「低用量ピル(経口避妊薬)」を使おうと考えている人のなかには、「低用量ピルを飲んで生理が来なくなったらどうしよう」「低用量ピルの服用をやめたら妊娠できるようになるの?」と不安な人もいるかもしれません。低用量ピルの仕組みを理解して、少しでも不安を解消したいですね。そこで今回は、低用量ピルを飲んでいるときの体の状態や、ピルをやめたあとの生理などについてご説明します。
低用量ピル服用中の生理はいつ?
低用量ピルには「エストロゲン(卵巣ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンに似た成分が配合されていて、服用すると体内のホルモンバランスが排卵後とほぼ同じ状態に変化します。
これによって脳が「すでに排卵が終わった」と認識し、排卵を促すためのホルモン分泌がストップして排卵が起こらなくなるため、服用中はほぼ確実に避妊できます。
低用量ピルには、「21日タイプ」と、偽薬(プラセボ)7錠を含む「28日タイプ」がありますが、どちらも「ホルモンが含まれる実薬を21日間飲み、7日間は休む(偽薬を飲む)」という点では同じです。
低用量ピルを何周期か飲み続けることで、人工的に生理周期を整えることができ、通常、実薬を21日間飲み終えて2~5日後に生理(消退出血)が来ます。
低用量ピルをやめたら生理はいつ来るの?
前述のとおり、低用量ピルを飲んでいるあいだは排卵が起こらず、生理が来るタイミングも人工的に調整されます。
「低用量ピルをやめたら、自然に生理が来なくなってしまうのでは?」と不安を感じる人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
タイミングに個人差はありますが、低用量ピルの服用をやめると1~3ヶ月後に生理が来ることがほとんどです(※1)。それ以上待っても生理が来ない場合は、ピルを処方された婦人科で相談してみましょう。
また、低用量ピルをやめてしばらくは、生理の出血量が増えることがあるかもしれません。これは、ピルの服用を中止したことによるホルモンバランスの変化が原因なので、数ヶ月すると状態が落ち着きます。
低用量ピルをやめたら生理痛がひどくなる?
低用量ピルには、下腹部痛や腰痛、頭痛など、生理期間中に現れる痛みの症状を緩和する効果があります(※1)。
もともと生理痛がひどく、軽減するために低用量ピルを処方されていた人の場合、ピルの服用をやめると再び生理痛が強くなる可能性もあります。
しかし、なかにはピルを飲み続けたことでホルモンバランスが安定し、ピルを飲むのをやめたあとも前ほど生理痛に悩まされなくなった、という女性もいます。
低用量ピルを飲むのをやめたあとも、お腹や腰の痛み、吐き気、食欲不振などの体調不良を生理期間中に感じたときは、我慢せず婦人科で相談してみてくださいね。
低用量ピルをやめたら妊娠できる?
低用量ピルを飲んでいる期間の長さに関係なく、服用をやめてしばらくすると妊娠できるとされています。
日本産科婦人科学会のガイドラインによると、低用量ピルを2年以上飲み続けていた女性も、2年未満の女性も、ピルをやめて1年後の妊娠率は約80%というデータがあります(※1)。
先述のとおり、低用量ピルをやめたあと約1~3ヶ月以内に生理周期が安定します。また約90%の女性は、排卵も服用中止後3ヶ月以内に再開します(※1)。
妊娠を希望する場合は、妊娠したい時期の1~3ヶ月前からピルを飲むのをやめ、基礎体温を測りながら排卵の様子を見ると良いかもしれません。
ただし、低用量ピルを飲むのをやめて、排卵が再開したとしても、妊娠しやすいかどうかには個人差があります。排卵日にタイミングをあわせて夫婦生活をして、1年を過ぎても妊娠しないときは、一度婦人科を受診して相談してみましょう。
低用量ピルをやめたら生理はきちんと来ます
低用量ピルは、望まない妊娠を避けるためには有効な手段のひとつです。妊娠したくなったときには、ピルをやめて数ヶ月以内には生理も排卵も元に戻るので、あまり心配しすぎないでくださいね。
ただし、低用量ピルはホルモンバランスを変化させる薬なので、服用を始めたばかりのときは吐き気などの副作用が現れることもあります。ピル服用中もやめた直後も、体調の変化を感じたときにはかかりつけの婦人科を受診し、適切な対処をしてもらいましょう。