に起こりやすい傾向にあります(※1)。乳幼児に多く発症するため、「小児肘内障」と呼ばれることもあります。

肘内障の原因は?

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小さな子供の関節は大人よりも可動域が広く、靭帯が弱いため、腕を強く引っ張ると、靭帯から骨が外れて肘内障が起きてしまうことがあります。それでは、具体的に、どんな状況で肘内障を発症することが多いのでしょうか。

日本小児外科学会は、肘内障が起こりやすい状況として、親と子供が手をつないで歩いているときに、子供が転びそうになって腕を引っ張ることを挙げています(※1)。

このほかにも、転んで地面に手をついたときや、不自然な姿勢で寝返りをしたときに、肘の骨が靭帯から外れて、肘内障になることがあります。

肘内障の症状は?

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肘内障では、骨が靭帯から外れているので、腕の曲げ伸ばしが難しい状態になっており、以下のような症状が現れます。

・肘を痛がるが、腫れや発赤はない
・肘を曲げられない
・肘を触られることを嫌がる
・前腕が内側を向いている
・腕がだらんとしたままで動かさない
・泣き方がいつもより激しく、火がついたように泣く

肘内障が起きやすい年齢の子供は、肘の痛みをうまく伝えられず、ママやパパが子供の異変に気づいてあげることが大切です。上記の肘内障が疑われる症状が見られたら、整形外科を受診しましょう。

特に、何らかの拍子で赤ちゃんの腕を引っ張った後、急に泣き出したときは肘内障を発症している可能性があるため、早めに病院で診察してもらってください。赤ちゃんは痛みを言葉で伝えることができず、他の病気などと勘違いしてしまう恐れもあるため、注意しましょう。

小児肘内障の診断・治療方法は?

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肘内障の診断では、痛がらない部分から触り始めて、どこで痛みが生じているのかを調べる触診を行います。手を引っ張った後に発症していることが確実である場合以外は、完全脱臼や骨折ではないことを確かめるために、X線検査を行います(※2)。

肘内障の治療は、肘の関節をねじって元の位置に戻す整復術によって行われるのが一般的です。整復術によって関節がきちんと戻るときには、コクッという音がします。

整復術を行うときに痛みを感じますが、整復術の後は、痛みはなくなり、腕もいつも通り動かせるようになり、バイバイと手を振ることができるようになれば、治っていることがわかります(※2)。

しかし、激しく腕を動かすと再発する恐れがあるので、しばらくは自宅で安静にしましょう。

肘内障は癖になりやすい?

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5~6歳になると靭帯がしっかり成長し、肘内障は再発しにくくなりますが、それでも肘内障に一度なってしまうと、何度も繰り返す可能性があります(※1)。

病院で小児肘内障を治してもらった後も、手を強く引っ張らないように注意しましょう。大人になっても発症しやすい状態にならないよう、予防することが大切です。

肘内障は自然治癒させようと放置しないで

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子供が肘のところを痛がって泣いているのを見ると、「早く治してあげたい」という親心から、なんとか自分一人で子供の肘の関節を戻したくなるかもしれません。

しかし、素人が知識がないまま治療しようとすると、症状を悪化させてしまう恐れがあるため、自己判断で治療したり、放置したりせず、必ず医師に診てもらうようにしてください。

また、肘の痛みは、肘の関節あたりの骨折や鎖骨の骨折によって起こっていることもあり、子供が強い肘の痛みを訴えてきたときは、注意して対処しなければいけません。

肘内障の疑いがあるときは病院で原因をきちんと突き止め、適切な治療を施してもらうことが大切です。子供が乳幼児期の間は、普段から腕を引っ張らないように気をつけてあげてくださいね。

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