子供が小学校に入学すると、うれしい反面、保育園のようにママやパパの仕事が終わる時間まで預かってもらえなくなるという不安も出てきます。これがいわゆる「小1の壁」と呼ばれるもので、預け先がないために小学校入学と同時に、退職・転職を余儀なくされるママがたくさんいます。今回は「小1の壁」とはどういうものか、どう乗り越えればいいのか、夏休みなどの対処の方法についてもまとめました。
小1の壁とは?
小1の壁とは、子供が保育園から小学校に上がる際に親や子供が直面する、社会的な問題を指します。
共働きの場合、小学校入学前の子供は、保育園に預けるのが一般的です。保育園であれば19~20時頃まで延長保育で対応してもらえるので、家事と仕事を両立することが可能です。
しかし、小学校に入学後、しばらくは授業が午前中で終わる学校も多く、その期間が過ぎた後も1年生の授業自体は午後2〜3時くらいには終わります。そのため、放課後は学童保育に頼るしかありません。
その学童保育も約半数が18時頃に閉まるため、保育園で延長保育をよく利用していた家庭では、それまでのように仕事を続けることが難しくなります(※1)。
この保育園と小学校1年生の間のギャップ「小1の壁」で、多くのママやパパが働き方を見直さざるを得なくなります。ただ、簡単に仕事を辞めたり転職したりすることは難しく、どうやって乗り越えればいいのかを悩むママがたくさんいるのです。
小1の壁で退職する人もいる?パートになる人は?
先には、学童保育に預けることができても小1の壁にぶつかることを紹介しましたが、そもそも学童保育に預けることすら難しい場合もあります。
全国学童保育連絡協議会が自治体に行った2015年の調査によると、学童保育を利用したくてもできていない児童の数は1万5千人以上にのぼっています(※1)。
この数は学童保育の待機児童を把握できている自治体のみのデータなので、実際の数はもっと多いと考えられます。
そのため、小1の壁に直面していて、学童保育に子供を預けられない家庭では、ママやパパが退職・転職したり、正規雇用からパートタイムに働き方を変えたりすることもあるようです。
小1の壁の乗り越え方は?
小1の壁はママ1人で頑張ってどうにかするのはとても難しい問題です。パパや子供たちの協力も得ながら、みんなで乗り越えることが大切ですよ。小1の壁を乗り越える方法をいくつかご紹介します。
会社の制度を確認する
会社によっては「時短勤務」や「在宅勤務」「フレックス勤務」などの制度があり、働く時間や場所の調整ができることもあります。まずは今の会社で、小学校のスケジュールにあわせた働き方ができないかを調べましょう。
パパのほうが臨機応変に働けるのであれば、パパの協力も得ながら対応する方法を探しましょう。
学童保育の手配をする
小学校の終業後に子供を預かってくれる学童保育を積極的に利用しましょう。学童保育を利用すれば、17~18時くらいまでは子供を預けられるので、時短勤務などで対処することは可能です。
最近は民間企業が運営する学童保育も多く、22時頃まで預かってもらえることもあります。まずは放課後に任せられる学童保育を探しましょう。
子供が1人でできることを増やす
普段から両親が遅くまで働いている場合は、どうしても学童保育が終わる時間に帰宅できないこともあるかもしれません。その場合に備えて、できるだけ早いうちから子供が1人でお留守番ができるように、練習させておくことも大切です。
たとえば、帰宅後にはママかパパに報告の電話をする・ガスなど火をいじらない・誰かが来ても絶対にドアを開けない、などルールを決めて実践してみるのはどうでしょうか。
また、学童保育から自宅までの帰宅は、友達や友達のママと一緒に帰れるように頼んでおくことも、ときには必要ですね。
小1の壁、夏休みなどの長期休暇はどうすればいい?
これまで紹介した方法で、普段の生活における小1の壁をクリアできたとしても、夏休みなどの長期休暇となれば話は別です。小学校の授業がなく、一日中子供の時間が空いてしまうため、一体どうすればいいのか迷いますよね。
夏休みなど長期休暇の小1の壁は、どのように乗り越えればいいのでしょうか。
長期休暇も学童保育を利用
学童保育は年間290日以上開いているところが6割近くあり、長期休暇中も午前中から預けられる場合が多いようです(※1)。
ただし預けられる時間は施設によって異なるので、早めに確認しておきましょう。また、基本的に給食などもないので、お弁当を毎日作る必要もあります。
学童保育を利用する場合は、事前に何をしなければならないのかをよく確認しておくようにしましょう。
祖父母や親戚に預ける
ちょっと遠方でも祖父母の家で数週間預かってもらったり、ときには自宅に来てもらったりするケースもよくあるようです。
祖父母にとっては孫に会えるいい機会でもあるので、相談してみましょう。
塾や習い事、公募のイベントに参加する
塾の夏期講習や習い事の特別カリキュラムを利用することも方法のひとつです。市町村によっては、長期休暇にキャンプやスキーなど子供向けのイベントやショートステイを用意している場合もあります。
ホームページなどでチェックし、参加を検討してみてください。
子供と一緒に小1の壁を乗り越えよう
働くママは、様々な方法で小1の壁を乗り越えなければいけません。しかし、大切なことはこれがママだけの問題ではない、ということです。
乗り越え方は、退職やパートへの転換だけではありません。一人で悩まずに夫婦で知恵を絞ったり、子供と話したりしながら、みんなで協力しあって楽しく乗り越えていきましょう。
また、小1の壁にぶつかってストレスを抱えるのはママやパパだけではありません。環境の変化によって、子供も不安な状態です。日々のコミュニケーションをしっかり取るなど、精神的なケアを心がけてあげてくださいね。