喉頭軟化症とは?原因や症状、治療法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

赤ちゃんが苦しそうにゼーゼーと息をしていると、心配ですよね。「風邪なのかな?」と病院に連れて行くと「喉頭軟化症」と診断されることがあります。それでは、喉頭軟化症とは、どんな病気なのでしょうか?また、どのように対処すれば良いのでしょうか?今回は喉頭軟化症について、原因や症状、診断方法、治療法などをご紹介します。

喉頭軟化症とは?

舌 喉 口腔

喉頭軟化症とは、喉頭を構成する軟骨が軟らかいために起こる喉の病気です。

喉頭の軟骨が軟らかいと、喉頭蓋(こうとうがい)と呼ばれる喉頭の入り口の部分が、息を吸うときに気管の方に引き込まれてしまうのです。

そうすると、息が詰まって苦しくなり、主に息を吸い込むときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴(ぜんめい)が起きるのですが、喉頭軟化症は乳児期の喘鳴の原因として最も多いものです(※1)。

喉頭軟化症の原因は?

なぜ why 原因

喉頭軟化症の主な原因は、軟骨の成長が不十分であることです。

喉頭は複数の軟骨によって構成されており、そのうちの多くは胎児の時期に軟骨化しますが、喉頭の上部を覆っている部分だけ軟骨化が遅れることがあります。

すると、喉頭の軟骨の一部が軟らかいままとなり、喉頭軟化症が発症します。

喉頭軟化症の症状は?

赤ちゃん 泣く 真っ赤 チアノーゼ

喉頭軟化症の主な症状は、呼吸の際に生じる「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴です。症状が重い場合、呼吸困難を起こし、顔色が悪くなるチアノーゼや哺乳低下が現れることがあります。

喉頭軟化症は、呼吸量が増え、泣き声も大きくなる生後2週間以内に現れることが多く、生後6ヶ月頃にピークを迎えるとされています(※1)。

喉頭軟化症の診断方法は?

病院 診察 受診 医師 聴診器

喉頭軟化症が疑われる場合、息を吸うときに、喉頭蓋が気管に引き込まれているかをファイバースコープで調べて診断するのが一般的です。

喉頭軟化症の15~60%は、他の気道異常を合併するため、症状が重たい場合には、気管支鏡検査が行われることがあります(※1)。

喉頭軟化症の治療法は?

喉頭軟化症は、多くの場合、気道が発達するにつれて自然に治まっていきます。基本的には、定期的な診察で体重の増減を管理しながら、経過観察します。

ただし、成長障害やチアノーゼが見られるなど、症状がひどい場合は、喉頭レーザー形成術や気管切開といった医療的処置が必要になります。

喉頭軟化症への対処法は?

赤ちゃん 離乳食 食事 スプーン

喘鳴で呼吸が苦しそうなときは、お腹を下にして腹ばいにすると、呼吸が楽になります。また、哺乳によって症状が悪化する場合は、スプーンで少量ずつ飲ませるようにしてください。

ただし、いつもと違う症状が現れ、どうすれば良いのか困ったときは、無理に自宅で対処しようとせず、すぐに小児科を受診しましょう。

喉頭軟化症の赤ちゃんは風邪に注意

赤ちゃん ママ 抱っこ 

喉頭軟化症はあまり知られていない病気なので、赤ちゃんが喉頭軟化症になったと聞くと、不安になるかもしれませんが、多くは成長に合わせて自然に治まっていくものです。

しかし、風邪などの呼吸器感染症にかかると、症状を悪化させてしまうので、感染症にかからないための予防を行うことが大切です。

ママやパパが感染症を持ち帰らないように、帰宅時の手洗いやうがいを徹底したり、加湿器で部屋の乾燥を防いだりして、子供の健康を守っていきましょう。また、風邪を引いてしまったときも、症状を悪化させないように、早めに病院を受診することも大切です。

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